◇◆◇◆◇◆

 

Rrrrrrrr、

 

『もしもし』

 

「ごぶさたしてます。先生

イム・ジュヨンです」

 

『おぉ~元気だったか?ジュヨナ』

 

「はい」

 

『電話とはめずらしいな。

・・何かあったのか』

 

「・・先生、ジウが

気づいてるようです」

 

『気づいてる?』

 

「ユイとの関係を」

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・どういう事だ』

 

 

 

「今日、聞かれたんです。

子供の頃、ユイに会いに

来ていた女性がいなかったかと」

 

『・・それで』

 


「もちろん、知らないフリは

しましたし、ジウ自身、全てを

知っている感じは受けませんでした。

ただ、どうやって知ったのかと思って」

 

『・・いや、だいたいわかるよ。

たぶん、あの男だろう』

 

「あの男・・あぁ、ユイの。

確かに、そうかもしれませんね。

・・先生、」

 

『どうした?』

 

「・・“彼女”との接触が増えてます。

すみません、できるだけ

会わないようには、

してきたつもりだったんですが」

 

『・・・・そうか。いや、ジュヨナの

立場もあるだろうから。

それは、しょうがない事だ。

君に預ける事を決めたのは、

私達なんだから』

 

「今後も注意してみておきます」

 

『すまないな』

 

「いえ・・本当は、別件でいつか

ご連絡をと思っていたのですけど」

 

『別件?』

 

「・・はい。私、結婚したんです。

もう・・1年経つんですけど」

 

『結婚!?そうか、いや、それは、

めでたい事じゃないか』

 

「・・ありがとうございます」

 

『嬉しそうに聞こえないのは

1年、経ったからか?』

 

「いえ、最近、考える事が増えて」


『何を?』


「夫とは年が・・その、12歳離れてて。

結婚して言うのもなんですけど

彼が、いつか後悔しないか

って考えてしまって」

 

『12歳差・・の年下か?』

 

「はい」

 

『彼の態度が変わってきてるのか』

 

「・・いえ、まったく」

 

 

『ジュヨナ・・今の離婚率を

知ってるか?』

 

「え?」

 

『結婚した2組に1組は、離婚してる。

しかも、今は*“黄昏離婚”が

増えてるんだぞ。俺だって、

ヌイからいつ捨てられるか・・

そうならない為に、今は

言われた事には絶対服従だ』

 

「絶対服従って・・ヌイ先生は、

傍にいないんですか」

 

『あぁ、今日は“女子会”だ。

たまには、息抜きもさせなきゃな』

 

「じゃあ、先生も息抜きですね」

 

『一応、“寂しいなぁ”とは言ったぞ』

 

「さすがです」

 

『俺もそう思う。・・なぁ、ジュヨナ、

大事なのは、傍にいたいと思える人と

出会えた事だ。それからの時間で、

お互いの気持ちがどう変わるかは、

年齢じゃない。平坦じゃない道を

進む時間の過ごし方や相手に対する

接し方で変わる。もちろん、これからも、

傍にいてほしいなら努力もいる。

何もしないなら不安が消えないのは

当たり前だ。それに・・いつ、時間が

止まるかもわからないんだから。

当たり前に過ごせた日ほど、

幸せを感じていい。大丈夫だ。

お前は、幸せになれるし、

その手で大切な人を幸せにできる』

 

「・・・はい。ありがとうございます」

 

『いや、話が聞けてよかった。

電話、ありがとう。ジウの事で

君を巻き込む形になって、

申し訳ないと思ってる』


「いえ、あの子は、従業員の前に

私の大事な“妹”ですから」


『ありがとう。そう言ってくれて

嬉しいよ。また、何かあったら

連絡が欲しいんだが・・』

 

「はい。連絡します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*黄昏離婚・・日本で言う「熟年離婚」