【14:45】

 

 

Jiu >

 

「ほんとに大丈夫?」

 

「はい・・大丈夫です」

 

アパートの前についた車。

 

シートベルトを外した私を

ユジョンさんは、

すごく、心配してくれていた。

 

「なにかあったら、すぐ連絡してね。

もう、家もわかったし、来れるから」

 

「・・はい」

 

 

終わりたくないな・・

 

6人のオンニ・・

 

 

動きだした車が、見えなくなると

自然と息をついてしまった。

 

 

 

 

 

朝、目が覚めて、隣で眠る

ジミンさんを見てから話せなくなった。

 

当たり前のように私を呼んでくれる

オンニ達との時間が終わりだとは

思いたくなくて話せなくなった。

 

そんな私を、

体調崩したんじゃないかって

ずっと心配してくれたオンニ達。

 

 

 

久しぶりに戻った部屋は

小さすぎて、なんの音もしなくて

さっきまでの時間が

やっぱり、夢だったような気がした。

 

夢・・

 

 

腰かけたベッドに

そのまま、身体を倒した。

 

 

ジミンさんと話せなくなったのは、

変な夢を見たせい。

 

こんなに、はっきり

覚えてるのは初めてかもしれない。

 

 

“ジウさん”

 

・・・・。

 

声まで聞こえる。

 

 

“月を見に行こう”

 

ジミンさんが差し出した左手に、

なんの迷いもなく右手を乗せた。

 

雲の階段に驚いていたら、

ジミンさんが楽しそうに笑って・・

 

 

近づきすぎた月の光に

縁どられるジミンさんが

すごくキレイだった。

 

“これ、あげる”

 

優しく響いた声に

握っていた手を開くと

 

・・イヤリング

 

バンタンと、ジミンさんと

初めて会ったあの夜に

片方だけ失くした

三日月のイヤリング

 

オンニがくれた大事な三日月。

 

なんでジミンさんが持っているかなんて

考える前に嬉しすぎて、嬉しすぎて

 

“嬉しい?”

 

ジミンさんの声に頷いた。

 

それから・・

 

 

 

思わず、なぞった唇。

 

 

 

それから、私達は

 

 

キスをした。

 

 

閉じていた目を開くと

 

ジミンさんが寂しそうに笑った。

 

 

 

 

・・・ホントに

 

変な夢・・

 

 

 

近づきすぎた。

 

もう、会えないのに。

 

 

ニセモノの関係は

もう、終わったのに。

 

 

それでも

 

 

夢でもいいから・・

 

 

もう1度・・

 

そう、願うほど

 

私は・・。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆