Jiu 〉

 

 

「スホヤ」

 

何も聞いてこないスホと

並んで歩く。

 

「なんだよ」

 

「寒い」

 

「俺もだよ」

 

「・・どっか入ろう」

 

「帰る」

 

「・・・・わかった」

 

いくら、冬休みでも忙しいよね

 

!?

 

頭の上が温かくなったのは

スホが、大きな手が乗った、

 「・・痛っ」

 

と思ったら、

急に顔の向きを変えられた。

 

「もう、何、」

「あっち」

 

あっち?

 

 

「もう、何も食うなよ」

 

そう言って、先に

歩き始めたスホの

後を追いかけながら

 

「キャラメルポップコーンがいい」

 

「邪道」

 

また、隣同士で歩きながら

斜め前の建物を目指す。

 

「スホヤは塩なの?」

 

「それ以外で何があんの?」

 

・・塩・・一択。

 

今日のスホは可愛いな。

 

思わず、笑ってしまった。

 

「じゃあ、ハーフ&ハーフにしよう」

 

「俺のとるなよ」

 

「私のあげるから」

 

「いらねーよってゆーか食うな」

 

「ケーキの代わりだから食べる」

 

 

建物の中は、

人も、まばらだった。

 

「初めてだね、スホヤと映画観るの」

 

「たまたま、今日は時間が

あったからな」

 

・・・ありがと

 

 

オッパの事は、

・・後で考えよう。

 

せっかく、スホが私に時間を

取ってくれてるんだし

 

話、聞く前に、

決めつけちゃ・・ダメだよ。

オッパは、・・そんな人じゃない。

 

「明るい映画が観たいなぁ・・

おっ、これにしよう」

 

「・・寝ても文句言うなよ」

 

・・・。

 

そういえば、オッパと私が寝て、

オンニだけが映画観て・・

オッパと2人怒られた事あったな。

 

・・・。

 

「とりあえず、買ってくるから

・・そこ、座って待ってろ」

 

頷いて壁側のソファに向かう。

 

スホが戻ってくるまでに

泣き止まなきゃ。

 

時間がもったいない。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆