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『手紙、置いておくので読んでください』

 

文字を打って

大きく、息をついた。

 

勝手な事、言った。

こんなんじゃ、ダメだ。

 

ちゃんと、話さないと。

言葉が間に合わなかったら

後悔する。

 

会えなくても、

伝えたかった。

 

よし

 

鍵をあけて玄関に入った瞬間、

明かりがついたけど

その奥には誰もいない事がわかった。

 

テーブルでいいかな

 

 

・・・。

 

明かりをつけた部屋に

温度はない。

 

 

この部屋は、

 

ジミンさんが

誰にもならなくていい場所。

苦しみから解放される場所。

 

そんな大切な場所に

私を入れてくれたのに・・。

 

私は、私の中に

ジミンさんを入れてあげられてない。

 

昨日のニュース。

バンタンが、また世界に認められた。

 

“おめでとうございます”

 

は、次の言葉を続けるには、

いい理由になったから

手紙もちゃんと、書けた

 

・・と思う。

 

 

“あの日”から誓った。

 

大好きな人には、

大切な言葉を使い続けようって。

 

初めて

“愛してる”って言えた人なのに。

 

嫌な言葉で

時間が止まってしまわないように。

手遅れにならないように。

 

そう、誓ったのに。

 

ちゃんと言わなきゃ。

 

 

 

手紙・・だけど。

 

 

 

ふと移した視線の先、

ベランダに続く窓の前から

光が返ってきた。

 

 

 

なんだろ・・。

 

 

近づいたその足元には

 

敷かれたタオルの上に

ピアスや指輪にネックレスが

並べられていた。

 

これ、ジミンさんがつけてたアクセ・・。

 

なんで、タオルの上に・・

 

・・・お店屋さんみたい。

 

1つずつ、ちゃんと並べてる

ジミンさんが浮かんで

思わず笑ってしまった。

 

これは・・何が入ってるのかな

 

目の前にあったのは、

三日月が描かれた丸い小さな

アクセサリーケース。

 

自然と動いた手は、

操られるように蓋を開けてしまった。

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

これ・・