グラスの中で氷が音を立てた。
「私が実在するのかって
言ってたでしょ」
「・・あぁ」
「残念だけど実在しないわ。
キム・ミアとしての人生は、
13年前に止まったの。父親の
遺体を発見したその時間から、
もう、止まったのよ」
「キム・ミアの人生か・・。
じゃあ、俺が・・その・・」
「何?」
「俺が・・愛したのは・・
誰だったんだ」
・・・・。
「誰でもない・・・
私は、どこにも存在しないから。
あなたに全て話したのは、
もう消えるからよ」
「・・・・お前の手を
・・離したくないって言ったら」
「・・・消えるから教えとく」
テーブルの上にグラスを置いて、
まっすぐに彼を観た。
最後ぐらい
嘘がない言葉を
「今まで家族しかいなかった。
家族が全てだった・・。
なのに、キム・テヒョンの
記事を渡したのは・・それが
妹を苦しませる事に
なるかもしれないのに、
あなたに渡したのは・・
たぶん 初めて
愛したからだと思う。
あなたの望みを叶えたかった。
だから・・だからこそ、
こんな壊れた私の手を、
あなたに握らせる訳にはいかない」
「壊れたモノ同志だぞ」
「・・私がもっと壊れてるのは、
知ってるでしょ。じゃあね、
嘘の世界で頑張って」
「・・あぁ。頑張るよ。
この世界にいたら・・
いつか、また会えるだろ。
・・キム・シナに」
「・・・それは、妹の名前よ」