上記5回の連載の2回目を掲載します。

ご興味がある方は、すべて読んでみてください。

 

肝臓は、生きていくために最低限必要な基礎代謝量のうち21%を占めている。

肝臓は代謝界随一のマルチプレーヤー。

多芸な肝臓の5つの噺から、その多様な働きを学ぼう。

今回は「代謝を乱す脂肪肝」について。

[取材協力/栗原 毅(栗原クリニック 東京・日本橋院長)

コロナ太りになったら、脂肪肝を疑うべし。

肝臓には中性脂肪を蓄える働きがあり、健康な人でも2~3%の中性脂肪を貯蔵する。

これが10%以上になるのが、脂肪肝。いわばフォアグラ状態であり、肝機能が落ち、代謝もダダ下がりとなる。

消費されずに余ったカロリーは中性脂肪となり、体内に蓄積する。これが体脂肪の正体。体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があるが、そこに収まり切れない体脂肪は、それ以外の場所(異所)に溜まる。これを異所性脂肪と呼び、その代表格が、ほかならぬ脂肪肝なのだ。

「脂肪肝は皮下脂肪や内臓脂肪と並行して溜まります。コロナ禍で運動不足と宅呑みが増え、コロナ太りでクリニックを受診する患者さんに、脂肪肝が一気に増えました」(肝臓専門医の栗原毅先生)

肝機能が正常範囲内でも脂肪肝は始まっている。
沈黙の臓器ゆえに、脂肪肝になっても痛くも痒くもないから、ほったらかしにして悪化しやすい。

そこで頼りになるのが、血液検査での肝機能の数値。

注目すべきなのは、γ―GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)。

いずれも肝臓内の酵素であり、肝細胞が破壊されると血中で増えるため、肝臓のコンディションを反映する。

脂肪肝の患者を数千人も診てきた栗原先生は、これらの数値が基準値の範囲内でも、脂肪肝が生じているケースが多いという。

「AST、ALTのどちらかが17IU/L以上で脂肪肝が始まったと覚悟しましょう。両者を16IU/L以下に抑えると脂肪肝が良くなり、肝機能も代謝も改善します」


脂肪肝は飲みすぎより、食べすぎで生じる!

血液中の脂質というとコレステロール値を気にする人は多いが、肝臓にとって要注意なのは、むしろ中性脂肪。

その溜まりすぎで脂肪肝になると、肝臓の性能が落ちるうえに、油断すると肝炎⇒肝硬変⇒肝臓がんと進行する恐れがある。

肝炎にならなくても、心臓病や脳卒中を招く動脈硬化のリスクも上がる。

その昔、脂肪肝はお酒の飲みすぎで生じるといわれてきたが、現在では食べすぎによる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増えた。NAFLDを放置して炎症が続くと、肝細胞が傷み線維化が起こる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)となり、

その10~20%は5~10年で肝硬変に至る。

皮下脂肪や内臓脂肪を落とすには2~3か月かかるが、脂肪肝は嬉しいことに、より短時間で落とせる。

次ページ以降の対策を行うと脂肪肝は1週間ほどで減り始め、代謝も大復活するはずだ。

脂肪肝は代謝を乱し、糖尿病へまっしぐら。

 

脂肪肝の影響は肝臓だけに留まらない。糖尿病にも波及し、脂質異常症、さらに高血圧を発症することも多いから要注意だ。

糖尿病は、血糖値が高くなりすぎて下がらなくなる病気。

血糖値を下げるインスリンというホルモンの効き目が落ちて生じる。

日本人の糖尿病の90%以上は、食生活の乱れや運動不足など悪しき生活習慣による2型糖尿病。

予備群を入れると約2000万人が病む。

「肝臓には血糖を取り込んでグリコーゲンとして蓄える働きがある。

脂肪肝になると血糖を蓄える力が落ち、行き場のない血糖が血液中に溢れて血糖値を上げるのです。

AST、ALTを16IU/L以下にして脂肪肝が解消すると、血糖値も下がり糖尿病も良くなります

 

ご飯など糖質の摂取を10〜15%減らしてみる。

フォアグラ気味で弱った肝臓を元気にする第一歩は、摂りすぎている糖質を適度にセーブすること。

「脂肪肝を作る元は、脂肪よりも糖質。糖質が肝臓で中性脂肪に変わるのです。

甘いお菓子を減らす、ご飯を小盛りにするなどの工夫で、糖質の摂取を10〜15%ほど減らせば、脂肪肝はリセットできる。

極端な糖質制限やカロリー制限は、飢餓と勘違いしたカラダが肝臓へ脂肪を送り込み、低栄養性脂肪肝を起こすので控えてください」

(肝臓専門医の栗原毅先生)

糖質のなかでも、お菓子、白米、食パンなど、食物繊維が少なくて吸収が早い食事は、血糖値を急激に上げ、肝臓に中性脂肪を溜める。

食物繊維が多く、血糖値を上げにくい玄米、全粒粉パンのような糖質源を選ぶようにしたい。

緑茶カテキンで肝臓を守る。飲むだけではなく食べよう。

肝臓内では代謝が盛んであり、それだけ酸素の消費量も多い。

酸素の一部は有害な活性酸素に変わり、肝細胞にダメージを与える。

そこで愛飲したいのが、緑茶。緑茶に含まれる茶カテキンはポリフェノールの一種であり、抗酸化作用で肝臓をガードしてくれる。

茶カテキンには他にも御利益が。

高濃度で茶カテキンを摂ると、脂肪肝の解消に近づく。肝臓で脂肪燃焼酵素を増やし、脂肪の代謝活性も上げるのだ。

加えて茶カテキンは糖質の吸収を抑えるので、血糖値の急上昇が避けられる。

「茶カテキンの約60%は茶殻に残っています。急須でお茶を淹れて、茶殻は佃煮などで食べると、茶カテキンを100%享受できます」

肝臓を養うタンパク質を肉、魚、卵などから摂る。

糖質を減らした分、肝臓のために増やしたいのが、タンパク質。

肝臓の働きを示すものに、血液中のアルブミン値がある。

アルブミンは肝臓が作るタンパク質で、栄養素や代謝物を運び、浸透圧を保つ。

アルブミン値が低いのは、肝臓の機能が落ちているか、タンパク質が足りてないか。

肝機能の数値が正常なのに、アルブミン値が低いなら、タンパク質が欠乏している恐れがある。

タンパク質は肝臓自体を作るし、肝臓と密接な関係がある筋肉の原料でもある。

肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品という5大タンパク源を1日1回摂り、タンパク質をチャージ。

アルブミン値は4.4g/dl以上が目標。5.0〜5.3g/dlが理想だ。

 

カカオ含有量70‌%以上の高カカオチョコを少しずつ。

茶カテキン以外に、活性酸素から肝臓を守るポリフェノールが意外に多いのが、チョコレート。

カカオ含有量70%以上の高カカオチョコレートには、カカオポリフェノールが多く含まれる。

低糖質なので、糖質過多の心配もない。ポリフェノールというと緑茶以外では赤ワインが有名だが、高カカオチョコのポリフェノール量は赤ワインの約15倍にものぼる。

「ポリフェノールは水に溶ける水溶性なので、摂り貯めできません。小分けされている高カカオチョコを1回5gほど、1日5回に分けて計25g食べると効果的です」

これまた意外なことに、高カカオチョコは食物繊維もリッチ。糖質の吸収を緩やかにして、脂肪肝を招く血糖値の急上昇も防げる。

■肥満と脂肪肝をもたらす早食いと夜食をセーブ。

早食いと夜食がデブの元凶となるのは、小学生でも知っている。

そして困ったことに、どちらも肝臓のストレスにもなっている。

早食いだと、脳が満腹を感知する前に過食しがち。

そのうえに糖質が一度にドッと入って血糖値を上げるので、血糖が肝臓に脂肪としてどんどん溜まる。

「肝臓のためにせっかくタンパク質を摂っても、早食いだと消化・吸収が追い付かず、体内で利用されずに排出されてしまいます」

あとは眠るだけなのに、夜食を食べると太りやすいのも、納得できる話。しかも体脂肪を溜める酵素を増やすBMAL1は昼間より夜間に盛んに働くため、夜食は肝臓や筋肉に体脂肪として蓄積する。

■スクワット+速歩で肝臓をアクティブ化。

肝臓を助けて代謝を高めるには、運動もお忘れなく。

まずは筋トレ。筋肉は糖質と脂肪をエネルギーとして消費する。筋肉が減ると、糖質も脂肪もダブついて脂肪肝予備群となる。筋トレで筋肉を刺激して増やそう。あれこれできない人は、下半身の筋肉を鍛えるスクワット一択。5秒かけて上下するスロースタイルで、毎日10回×1〜2セットやりたい。

続いて有酸素運動。ランなどの有酸素は、運動中に無駄な体脂肪が燃やせる。太ると筋肉内にも異所性脂肪が溜まり、血糖を取り込むインスリンの効き目が落ち、脂肪肝を進める。有酸素では肝臓と筋肉の異所性脂肪から燃え、インスリンの効き目が復活。走るのが苦手なら、速歩での散歩で十分。

 

 

私は、内分泌代謝内科で、二か月に一度、肝機能、腎機能、甲状腺機能、血糖関連、中性脂肪、コレステロールなどを

検査しています。

 

AST 22⇒23⇒26⇒19

ALT 15⇒20⇒14⇒10

最後の数字が、5/12の検査

上記::両者を16IU/L以下に抑える

まだ、あと少し努力が必要です。ASTが19ですので。

上記の改善方法を参考に、もう少し頑張ります。