12月13日(日)【19:05】

 

Jiu >

 

「ごめんなさいね。予定変えてもらって」

 

「い、いえ」

 

「今日は、バタバタさせたでしょ」

 

「昨日も今日も退勤の時間は

同じだったんで、その・・」

 

「そう、よかった。・・やっぱり、

こっちかしら」

 

 

・・・・・

 

 

「あ、あの」

 

「何?あっ、白の方がいい?」

 

 

いや

 

「えっと、あの、」

 

「私は、こっちのスミレ色の方が

似合うと思うんだけど」

 

・・・・。

 

「ん~・・まぁ、ジウさんがいい方で」

 

「あ、あのっ」

 

「・・何?」

 

 

 

なんで・・

 

「その・・なんで、私の服を

選んでいただいてるのか・・が」

 

全くわからない

 


 ●●●● 


昨日の昼頃カトクが入った。

 

夜の予定を日曜日に変更したいと

特に予定はなかったし、

いや、そもそも、変更されたからと言って

断るなんて事はないけど

 

指定されたのはホテルの一室だった。

 

ちゃんと

 



スイートルーム

 

そのドアを開けたのは、

ヘジンさんではない別の女性だった。

 

「あ、あの」

「キム・ジウ様ですか」

 

様と呼ばれたけど

怒られたように感じたのは

ロボットみたいに表情も

声の音も変わらなかったから。

 

「は・・い」

 

返事すらしんどい。

 

「こちらにどうぞ」

 

 

女性の後をついていくと

広がったフロア。

中央のソファには白いスーツを着た

ヘジンさんが座っていた。

 

「ごめんなさいね、

こっちに合わせてもらって」

 

「い、いえ、私の方こそ、

その声をかけていただいて

え・・と」

 

緊張しすぎて言葉がでない。

 

「もう、下がっていいわ」

 

 

 

急にトーンが変わって慌てて

顔を上げると

 

私の隣に立っていた女性が

一礼していた。

 

あ、・・私じゃなかった。

 

 

「ジウさん」

 

また変わったトーン。

 

「は、はい」

 

 

「この中から、好きなのを選んで」

 

・・・。


今、気づいた

 

ヘジンさんが座っていたソファの横

 

色とりどりのワンピースがかけられた

ハンガーラックが2台並んでいた事に。

 

 

 ●●●● 

 

 

「あ、ごめんなさいね、

急遽場所を変更したから

そのお詫びもかねてと思って」

 

 

「お詫びとか・・そんな、

めっそうもないです。

食事に誘っていただけるだけでも

光栄なのに・・その洋服とか」

 

「あ、大丈夫よ。靴も準備してるから」

 

 

「いえ、そういう事ではなくて」

「とにかく、」

 

にこっと笑ったヘジンさんが

 

「どれがいい?」

 

・・・・。

 

これは・・私でもわかる。

 

断っちゃいけない・・やつだ。