「結婚式?」

 

ジミンが目を開いて声を上げた。

 

“知り合いの知り合い”の話を伝えた。

 

「あぁ、彼女の希望らしい。」

 

「でも13才なんでしょ?」

 

ジョングクの言葉に重なるように

 

「好きな人がいるの?」

 

テヒョンが聞いてきた。

 

「いや、彼女の中で、みんなを

いっぺんに幸せにできる方法だと

思ったらしいよ」

 

俺の代わりに答えたホビの言葉を

 

「いっぺんに・・」

 

ユンギヒョンがなぞる。

 

「彼女、少し前まで、自分が

いなくなった方が家族が泣かずに、

今より笑って暮らせると思って

手術を拒否していたらしい」

 

一瞬、みんなの口が閉じた。

 

「それにしても・・」

 

ジニヒョンの声に視線が集まる。

 

「よく知ってるな、ホバ・・。」

 

・・・・。

 

あ~

 

と言いながらこっちに視線を向けてきた。

 

「・・って言ってたよな、ナムジュナ」

 

ホビの言葉に、できるだけ

不自然にならないように頷いた。

 

「あぁ、ホバには、・・

先に、話してたから。」

 

お互いの彼女からの話なんて言える訳ない。

 

「・・で?、その結婚式が

どうしたんだよ」

 

ユンギヒョンが、先を促す。

 

「彼女を応援したくて、

曲を作ろうと思ったんだけど・・

なかなか、このスケジュールでは

さすがに無理かなと思って。」

 

 

 

「行った方が早いんじゃない?」

 

「おまえなぁ、そんな事

できる訳ないだろ」

 

ジョングクの言葉に、タメ息を

つきながらジミンが答える。

 

「俺達の曲の中で、彼女が好きな歌

歌って贈るとか・・」

 

ジニヒョンの言葉に

カトクの画面に視線を落とす。

 

「彼女が好きな曲は

“Mikrokosmos”

“Answer : Love My self”

“Light”それから

“FOR YOU”」

 

「FOR YOUって日本語…」

 マンネの言葉を聞きながら

画面をスクロールする。

 

「“FOR YOU”はMVが好きだって。

すぐ近くにいるような気がするって。」

 

 

「その子、日本語、わかるの?」

 

「いや、調べて、覚えたらしいよ。

・・ずっと、俺達の事を

知ろうとしてくれて応援してくれてた。」

 

「・・確かにそこまで想ってくれてるのに、

今までの曲っていうのもな」

 

ユンギヒョンが、つぶやくように言った。

 

「やっぱり、恋愛とかじゃなくて、

こう、応援できるようなのがいいよね」

 

ジミンの言葉に

頷いたホビが言葉を足す。

 

「まだ人生は、始まったばかり、

楽しい事が溢れてる、

なんの心配もしなくていいって

そういうイメージで、花も依頼」

 

「花?」

 

間髪いれずに入り込んだ

ジニヒョンの言葉に

ホビが口を結んだ。

 

 

・・喋りすぎだろ。

 

取り繕う言葉を探してた時

 

「花・・あっ、じゃあ、

作詞、ヌナに頼んでみたら?」

 

テヒョンが

キラキラした笑顔で言った。

 

・・・・。

 

 

「Sakuraが・・作詞」

 

思わず喉がなった。

 

Sakuraが、・・

あの人は、どんな言葉で表すんだろう。

どんな色をつけるんだろう。

 

個人的にすごくすごくすごく

興味が沸いたけど

 

「でも・・忙しいんじゃないか?」

 

また、こっちの事に

巻き込むような・・

 

「いや、たぶん、大丈夫だよ・・。

どーせ、用事があるって・・言ってたし」

 

段々、スピードを落とす言葉と一緒に、

 

どこ見てんだよ。

 

床のどっかを見たまま

タメ息をついたテヒョンの肩を

勢いよくマンネが叩いた。

 

「じゃあ、頼んでみようよ。

ヒョンの頼みなら、ヌナも聞いて

くれるよ。だってヌナは

ヒョンの事、・・」

 

 

視線を移したテヒョンの目を

まっすぐ見たマンネは

しっかりためて、

 

「ヒョンの事・・愛してるんだから」

 

優しく言った。

 

 

「やめろよぉ・・後で聞いてみるよ。」

 

そう言いながら、

テヒョンの顔が溶けた。

 

 

さすがだな・・。

 

たまに、どっちが年上か

わからなくなる。

 

 

「じゃあ、まずは、その返事

次第だな。よし、時間だ。」

 

ジニヒョンの言葉に

みんな立ち上がった。

 

 

 

 

 

スタジオに向かう廊下

 

「ジミナ」

 

「ん?」

 

 

みんなの前では言えなかった。

 

「彼女の1番好きな曲・・

“約束”だってよ」

 

「え?」

 

「ジミンペンだって。あそこで言えば

うるさくなりそうだったから

言わなかったけど」

 

 

 

 

「そう、そっか・・。」

 

恥ずかしそうに笑った弟の表情に

思わず口元が緩んだ。

 

どれだけ、大きな舞台に

立つようになっても、

どんな賞をもらっても、

一番嬉しいのは

ARMYが傍にいると感じた時。

 

たった1人からの言葉でも

俺達を強くするには十分だった。

 

「手術・・うまくいったらいいな。

・・いや、うまくいくよね。」

 

「あぁ、・・プレゼント、

間に合うようにしなきゃな」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆