春日大社万葉植物園(1932年開園)の園内にある「藤の園」が来園者でにぎわっている。20品種約200本を誇る関西有数の藤の名所だが、28日訪ねると例年より咲き進むのがやや早いのか、「九尺藤」や「白野田藤」など遅咲き種もはや見頃を迎えていた。

 表参道に面した正門前には「藤開花 4月下旬〜5月上旬」の立て看板。そこには「早咲きから中頃咲き開花中」とあって、9つの品種名が掲示されていたのだが——。
 春日大社は藤原氏ゆかりとあって社紋も「下り藤」。なので「藤の園」の品種構成や仕立て方なども豪勢。一般的な棚造りではなく「立ち木造り」にこだわっている。このため目線の高さで花をより身近に愛でることができるのだ。
 国内の藤は大きく分けると野田藤系と山藤系の2つ。「九尺藤」など野田藤系は花穂が長く、上(基部)の方から下に向かって順に咲いていく。
 一方、山藤系は花穂が短いが、花弁はやや大きくてほぼ同時に咲く。早咲き種が多く、開花時期は野田藤系より早い。(下は「昭和紅藤」)
 
【女性が池に転落! 藤の花に見とれて?】
 「藤の園」で約2時間過ごし花と香りを満喫。締めくくりはやっぱりあの場所、と向かったのは藤の花の間に木製の橋が架かる池のほとり。純白の白野田藤が咲き誇り、その足元にアヤメが咲く、その色のコントラストが気に入った。
 橋の手前には「転落注意」の標識。「景観を守るため橋には柵を設置しておりません」と書き添えられていた。そばでは白い法被姿の係員がメガホンで繰り返し呼び掛けていた。「転落防止のため、橋の上での写真撮影はご遠慮ください」。さらに「昨日もお一人転落しましたので」とも。
 写真を撮り終え一休みしている時だった。午前11時半すぎのこと。「ドッ、ボーン!」という大きな音が鳴り響いた。「誰か落ちはったみたい」と女性の声。早速、様子を見ようと橋の上に向かった。
 すると、やはり人が落ちていた。中年の女性だった。先ほどまで拡声器で注意を呼び掛けていた係員や来園者らしい男性が協力して助け上げる最中。無意識にシャッターを4回押した。花に見とれ足を踏み外したのだろうか。それとも橋の段差に躓いたのか。
 助け上げられた女性は全身ずぶ濡れ。法被姿の男性もおしりまで水に浸かっていた。その後、女性は係員に付き添われ正門方面へ。普通に歩いていたようだけど怪我しなかっただろうか? それから暫くたってからだった、メガホンの注意喚起の声が蘇ってきたのは。ごめんなさい、橋の上でつい写真を撮ってしまって。