50m射撃を始めると、それまでのインドア10m射撃では経験しなかった「風」という要素が射手と標的の間に介入してきます。ISSF射撃、ことに50mライフルでは10点のサイズがかなり小さくなっていますので、風の影響は比較的大きいと言えます。ただ、それほど難しいことを覚えなければならないわけではないので、皆さん腕前の割に風を気にし過ぎではないかと思っていますが。。。

ところで、田んぼを渉る風を見たことがありますか?台風4号の影響で風が強い日に何気なく田んぼを見ると、ものすごくわかりやすいイメージとして風を「見る」ことができました。リアルで見ると、不定形な生き物のように風が移動しているイメージをはっきりと見て取ることができました。写真ではそのへんはちょっとうまく伝わりません。みなさんも、風の強い日にそれと意識して田んぼのつらを観察してみてください(射撃をするには、田舎住まいの方が有利という一例です(笑))。少し高いところから見ることができれば一番いいです。風をどうかわしていけばいいか、かなりはっきりと見えてくると思います。敵を知れば、それに対処するのもずいぶん余裕がもてると思います。
かたばみ茶寮
かたばみ茶寮
(「スポーツと道具の関係」から続く)

そこで生まれたのが、ビームライフルやデジタルスポーツシューティングです。これらは銃刀法の規制対象となりません(それに関しても、開発に携わった方のご苦労はあるわけですが)。スポーツの普及を法が縛るなら、技術でそれを打開する。この国の特殊事情によるものとは言え、すばらしい取組みではないでしょうか。

ただ、課題はあります。日本ではまだ射撃スポーツの価値が広く認識されていないだけに、造ったはしからどんどん売れるというほどには製品がはけません。射撃スポーツを広めるがために生まれたはずのものなのに。。。鶏と卵の関係ですね。そこには、なんらかの知恵を働かせていく他ありません。

また、技術の進歩にともない、より優れたシステムが開発されるのは自然の理ですが、新しいシステムを導入していくには考えるべきことがあります。従来のシステムをどうするかが主な課題です。小さからぬ課題です。当然ながら、関係者の利害もからむでしょう。だから、面倒な話です。製品の価格がそれほど気軽に買えるものではないということも、この問題を面倒にする一要素です。

しかし、そこをてぶって(ほうって)いては、銃刀法の規制対象にならない射撃システムで射撃スポーツの普及を永続的に進めていくという戦略自体が成立しないでしょう。

「言うは易し、行うは難し」ですが、

製品を作るメーカーもちゃんと成り立っていく、儲かる。射撃スポーツも拡がっていく。なんとか流れのスイッチをそういう方向に切り換えていかねばなりません。

幻と戦ってしまうということがあります。水滸伝などに出てくる妖術にはわくわくしながらも、どうして騙されてしまうんだろうとエエモン(善玉です)を応援したり、自分ならそんなのには騙されないのにと思ったりします。

ところがどうして、現実世界で生じる幻にすっかりやられてしまうことがある。それらは、妖術で造り出されるものではなく、自分の意識が産み出してしまうものです。

「プレッシャーの正体見たり、枯れ尾花」という格言が射撃の世界にはあります(多分ある)が、これもプレッシャーは射手自身の心が産み出してしまう実体のない幻なのだということです。

そう言えば、スーチャックさんも事実の誤認識は射手にとってきわめて危険なものだと言っていました。誤った現状認識が、射手の誤った反応を引き出してしまうからです。

幻を産み出す素地は、感情のひずみや先入観です。顕在的である潜在的にあるにかかわらず、意識の範囲にそれらがあることが、好んで誤認識を発生させる環境となります。

それを防ぐのは、自分の意識の状態や、意識に忍び込んでいるものをしっかりと感知する力です。

「射撃は自己覚知のスポーツ」

かなり言い当てているのではないかと思います。対人支援をナリワイとする者にも、自己覚知は核心部分に座る要素であるらしく、似ているなと思います。