難民、子ども兵。こうした言葉を聞いて、どういったイメージをもつでしょうか。日本にいると「かわいそう」と思うくらいで、どこか遠い存在のように感じるのではないでしょうか。

 

ウガンダで活動する僕にとってすら、決して身近な存在ではありませんでした。でも、ウガンダには現在も数多くの難民や元子ども兵の方々が暮らしています

 

1月20~22日、ウガンダ北部の難民居住区で行われたイベントに参加してきました。今回はイベントを通して学んだウガンダの難民や子ども兵の現状についてまとめます。

 

  子ども兵とは

子ども兵とは、18歳未満の子どもの兵士のことです。コンゴや中央アフリカの内戦の際、ウガンダで子どもたちが誘拐され、各国で子ども兵として使われてしまうということがありました。

 

誘拐の際、故郷に戻りたいという気持ちを持てないようにするため、子どもたちは村の人々や両親を殺すように命じられることもあったそうです。もちろんそれに従わなければ、子どもたち自身が殺されてしまいます。

 

誘拐された元子ども兵の人たちがなぜ今ウガンダにいるかというと、誘拐先から自力で逃げ出してきたから。

 

逃げる際には、マーチソン滝の近くの川を泳いで渡ってきたそうです。この川にはワニやカバも住んでいます。

カバの群れもウジャウジャ…

誘拐先や敵の兵士から殺されるという恐怖に加えて、野生動物に襲われる恐怖も抱えながらの逃走。僕たちには想像もできないくらい、過酷な道中だったことでしょう。

 

また国連軍に保護されて帰国がかなった人たちもいるそうです。もちろん、兵士としての戦闘中や逃走中に命を落としてしまった人もたくさんいます。


無事に逃げることができた人たちも、先述のように村の人や両親を殺してしまっているため、生まれ故郷には帰れません

 

そのためテラルネッサンスなどのNGOがウガンダ国内での生活をサポートしているそう。住居の確保だけでなく、コミュニティを創ったり心のケアをしたりといった、心理社会的支援も行われているそうです。

 

  難民とは

難民とは、戦争や差別などの理由で母国を離れ、外国へ避難した人のことを言います。多くは陸路や海路、河路を自力で越えて近隣国へ避難し、その国の政府などに助けを求めます。

 

国際的には1951年に国連会議で採択された「難民条約」、1967年に作られた「難民議定書」によって、難民への救済や支援が義務付けられています。

  難民居住区

難民キャンプと聞くと、シートで簡単に作られたテントで生活しているイメージをもつと思います。僕も行ってみるまではそのイメージをもっていました。

こんなイメージでしたが…

ですが実際に行ってみるとイメージとは違い、ウガンダでよく見る伝統的な家が立ち並んでいました。

実際にはこんな感じ。

これらは難民の方々が自分たちで作ったものとのこと。中は結構な広さがあって、カーテンで仕切られた個別スペースもあるし床もしっかりと固められていて、生活はしやすそうに感じました。また電線もどこからかつながっており、電灯も置いてありました。

お家の中の様子。

 

驚いたのは多くの人がスマホを持っていたこと。僕の任地ンデジェでは、スマホを持っている人は全体の半分くらいといった印象で、あとの人たちはガラケー(?)を使っています。


任地で話を聞くと、スマホは高級すぎて買えないとのこと。「難民=貧しい」という訳ではないのかもしれません。

 

難民居住区には多くの支援が入るから、ウガンダの貧しい地区より発展しているという話も聞いたことがあります。この話は本当だったんだ、とスマホから実感しました。


  難民問題

難民支援は国の予算だけで行われているわけではありません。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が大きな役割を果たしています。

 

実際、難民居住区周辺の街中を歩いてみると、支援の初期段階で使われていたのであろう“UNHCR”と書かれたシートをいたるところで見かけました。

豆を干すのに使われていました…

 

UNHCRは国連の組織です。つまり、世界中の難民を支援しています。


現在、ロシアとの戦争の影響で、ウクライナで多くの難民が生まれてしまっています。UNHCRはウクライナ難民を支援するため、ウガンダの難民支援予算を40%カットしました

 

家も作られてある程度安定してきている(ように見える)ウガンダより、まさに現在進行中で緊急性の高いウクライナに予算が割かれるのは理解できます。

 

でも正直、ウクライナ難民の避難場所の写真を見ると、ウガンダの難民居住区の生活水準の方がはるかに低いと感じます。

 

また40%の予算カットによって食糧支援が止まってしまい、危険な母国への帰国を余儀なくされている人もいると聞きました。

 

  まとめ

元の生活水準から比べた落差はウクライナの方が大きい。でも難民としての生活水準を比べたらウガンダの方が低い。そしてウガンダ国内には、難民居住区を下回る生活水準で生活している人もいる。

 

大々的に報道されているウクライナには注目が集まるけど、普通に生活しているウガンダの貧しい地域の人たちは報道も注目もされないだから支援も集まらない。(もちろん“支援が本当に必要なのか?”という問題もありますが…)

 

世界中の平和やすべての人の納得・幸福を追求するには、何を重視して何を優先させるべきなのでしょうか。みなさんはどう思いますか?



↓↓↓ブログ村ランキングに参加しています。クリックで応援して頂けたら嬉しいです。世界各地で活躍する同期隊員のブログも、ぜひ御覧ください!