【22:56】

 

JIMIN >

 

 

Rrrrrrr、

 

Rrrrrrr、

 

 

 

Rrrrr、

 

・・寝たかな

 

『もしもし』

 

 

「ごめん、寝てた?」

 

『いえ、スマホ、探してて、

すみません』

 

 

スマホ、探すんだ・・。

 

一瞬、ナムジュニヒョンの動きが

浮かんで口元を押えてしまった。

 

『どうしたんですか?』

 

「あ、いや、ツアーが無事に

終わったから・・その・・」

 

 

ちゃんとした理由だと思ったけど、

 

よく考えたら、

 

わざわざ電話する事か?

 

『あ、ウィバで写真も見ました。

よかったですね。みなさん、

すごく、幸せそうな笑顔で、

私も嬉しくなりました』

 

「・・うん。ほんとに、

幸せだったよ」

 

ちゃんと伝えなきゃ、

 

これも、ジウさんと話し、

ジウヤ~

 

!!

 

小さい声だったけど、

確かに聞こえた。

 

『あ』

 

短い彼女の声の後、

ガサガサと音がして、

何も聞こえなくなった。

 

 

“ジウヤ”

 

あれ・・

男の声だった・・気がする。

 

・・この時間に男が家に?

 

!?

 

彼氏?

 

新しい・・いや、

 

元サヤに戻ったとか

 

『すみません、お待たせしました』

 

 

「ごめん、誰か来てた?」

 

『あ・・はい。今、うちに

泊まってて』

 

泊ま・・る

 

『電話、誰?』

『もう、』

 

・・・・。

 

また聞こえた声は、

さっきより近くて

男の声だと言う事は確定した。

 

 

スマホを手で押さえているのか

雑音が入る中、聞こえた彼女の声

 

仕事関係の・・』

 

 

 

・・・・仕事

 

 

 

 

『すみません、え・・と、

あの話って・・』

 

 

「・・あ~、えっと・・」

 

 

宙に浮いた言葉が戻ってこない

 

『あ、あの』

 

「ん?」

 

『Sakuraの新刊が出たんですけど、

読まれましたか?』

 

「いや・・もう、読んだの?」

 

『はい、今回も素敵なお話でした』

 

「タイトルは?」

 

そんなの調べればいいんだろうけど

 

『“花束を君に”です』

 

「借りる事ってできる?」

 

理由が・・欲しかった。

 

『・・その、私、現場に入らなくなったので』

 

!?

 

「また、何かあったの?何か言われた?」

『あ、いえ。それはないです。その、シフト上の関係で。

えっと・・あ、本、送りましょうか?』

 

・・・

 

「いや、そこまではいいよ」

 

『そう・・ですね。あ、でも、ホントに

素敵な本だったので、ぜひ、読んでください』

 

そうだよ

 

「ん・・わかった。じゃあ、」

 

なんで、そう思ったんだろ

 

『あ・・はい』

 

「仕事、頑張ってね」

 

『はい、ありがとうございます』

 

「おやすみ」

 

『はい、おやすみなさい』

 

 

・・・・。

 

 

 

スマホを持ったまま、

窓の外、広がる夜景に

ため息が出たのは・・

 

吐いた息で、窓ガラスの俺が

白く消される。

 

なんで、

 

近づいたと思ったんだろう・・。

 

 

もう、

 

彼女とつながる理由がなくなったのに。

 

彼氏もいるんだろうし・・