12月15日(木)【18:42】

 

Jiu >

 

 

戻ったデスクで、

思わず息をついた。

 

・・・・。

 

今日のお客様は、

アミだった。

 

ジミンペンの。

 

 

ちゃんと、

目が、見れなかった・・。

 

 

優越感なんてない、

 

感じたのは・・

 

 

“距離”と“申し訳なさ”

 

 

旅行から帰ってきて、

ちょっと、感覚が

バグってしまっていた事に

気づかされた。

 

“こっちの世界”は、

街中に、BTSがあふれていて、

当たり前だけど、ジミンさんは

その中のメンバーで・・。

 

1年経ったのに・・

オンニの事も話して、

旅行の時は、思った事を言えた。

 

近づいたと思った距離も

 

JIMINなんだって思うと

 

やっぱり、

夢だったんじゃないかって

また距離を感じてしまって。

 

それに、

 

今日のお客様は

 

すごく美人だった。

 

私なんかで・・いいのかな

 

 

“なんか”って

言ったらダメって言われたけど

 

こんなふうに考えてしまう自分も

嫌だけど・・。

 

いつか、ジミンさんの彼女として

自信を持てる日がくるのかな。

 

・・・・。

 

一生、こないような気がする。

 

 

そばで、ジミンさんが

声をかけてくれていないと

すぐに・・ダメになる。

 

じゃあ、やっぱり

傍にいた方がいいのかな・・。

 

でも・・私から断ったのに。

今さら、

 

♪♪♪

 

 

あっっ

 

 

 

 

手に取ったスマホ

開く前に、周りを見てしまった。

 

離れた席に主任が

残ってるだけだったけど、

身体は、無意識に

PCに隠れるように小さくなった。

 

 

『仕事、終わった?』

 

ジミンさんの事を考えてたから

その文章は、ちゃんと“声”で聞こえた。

 

 

 

『まだ、職場ですけど、もう帰ります』

 

すぐに既読になった事に

口元を隠してしまった。

 

それだけで、嬉しくて。

 

『そっか。お疲れ様。

明日は、何時ごろになる?』

 

あー、明日

 

え、と

『19時に待ち合わせなので

21時になると思います』

 

『じゃあ、ゴハンは食べてくる?』

 

ゴハン・・

『はい、食べてきます』

 

『わかった。また、帰りに

連絡ちょうだい』

 

『はい』

 

『会えるの楽しみにしてる。

帰り、気をつけてね。家に着いたら

電話ちょうだい』

 

・・・・・。

 

口を結んでも、

端が上がってくるのがわかって、

慌てて、頬を膨らませる。

 

 

もう1度、主任のデスクを見て

 

こっちを見ていない事を確認して

急いで指を動かす。

 

『はい、電話します』

 

 

 

 

よしっ

 

スマホを閉じて、

PCに今日の業務報告の画面を開く。

 

 

 私も、簡単だなぁ

 

あれだけ、距離感じるとか

思ってたのに。

 

ジミンさんの言葉が

聞けただけで。

 

 

 

文字を打ち込みながら、

明日の事がよぎった。

 

 

 

 

ほんとは、少し怖かった。

明日、ほんとうの事が

わかるかもしれない。

 

その時、私は、

どんな気持ちになるんだろう。

 

でも、

 

ジミンさんが、待っていてくれる。

 

“忘れないで。独りにはしないから”

 

聞いたばかりの言葉は、

簡単に頭の中でリピートできた。

 

 

うん、大丈夫。