2月18日(月)【1:00】

 

JIMIN〉

 


「どうした?」

 

ドアを開けた先に立っていたのは

ユンギヒョン

 

「寝れないから、暇つぶし」

 

「暇つぶし?」

 

「眠くなるまで」

 

「・・・入れ」

 

 

「ん」

 

 



 

「また作業してたの?」

 

少し明かりが落ちた部屋で

パソコンの画面だけが

煌々と光っていた。

 

「・・こっちが落ち着く」

 

「そっか」

 

「心配して来てくれたのか」

 

「だから、暇つぶしだって」

 

「ウソつけ」

 

フクオカでのコンサートが終わって

俺達は今日帰国するけど

ユンギヒョンだけは残って、

大学病院で左肩を診てもらう事に

なっていた。

 




「大丈夫?」

 

一番ムダな言葉だと思ってたから

言わないようにしていたのに、

つい聞いてしまった。

 

「暇つぶしじゃなかったのかよ」

 

「・・・忘れてた」

 

フハッと笑うヒョンに

少し力が抜けた。

 

「また、違う結果になるかもしれないよ」

 

ヒョンの肩がボロボロになった本当の

原因を聞いたのは、デビュー後で、

最近のヒョンは、もう、手を上げたり

酷い時は、ペットボトルのフタですら

開けられなかった。

 

「いや、たぶん、手術って

言われる」

 

・・・・。

 

「手術ってなったら、どのくらい

抜けないといけないの」

 

「さぁ・・、その後のリハビリも

あるだろうからな。そんな顔するな。

そうなったとしても、お前達が、

待っててくれるなら大丈夫だから。

寝た切りになる訳じゃないし、

作業ができる時間が増えるし。

悪い事ばかりじゃない・・と思う」

 

なんで、俺が励まされてんだよ。

 

「わかった。もし、ヒョンが

休みになっても、ゆっくりできるように

頑張るから」

 

「頑張りすぎるなよ。お前の

“頑張る”が1番怖い」

 

「わかった。ぼちぼち、頑張る」

 




♪♪♪

 

 

「誰?」

 

「テヒョン、今、どこ?って」

 

「早く、戻れ。うるさくなる」

 

「わかった・・あ、」

 

「何?」

 

カトクを閉じた瞬間、画面に写った

ニュース。なぜか、探してしまった。

 

魚座・・魚座

 

「ヒョン、明日の運勢7位だよ」

 

「・・微妙」

 

「ラッキーセブンだよ。しかも

“運命の出会いがある”って」

 

「病院で?」

 

「そうかもよ。いい方法が

見つかるのかも」

 

「だといいな」

 

 

「でも“忘れモノ注意”だって」

 

「・・気を付けるよ。じゃあな」

 

「うん、おやすみ」

 

なんの励ましにもならなかったな。


こういう時、うまく

伝えられたらいいのに。

 

「ジミナ」


「ん?」


「助かった」

 

・・・・。

 

 「俺も、いい暇つぶしになった。

おやすみ」


「おぅ」




ヒョンの部屋を出てすぐ


「あっ、いた」



テヒョンが走って来たから

 

とりあえず・・

 

「なんで逃げんだよ」

 

テヒョンの声を背中で聞く。


なんとなく、

走りたかった。

 


スター


SUGA 〉