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「これ・・私のです」
声も出てないけど、
大きく開いたジミンさんの目が
イヤリングと私を
いったりきたりし始めて
「これ・・拾ったんだ」
やっと、喋った。
何度も確認した。
こんな事、あるはずない。
9年前の6月13日
初めてバンタンを見た夜。
初めて、ジミンさんと会った夜。
オンニがネックレスをくれて、
オンニがくれたイヤリングを片方失くした。
シルバーの三日月の土台に
7個の小さなビジューが
あしらわれているイヤリングは
片方だけ、いつのまにか
ビジューが1つ外れてしまっていた。
それでも、つけていたんだけど。
このイヤリングも、
同じ場所のパーツがなかった。
「念の為ですけど・・
どこで、拾ったんですか」
「・・デビューした日、
センターの廊下で」
「・・誰かとぶつかりましたか？」
「え」
「ステージ前に誰かと、
ぶつかりませんでしたか」
「ステージ前・・ぶつかる・・」
あ
「ぶつかったのは、テヒョンさんです」
「テヒョンイが？・・・」
どこかに映像がながれているのか
私の顔の周りを視線が動き出す。
「あっ、」
思い出した
「そう、テヒョンイがぶつかったんだ。
小学生ぐらいの女の子と」
・・・・。
「15歳です」
「え？」
「テヒョンさんとぶつかったのは
私で・・15歳です」
「・・マジで!?」
・・どっちの意味だろ
「え、ちょ、待って、え？え？
あの子・・ジウヤだったの？
マジで？・・・マジか・・」
「・・はい。転んだ時に・・
コレ、外れたんだと思います」
「・・・マジか・・」
おんなじ事言ってる。
それだけで口元が緩んでしまった。
でも、
「どうして・・これ、
持っていてくれたんですか？」
「あぁ・・あの時、あの子が・・
あの子ってジウヤか、ジウヤが
言ってくれた“応援してます”って
あの言葉を聞いた後に拾ったから。
なんか勝手に“お守り”にしてた。
不安になったら、空を見るように
なったんだ。三日月が見えたら、
その声が聞こえるようになって」
「・・そう・・ですか」
「・・・・そっか・・あの子・・
ジウヤだったのか」
「・・・はい」
口を結んで、なぜか
恥ずかしそうに笑ったジミンさんが
もう1度、私を腕の中に引き寄せた。
その耳元
「勝手に“運命”だって思ったんだけど」
“運命”
一番、否定したい言葉だったのに
初めて
「私もです」
願ってしまった。
この“運命の出会い”は
“永遠”であってほしいと
「そういえば・・」
？
「手紙、何書いてたの？」
あ
「もう、いいです。仲直り・・したので」
「なんで？読みたい」
急に恥ずかしくなった。
「たいした事、書いてないですから
もう、いいです」
回収しないと
「あっちか」
あ
一瞬、後ろのテーブルを見てしまった。
それを見逃さなかったジミンさんが
クルッと向き直って、身体が離れた。
「ほ、ほんとに、たいした事
書いてないですから」
「わかった、わかった」
「ダメです。開けないでください」
「わかった、わかった」
それでも、手は封筒の端にかかったまま
目の前で読まれるとか絶対、無理。
「い、今、開けたら帰ります」
「開けません」
すぐにテーブルの上に戻った手紙の横に
今、気づいた。
「・・お花」
「あ」
今度は、ジミンさんが恥ずかしそうに
「その、ソヒョンさんに作ってもらったんだ。
謝りに行こうって思って」
「謝りに・・え？私の家にですか？」
「ん」
「コレ持って・・」
そんな目立つ事・・
「あ、いや、アパートの前まで
ソヒョンさんに送ってもらって
たんだけど・・途中で、ジウヤから
カトクが入ったから、慌ててこっちに。
でも、カトクも読まれないし、
電話にも出ないし」
気づかなかった。
「受けとってくれる？」
「・・はい」
「よかった」
ソヒョンさんに
作ってもらったんなら
「・・花言葉あるんですか？」
「・・うん」
ジウ(2013年)
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JIMIN https://ameblo.jp/kennag/entry-12809862083.html