JIMIN >

 

「私、初めて海外に行ったの、

あのロンドン公演の時なんです」

 

「ロンドン?」

 

急に・・



「はい、今でも覚えてます。

2019年6月2日 ウェンブリー・スタジアム。

紫の光の波の中で、聞こえたアミ

みんなの歌声」

 

・・あの時

 

メンバーも誰1人知らなかった。

 

会場の空気が震えるほど

柔らかく光る紫の中、アミが歌ってくれた

「Young Forever」

 

胸がいっぱいになって

 

「私、バックヤードで、

他のスタッフさんが

引くぐらい。号泣してて」

 

「ホントに?」

 

いや、俺も泣いたけど・・

 

「はい、なんか、バンタンとアミの、

あの特別な空間にいられた事が

幸せすぎて・・ジミンさん」

 

「ん?」

 







「アミもたくさんいるから、

色々な考えがあるし、想いもあります。

でも・・みんな、コンサートが

開かれるってわかっただけで、

嬉しくなって、チケットが取れたら、

もう、それだけで泣いちゃうアミもいて。

その日のためにたくさんの事を調整して、

お金をためて、飛行機やホテルの

予約もして、ダイエットも頑張るし、

スローガン作ったり、あ、もちろん

美容室にも、新しい洋服も買います。

全部、全部、大好きな皆さんに

会う為です。あの光を持って会場に集まる

アミの“大好き”は信じてください。

何も考えずに、ちゃんと、見てください。

目の前のアミにとって、その日は、

特別な1日なんです。だから・・」

 

・・・・。

 

「・・ん」

 

「大丈夫ですか?」

 

 

「・・ジウさんってさ」

 

「はい?」

 

「すごくスラスラ話す時があるよね」

 

「そう・・ですか?」

 

「スイッチがあるの?」

 




「・・ないですよ」

 

なぜか頭を触ったジウさんは、

真面目だった。

 

「例えだよ」

 

「あ・・」

 

 

ホントに・・なんで、

こんなに居心地がいいんだろ

 

 

 

「あの・・私、そろそろ帰りますね」

 

 

「そう・・だね。ごめん、

時間、遅くなったね」

 

今、

 

 

ポケットに入れていたスマホを確認する。

 

 

22時半

 

「帰り、大丈夫?」

 

「はい、大丈夫です」

 

呼び出して、足止めしておいて・・

 

「ごめんね、送れなくて」

 

「お、送るとか、そんな事。

めっそうもないです。ぜ、ぜんぜん、

気にしないでください。

ホントに大丈夫ですから。

家、駅から近いし、あ、それに遅い方が、

人も少ないですし」

 

「でも」

 

夜道・・

 

なんか、急に心配になってきた。

 

 

「ホントに大丈夫ですから。

仕事でもっと遅くなる時だって

あるので」

 

 

それでも・・

 

「じゃあ・・連絡して」

 

 

「え?」

 

 

「家、ついたらカトクちょうだい」

 

 

「あ・・の、私、ホントに大丈」

「俺が心配なの」

 

・・・あ

 

「と、とにかく、家についたら

カトク入れてわかった?」

 

「は、はい」

 

 

・・・・。

 

 

「じゃあ、・・あの、失礼しますっっ」

 

「うん、・・気を付けて」

 

 

くるっと向き直った彼女が

ドアに向かった。

 



 

 

「ジミンさん」

 

振り返った事に、なぜかドクっと

心臓が動く。

 

「ん?」

 

 

 

「え・・と、開けてもらって

いいですか・・ここ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり~」

 

ホビヒョンとナムジュニヒョンと

ジンヒョンの3人はソファに移動していた。

 

「話し合いは?」

 

「継続中」

 

ナムジュニヒョンがテレビを見ながら、

後ろを指さす。

 

「あ、あれは、糸を指に巻いてもらってさ、

長さ測ってもらって」

 

ジョングクと

 

「あ、糸じゃなくて、ゴムでも

いいんじゃない?」

 

テヒョン

 

「リボンは?」

 

「なんか、輪っかのやつ」

 

・・・素材の話?

 

ユンギヒョンは、また頭を抱えていた。

 

「まだ、指輪の話?」

 

「楽しそうだよな」

 

とホソギヒョンが楽しそうに笑った。

 

「好きな方に入れ」

 

ジンヒョンの言葉に

 

「こっち」

 

即答で、ホビヒョンの隣に座った。

 

 

 

 

 

 

ジウさん、大丈夫かな?

 

 

 

 花


☆☆☆☆☆☆☆