私の大好きな経営者、日本電産の創業者である永森重信会長兼CEO。今回は、『成長を支える現実的な経営とは』という講義から、企業の在り方を考えていきたいと思います。もちろん、民間企業と地方自治体は異なるため、イコールではないこと申し添えます。ちなみに、私が永森会長を尊敬するのは、物凄いリーダーシップです。会社の為なら、株主から何と言われても自身の信念を貫きます。私の地元、河上しげる県議に似ているところがあり、目指すべきリーダーです。
 
 
 
この質問に対し、『キャッシュ is キング』と断言します。
 
永森氏:「会社はいくら決算書で利益が上がっていても潰れんですよ。すなわち会社が潰れるときはキャッシュがなくなるときです。アメリカの企業がバタバタと潰れていく。それはキャッシュが足りないから。会社経営において最も重要なことはキャッシュやね。」
 
学生:「設備投資にキャッシュがかかると思いますが?」
 
永森氏:「無借金がいいとは全然思いません。銀行に預けても金利はゼロ。そのお金で新しい事業をすれば10%~15%の利益を出してくる。明らかに再投資をしなければいけない。なぜ会社が儲けなければいけないのかと聞かれたら、再投資をするため。もっと会社を大きく。だからキャッシュをもってなあかん。今、ロシアの問題、コロナの問題、中国で工場がロックダウンになっている。最後に安全地に行くにはキャッシュですわ。大きいだけではあきません。キャッシュですわ。そして必ずリターンね。借金をする。この借金はいつまでに返せるというはっきりとした形で借金しないと潰れる。」
 
永森会長:「築城3年落城3日、潰れるときはあっという間。絶えずリスクを考えなあかん。同じ所で物をつくらない。モーターは幸いありとあらゆるところに使われる。分散できるわ。全部が悪くなる時、それは国全体が悪くなるとき。」
 
学生:「投資するところも選ばなければならない。選ぶうえでコストをかける必要がある場所と、ここにはコストをかけないという場所の見極めが大事になってくると思うのですが?」
 
永森会長:「それはリターンや。それをやったときどれだけのリターンが返ってくるか。それで決める。リターンを受けたらコストをかけてもいい。儲からないものに投資はできひん。大体日本の若者が起業して失敗するのはリターンの計算ができひん。やることはわかっている。どんだけ儲かって借りたお金を返せるのか、その計算ができひん。」
 
学生:「リターンをするのに大事になってくるのが、商品をつくる上での背景、需要がどこにあってとか、目的とか、結果、どういう成果がでるのかと吟味することが大事だと思う」
 
永森会長:「一人の人間の能力なんてあれもこれもできない。アメリカのベンチャーが成功するのは、小さいころからエンジニアは技術を考えてこういう商品をやりたいと言う。それとは別にファイナンスに物凄く詳しいのと一緒にやる。だから彼がリターンの計算をちゃんとやってくれて・・。日本はエンジニアが社長をやって全部やろうとするわけ。だから失敗するんです。専門家同士をつくらないと成功しない。自分の得意なところに集中する。弱いところは人に助けてもらう。
 
永森会長:「私は社員が辞めたいと言ったとき説得したことはありません。辞めると前よりもいい奴が入ってくる。去る者は追わず、来るものはむかえる。
 
司会:「企業の価値を高めるのにあえて一つあげるとしたら何ですか?」
 
永森会長:「従業員と目標を同じくして一生懸命に働く。成長するために頑張っていく。一人でできひんわけ。だから去る者追わずというのは、そういう人を残すと、目標がくるってしまう。君が辞めていくというのは私のやり方に賛同できなくなったからやめるんでしょ。どうぞどっか行ってください。その片方でこの指止まれでまた集まってくる。同じベクトルの考え方を持った人が集まらないと大成功はできひんですよ。
 
まとめると、
①キャッシュ is キング
②得意な分野に集中し、弱い分野は助けを得る(絶えずリスクを考える。リターンはどれだけ返ってくるか。)
③同じ目標を持つ仲間が大成功へのカギ

 

 
実は平成30年の予算委員会で水道事業(企業会計)について、私がキャッシュに関する質疑をしています。
 
◆大塚健児委員
「(略)今回は現金預金についてお聞きします。我々も例えば個人的に家を買ったりマンションを買ったりするとローンを組んで固定資産をとりますけれども、何かあったときに大切なのはやはり現金であったり通帳の預金であったりするようになると思います。昨今、災害がいつあってもおかしくない中で、今この現金預金の予算額13億円、この額で何かあったときに対応できるのかどうか。対応できないのであれば、やはり使用料の見直しをするべきだと思いますけれども、いかがかお考えをお聞かせください。」
 

◎水道部総務課長 

 災害対応に係る費用につきましては、災害の程度により所要となる額が異なりますので、現在の現金預金で十分か、また料金の見直しを図り、どの程度の利益を確保していけばいいのかという判断は難しいところでございますが、リスク管理の観点から、年間給水収益の半年から1年分を確保しているところでございます。

 大塚委員の貴重な御意見は私どもも十分承知しておりますが、大規模災害からの復旧に際しては一水道事業者の資力では賄い切れない場合もございますので、災害復旧に係る財政支援を視野に入れた資産活用を図っていきたいと考えております。

 

 

◆大塚健児委員 

 これからは何が起きるかわかりませんので、いつ災害が起きても機能が停止しないように現金を確保してほしいと思います。

 答弁では、リスク管理から給水収益の半年から1年分を確保しているということでした。個人的には、考え方の違いですけれども、先に現金を確保して、余った額で流動資産をやるのか。それとも、流動資産を先にやって、余った額を貯金、現金として所有するか。考え方の違いですけれども、これから何が起きるのかわからない点を考えると、最低限の額をしっかり現金として確保したほうがいいのかなと要望とさせていただきます。

 
 
数年前の私は『キャッシュ is キング』の質疑をしていました。永森会長が言う「成長を支える現実的な経営」という視点を持っていたいたことは良かったです。
 
先にも述べましたが、民間企業の決算と地方自治体の決算は異なるため、一概に比較検討することはできませんが、永森会長の「現実的な経営」をベースに松戸市の財政を考えることも重要だと考えます。
 
 
以下は、松戸市の貯金額です。グラフより、大体同程度で推移していることがわかります。
 
①何か天災・人災があったときに、この貯金額で耐えることができるのか。どれだけの現金があれば足りるのか。
②行政が借金をして投資をする際、リターンをどれだけ見込んでいるのか。
 
まだまだ財政について、私は勉強不足であり、永森課長の『現実的な経営』をベースに、研究していきたいと思いました。本当に尊敬する経営者であり、創業者です。
 

 

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