華厳寺大本山東大寺の大仏殿で7日、本尊盧舎那仏坐像(国宝)の“お身拭い”が行われた。大仏さまに積もった1年間のホコリを払う夏の恒例行事。白装束の僧侶や信者たち約170人が約2時間がかりで隅々まで掃き清めた。

 大仏殿の開門はいつも通り午前7時半。その20分ほど前、最寄りのバス停「東大寺大仏殿·春日大社前」に到着。南大門に向かっていると、参道脇で雄鹿の集団が日向ぼっこをしていた。雄鹿が30頭あまり。角の枝が3つに分かれた3歳鹿が多く、立派な角にしばし見とれた。

 開門10分前。朱色の中門手前には西側奥にある入場口から長蛇の列ができていた。そして開門間近になると、その列は東側の大仏殿出口のそばまで延びていた。
 堂内に入ると、既に大仏さまの魂を抜く法要を終え、頭頂部で数人がハタキなどを使って螺髪(らほつ)を清掃中だった。しばらくして「西」「中」「東」の3人がゴンドラで吊り上げられた。足場のないお顔や胸の部分を担当する重要な役目を課されている。
 大仏さまは座高が約15m(台座を含めると18m)。施無畏印(せむいいん)の右手は手のひらの長さが約1.5m、中指だけでも約1.1mもある。その右腕に乗った人が下でロープを引く人たちにハンドマイクで指示を出し、3人の高さを調整していた。
 大仏さまの両側に鎮座するのは2体の脇侍仏。向かって左に虚空蔵菩薩坐像、右に如意輪観音坐像(いずれも重要文化財)。それらの仏像と周りも丁寧に清掃されていた。
 時計回りに背後へ。黄金色に輝く光背には多くの化仏が配されている。大仏さまとともにその光背の大きさを実感。その分厚さも驚くばかりだ。
 お身拭いもいよいよ終盤へ。ゴンドラの3人も胸の下側部分の掃除に差し掛かった。堂内の一角には役割を終えた箒やハタキが一カ所にまとめて置かれていた。
 お身拭いの様子を第225世別当(住職)の橋村公英さんが見上げていた。そこに一人の女性が近寄って記念撮影。えっ、河瀬直美さん! 奈良市出身で、『萌の朱雀』以来、カンヌ国際映画祭の常連。今や審査員まで務めるほどの世界的映画監督だ。2020東京五輪の公式記録映画の監督も務めた。
 大仏殿の外では賓頭盧(びんずる)尊者の掃除もほぼ終わっていた。病人が患っている箇所と同じ部分を撫でると治る。その伝承から”撫仏“とも。ただ見上げるほどの高さで、手が届くのはせいぜい足の部分。「頭を撫でなさい」。母親の言葉に、男児が「無理やろ。届くわけない」と口を尖らせていた。
 帰途、南大門そばの「東大寺ミュージアム」まで来ると、その前に大仏さまの両手の実物大レプリカが展示されていた。与願印の左手は中指の先からの長さが約3.3mも。ここでもあらためて巨大さを実感! (㊦大仏殿の正面参道に立つ国宝「金銅八角燈籠」)
 東大寺は8月13〜14日の午後7〜9時、大仏殿を「夜間参拝」(入堂無料)として開放する。中門と観相窓が開いて、お顔を屋外から拝することができる。15日夜は「万灯供養会」(有料)。