JIMIN >

 

・・・・ん~

 

 

 

 

普通はキスしたら“起きる”んだけどな

 

 

 

合わせた唇から力が抜けたのがわかって

その少し後、彼女が

 

 

 

 

 

 

 

眠ったのがわかった。

 

そういえば・・

飲んだって言ってたもんな。酒・・。

 

 

身体を起こして

もう1度、彼女の“寝顔”を見る。

 

安心したように

寝息を立てる彼女に

 

思わず、笑ってしまった。

 

・・・まぁ・・今日は、ここまでか

 

 

 

 

・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・しんどぃ

 

 

色々、よぎる考えを

身体の外に出したくて

長めに息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

このままだと、

彼女が風邪をひいてしまう。

 

その気持ちで、ようやく

頭の中が落ち着いた。

 

さて、と・・。

 

寝室に行くと、

きれいに整えられたベッドに

なぜかテヒョンの

楽しそうな顔がよぎったけど

 

頭を振って、追い払いながら

布団をめくってリビングに戻った。

 

ソファの横に跪いて

彼女の身体の下に腕を滑らせる。

 

「ジウヤ、ベッドに行くよ」

 

聞こえてないとは思ったけど

とりあえず、伝えた言葉に

 

ふふっと

目を閉じたままの彼女が笑った。

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

 

耐えろ

 

パク・ジミン。

 

お前ならできる。

 

もう1度、息をついて、

抱え上げた彼女を連れて

寝室へ向かった。

 

 

 

マットの上、できるだけ静かに

彼女の身体を置いて

頭の下、髪を撫でおろしながら

枕を挟み込む。

 

ん、よし、

 

 

・・きつくないかな

 

枕がきちんとした位置にきているか、

真横から確認して、

 

もうちょっとか・・

 

 

彼女の頭を少し浮かせて、

もう1度、枕を入れ込んで。

足元から引き揚げた布団で

肩まで包んだ。

 

・・・・。

 

 

 

 

 

よし、シャワー浴びよ。

 

 

息をついても、頭を振っても

湧く邪念は、お湯で流す事にした。

 

 

 

 

~・~・~・~

 

 

 

浄水器から注いだ水を飲みながら気づいた

リビングのテーブルに置かれたままに

なっていた4つ折りの紙。

 

手に取って、

もう1度歌詞をなぞる。

 

 

“会いたかった”

 

泣いていた彼女は、そう言ったけど

 

“俺に?”

 

そう聞いてしまったのは

 

違和感があったから。

 

この歌詞に、なにかを想ったなら

 

やっぱり、俺じゃないような気がする。

 

・・・・って

 

考えたところでな。

 

 

 

 

 

とりあえず・・ここからなら

8時までに起きたらいいか・・


スマホのアラームをセットして

彼女の体温で温められた布団の中へ

身体を滑り込ませると

タイミングよく、彼女が

俺の方を向いた。

 

こんな風に寝顔を

見るのは、あの夜と一緒。

 

でも、

 

もう、手、つなげる

 

彼女の方を向き直って

その小さな手を包むと、

枕の下から、グっと意識を

引っ張られるような感覚になった。

 

「ジウヤ・・」

 

聞こえてないかもしれないけど

伝えてから眠りたかった。

 

「・・大好きだよ」

 

いつから

こんな気持ちになったんだろう

 

たちこめる霧も一瞬で払ってしまう

優しい彼女が、夢の中でまで

涙を流す事がありませんように。

 

いつから、

こんなに大切になったんだろう。

 

 

もし、泣くような事があったとしても

俺だけが傍にいけますように。

 

いつから・・

 

 

 

 

こんなに、欲張りになったんだろう。