【23:08】

 

 

Rrrrrrr

 

 

 

ん?

 

あっっ

 

「オッパっっ」

 

『おー』

 

「電話、できるの?仕事は?」

 

『あ~、作業してる』

 

「あっ、そっか、

じゃあ、もういいよ」

 

『え?』

 

「声聞けてよかった。集中して」

 

『いや、まだ、大丈夫』

 

「ダメよ。オッパには、

曲、作ってもらわなきゃ。

もう、誰にも、文句1つ

言わせないような

すっっっごい曲。まあ、

私的には、今までのバンタンでも

全然大丈夫なんだけど、

最近、バンタンを知った人達も

いるみたいだし。はい、じゃあ、

集中して」

 

『い、いや、ユジョンア』

 

「ん?」

 

『あ~、その、・・』

 

・・?

 

「何?なんかあったの?」

 

『明日はバイトか?』

 

「ん?うん、あれ?スケジュール

送ってなかったっけ?

明日は早番で、スホ迎えに行って、

月曜日が休み」

 

『あっ、スホ帰って来るのか?』

 

「うん、明日帰って来て

水曜日から大学」

 

『月曜日休みか・・』

 

「・・なんで?」

 

『あっ、いや・・』

 

「へんなの・・あっ、そだ。

もう聞いた?」

 

『何を?』

 

「イチカオンニ、月曜日、

日本に行くって。なんか、

授賞式に出るんだって。

顔出しして会見するって言ってた。

だから、私空港まで送るって

言ったんだけど、大丈夫って

断られちゃって。まあ、

変装してたらバレないって

実験済みだけど。でも、

会見とかしたら、こっち

帰ってこれるのかな。また、

テヒョンさんの事とか」

 

『ユジョンア』

 

「ん?」

 

『2人は・・別れたんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

『2人は、別れた。

昨日、2人で会って・・

そう決めたみたいだ』

 

 

別れた・・

 

 

 

オッパの言ってる意味が

わからなかった。

 

そんな事、オンニは一言も

 

 

・・・・。

 

 

 

“7人の彼女会か・・

私も行きたかったな”

 

・・・・。

 

あの笑顔。

 

 

じゃあ、もう、あの時には

決めてた・・って事

 

『ユジョンア、聞こえるか?』

 

「・・ん」

 

『今は、2人が決めた事だから、

俺達も頷いたけど、それで

いいって思ってるメンバーは

1人もいないから。必ず、

2人は元に戻すから』

 

 

「・・ホント?」

 

『あぁ、今は、この状況を

乗り越える為に必要な事だと

思って、少しの間、我慢できるか?』

 

ゆっくり、言葉を置くように

オッパが耳元で話す。

 

「・・それ、他のオンニ達も

知ってるの?」

 

『一応、それぞれが

伝えるようにはしたけど』

 

 

 

「・・そっか・・スズオンニ

・・大丈夫かな」

 

 

 

『・・うん、どっちにしても

ユンギヒョンが月曜日、

東京に行くから会ってくるって

言ってた。もしかしたら、

スズさんは、ヌナが直接

話をしてるかもしれないし』

 

 

 

「・・そうだね。“妹”みたいって

言ってたし・・でも、ホントに

今だけだよね、今を乗り越えれば」

 

『あぁ、俺達がどんな手を

使ってでも、元に戻す、

ヌナの方は彼女組みに頼むかな』

 

「・・ん。うん、わかった。

その時は、どんな手を使っても

オンニを説得する」

 

『さすが、俺の彼女は

頼りになるなぁ』

 

「・・そうでしょ・・」

 

 

・・・・。

 

 

 

「オッパ」

 

『ん?』

 

 

 

 

「オッパは・・離れないよね」

 

 

 

私を置いて

 

『離れない。約束したろ?

俺は、ユジョンアのいない

未来はつくらない。

ずっと傍にいるって。

それを重いとか言ったのは

そっちだろう』

 

・・・・。

 

 

「重いとか、言ってないよ・・

ん?言ったっけ?」

 

『旅行の時』

 

旅行・・

 

「あぁ~・・よく覚えてたね」

 

『テストで満点取らないと

いけないからな』

 

ホントにテスト勉強してそうで

笑ってしまった。

 

 

 

『よし、じゃあ、作業続けるよ』

 

「ん、頑張って」

 

『明日、早番なら、もう、寝ろよ』

 

「わかってるよ・・ホント、時々、

アッパみたいになるよね」

 

『・・・』

 

「嘘だよ。電話、ありがと。

声、聴けて嬉しかった。

・・愛してるよ」

 

『俺も愛してる。おやすみ』

 

「おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手に力が入らなくて

持っていたスマホは

耳元から一気に離れた。

 

 

ホントに

 

私って・・

 

自分のバカさ加減に

心底、嫌気が差した。

 

目の前が歪む。

 

情けなくて

涙が出て来る。

 

 

 

 

 

 

 

時間・・戻らないかな。