12月14日(水)【15:00】

 

 

JIMIN >

 

 

「よし」

 

お、

「できた?」

 

「ん」

 

「さすが、ヒョン」

「さすが、ヒョン」

 

 

 

いちごちゃんの部屋づくりが始まって

連日、手伝いに来ていたのは

ユンギヒョンだけだったらしく、

旅行から帰ってきた日、入ったカトク。


『まだ終わってないよ』

 


だから、手伝いに来たけど、

勝手に手をだせる雰囲気じゃなくて

俺とテヒョンは黙々と作業するヒョンが

時折、出す指令をこなしながら、


途中から 

ヒョンの邪魔をしない事も仕事だと

見守る事にしていた。

 

「そういえば、今日、ヌナは?」

 

ヒョンの言葉に

 

なぜか、息をついたテヒョン。

 

「どうしたんだよ」

 

 

「いや、・・今、書いてる」

 

「今日もか?」

 

少し、驚いたようなヒョンの様子を見ると

 

「なに?ヌナ、ずっと書いてるの?」

 

「書いてる方が落ち着くんだって・・」

 

まだ、何か続きそうだった。

 

「なんかあったのか?」

 

「なんとなくだけど・・

距離おかれてるような」

 

「“アッパ”なのに?」

 

「・・・なんとなく」

 

「予定日が近づいてるんだから

ナーバスになってるんだろう」

 

 

「・・ナーバス・・ね。でも、

ハナは、強いよ」

 

「強いって言ったって、

初めての事なんだから

不安にはなるだろう」

 

「・・んーーー」

 

感覚的なモノなんだろうけど

俺達が言う言葉は、

しっくりこない様子だった。

 

 

「そういえば、旅行はどうだった?」

 

急に?

 

「あぁ、よかったよ。ゆっくりできた」

 

「ジウさん、喜んでた?」

 

テヒョンが持ってきたサイダーを受けとる。


「ん」

 

「ふーん・・・・ジミナはしないの?」

 

「何を?」

 

 口の中で小さく弾ける感覚、

「結婚」

 

!!!!!!!

 

 

 

 

あっっぶな、あぶな

 

もう少しで、ヒョンが苦労して完成させた

チェストにサイダーを吹き出すとこだった。

 

ヒョンの目が・・

ビームみたいに刺さる。

 

 

「ねぇ、ジミナ」

「ちょ、いいから」

 

かまわず話を続けようとする

テヒョンの手を取って

リビングへ行く。

 

「急になんだよ」

 

俺の言葉に

 

「何が?」

 

本気でわからないと

眉間に皺が寄るテヒョン。

 

「その、“結婚”とか」

 

「あぁ・・いや、しないのかなって

思って」

 

「しないよ」

 

「しないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや

 

「今すぐには、って事だよ」

 

「するんでしょ、ジウさんと」

 

 

・・・ジウと

 

浮かんだジウの笑顔に

無駄に心臓が速くなった。

 

 

 

「おめでとう」

 

急に抱き着かれた。

 

「いや、だから」

「幸せになれよ」

 

・・・・・。

 

 

「なんだよ、急に」

 

「なんとなく」

 

 

・・・・なんとなく、ね。

 

 

「俺の事は、いいんだよ。

お前の方だろ。“アッパ”になるんだから」

 

「うん・・“アッパ”になる」

 

 

なんで、開いた両手を見てるのかは

わからなかったけど

 

「ジミナ」

 

「なんだよ」

 

顔を上げたテヒョンが

四角い口で

幸せそうに笑った。

 

「僕、アッパになる」

 

 

知ってる。

 

「“家族”が増える。

守りたいモノが増える

・・頑張んなきゃ」

 

・・・・・。

 

 

ずっと、

傍で見続けてきた

親友の顔は、今までで1番、

 

幸せそうで・・


虚しさや、寂しさや悔しさ

その欠片さえも見えなかった。

 

よかった・・。

 

♪♪♪

 

「ん?」

 

2人、同時に見たスマホの画面に

声を上げたのはテヒョンの方だった。

 

「何?」

 

「んー、オンマから、

明日、こっちに来るって」

 

「へぇ」

 

「なんだろ」

 

「俺がわかる訳ないだろ」

 

「それも、そうだ。

ジミナは?、明日何するの?」

 

「明日・・明日は・・」

 

「あー、ジウさんと一緒か」

 

楽しそうだな・・・・・。





 

俺、そんなにわかりやすいか?

 


 

 

スター V