5月25日(火)【13:30】

 

 

・・・・・・。

 

 

ソファに座ってる親友は、

私のスマホを持ったまま

固まってそろそろ30分。

 

昨日、一花さんの許可が下りたと

ユジョンちゃんから連絡があった。

ナギの事を話すと、私の親友ならと

言う事で人数に追加してもらえたから

すっごく美味しいと評判のプリンを

買って神戸まで来たのだけど・・

 

まぁ・まぁ、まぁ

 

想定内、ちゃ、想定内

 

ただ、泣かないから・・

もう少し理解するのに

時間がかかる・・かな。

 

 

私の彼氏がSUGAだという事。

 

 

 

 

口で言っても、たぶん

信じてもらえないから

ユンギに動画送ってもらったけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

45分・・経った

 

 

「えーっと・・そろそろ、

話せる?」

 

「・・・ん」

 

「とりあえず、その、私とユンギの」

 

ユンギっっ!?

 

いや、目、怖い

「んーっと、まあ、うん・・」

 

 

 

「OK。・・話、すすまないね。

いいよ」

 

 

「あっ、でね」

ちょっと待ってっっ、

 

 

 

 

・・・・。

 

帰りの新幹線に間に合うかな。

 

 

しばらく待っていると、

深呼吸した彼女は、私の方

ではなく、正面のテレビの方へ

身体を向けて目を閉じた。

 

 

「OK・・いいよ、何?」

 

「その、・・まだ、公式発表

されてないんだけど」

 

「ん」

 

「ほら、テテとSakuraが

結婚するんだよ・・ね」

 

 

 

 

「ん」

 

・・あら?そこは、大丈夫なんだ

 

「で・・パーティをするんだよ。

もう、内輪だけで」

 

「ん」

 

「来月の14日なんだけど・・

ナギ、来ない?」

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

「来る?」

 

 

「ん」

 

 

・・・大丈夫か

 

「休みとか・・とれそう?」

 

ゆっくり目を開けたけど

相変わらず、私の方は見ない。

 

スッと背筋を伸ばして答えた。

 

「すず、私も言ってなかったけど、

来月12日から渡韓するんだ」

 

「えっ!! いつまで?」

 

「15日まで。13日の記念日に

韓国にいたくて。修もいつも

色々、頑張って来たし、

行っておいでって言ってくれて。

その間は、向こうのお義母さんが、

家、来てくれる事になってて」

 

「そっか・・じゃあ、休みは、

大丈夫なんだね。あっ、誰かと

行く事にしてたの?」

 

「・・すず、誘おうと思ってて」

 

「私!?」

 

「・・忙しすぎて忘れてたから、

結果、1人」

 

・・・・。

 

「じゃあ・・結果・・

オーライってこと・・」

 

何かを悟ったように

静かに頷いた。

 

「すず、これは、神様の

思し召しなんだよ」

 

「・・カトリックだったっけ?」

 

「浄土真宗」

 

「あぁ」

 

 

 

 

 

・・・なんの話だ

 

 

 

 

 

 

「すず、私、・・生きてる?」

 

「見るかぎり」

 

「・・も1回、確認するけど、」

 

「どうぞ」

 

「テテとSakuraが結婚すると」

 

「そう」

 

「で、内輪だけでパーティをすると」

 

「うん」

 

「それに今、私は招待されて

参列できると」

 

「ナギが・・大丈夫なら」

 

 

 

「・・それが、できるのは、

すずが・・・ユンギの・・

彼女・・だから」

 

「・・そ、だね」

 

 

 

 

大きく息を吐いた親友

 

 

 

 

 

「・・引くわぁ」

 

「なんでよ」

 

 

あっ、

 

ようやく、こっちを向いた

彼女の目に涙がたまってきた。

 

ちょっと、ホッとした。

 

「また・・また、私に隠し事

・・してたって事でしょ」

 

「いや、・・隠し事っていうか

あの・・ほら・・やっぱり

言いづらいというか、あっ、

もちろんナギを信用してないとか

そういう事じゃなくて・・その」

 

「そんなのわかってるわよっつ

ベラベラ話せない事ぐらいっっ」

 

泣き出した。

 

「・・ごめん」

 

「私が・・私が・・言いたいのは

・・相手が誰であれ、すずが泣く事

ができたって、聞いた時嬉しくて、

嬉しくて、よかっ・・たって、

キツイ時に、も、我慢して笑う事

しなくて済むんだろうなって。

まぁ、・・それが私じゃなかったから、

・・悔しかったけど、その相手が、

ゆ、ユンギで、・・・」

 

・・・・。

 

「でも、ユンギだったから、また、

我慢・・してた事あったでしょ

せっ・・かく、せっかく、すずが

・・泣けるようになったのに・・

彼氏できたら・・普通だって、

いっぱい話したくなる事

あるじゃん、ノロケたり、愚痴ったり

・・それを・・私は・・また、

・・隠されて」

 

伸ばした腕の中に素直に

入って来た親友を抱きしめた。

 

「ごめん、ごめんね、ナギ」

 

「い、いまさら、遅いわよ」

 

「・・どうしたら、

許してくれる?」

 

「・・・約束して、今度から、

ユンギとの事は私にも話すって

・・いくら、相手がユンギでも

すずを苦しめたら、許さないから」

 

「・・うん」

 

「それに・・」

 

「何?」

 

「もし、・・危ない事あったら、

すぐ、日本に帰って来るの

わかった?・・すぐよ、・・すぐ」

 

・・・・。

 

「・・わかった。約束する」

 

ふっと耳元で息が漏れた後

本格的に泣き始めた親友に

ひっぱられるように

涙が出て来て・・

やっと、自分の前で泣いたって

拍車をかけて泣き出した

親友としばらく抱き合った。

 

 

 

 

 

「・・エステ予約しなきゃ・・」

 

「え」

 

何かを呟いて

ガバっと身体が離れた。

 

「まって、美容室と、ネイル

・・あっ、服買わなきゃ

次の休み・・あぁ~幼稚園の

行事だった・・その後・・

修、夜勤じゃん・・え、と

いや、あんまり早くしてもな・・」

 

カレンダー前で忙しくなって

 

またピタっと止まった。

 

 

「・・痩せなきゃ、やばい、

やばい、マジでやばい」

 

「・・大丈夫だよ」

 

・・いや、だから、目、怖いって

 

 

 

「すずにはわかんないわよっっ

あんたは、もうユンギに

選ばれてるんだからっっ

・・リアルユンギの女が親友って・・

マジで、・・もう、どーしたらいいか

わかんないじゃんっっ」

 

 

ごめんって・・。

 

「・・プリンは?食べない?

〇〇〇〇のだよ」

 

 

 

 

「・・食べる。ダイエットは

明日からにする」

 

 

「・・OK、あっ、パーティの時の

服とか靴は準備するから。

ドレスコード作ったみたいだから。

そだ、ホテルキャンセルして、うちに」

 

「・・うち?ユンギと過ごした?」

 

「あぁ・・まぁ、」

「無理。死ぬ。いくら、私でも

自制できない」

 

死ぬって・・しかも自制って

「何が?」

 

 

「写真撮るの」

 

「写真?」

 

「プライベートの」

 

「あ・・あぁ、でも、ナギが

泊まるならユンギは来ないよ」

 

「それでもダメ。彼の

プライベートには入らない。いくら、

リアルユンギの女が親友だとしても、

私は1アミ。それとこれとの

ラインは引かなきゃ」

 

・・・・

「アミの鑑だね」

 

「・・って言ってた事、

ユンギに、ちゃんと伝えて」

 

 

 

 

「・・ちゃんと伝えるよ」