「どうだった?」「んー、別に…」
こんな会話をした覚えはないですか?
質問したあなたは盛り上がらない会話に気まずさを覚え、「別に」なんて気のない答えをした相手に対してもモヤモヤとした気持ちになり…
あの気まずさやモヤモヤ、本当に辛いですよね😢
この気まずい会話に陥らないためにはどうしたら良かったのか?
もっと相手に話してもらうには、何と聞けばよかったのか?
今回は、先日オンライン講習会に参加した「メタファシリテーション」の技法について紹介します。
国際協力に役立ちそうと思って参加しましたが、日本の学校や日常生活でも使えそうな技法でした!
協力隊や日本の先生方は必読。ぜひ試してみてください!
メタファシリテーションとは?
メタファシリテーションとは、認定NPO法人ムラのミライが提唱するファシリテーションの技法です。
講座を受けた限りでは「自己内対話(=メタ意識との対話)を促す(ファシリテートする)ことで、相手の気づきを手助けする技術」という意味なのかな、と思いました。
基本的な考え方
聞いたことは忘れる
If I hear it, I will forget it.
If I ( ) it, I will use it.
さて( )の中に入る単語は何でしょう?
答えは"find"。
聞いただけのことはすぐ忘れるけど、自分で発見したり気づいたりしたことは使うようになる、ということです。
だから行動変容や問題解決を促すためには、相手が自分で気づけるように手助けする働きかけが大切になります。
答えは相手の中にある
正しい行動の仕方を教えることは簡単です。でも「聞いたことは忘れる」。
だから教えても実行には繋がりづらい。教えた直後は実行したとしても、すぐに元に戻ってしまいます。
だからメタファシリテーションでは「答えは相手の中にある」と信じます。
信じて「聞くこと=思い出してもらうこと=自分の中にある答えに気づいてもらうこと」に徹します。
つい教えたくなるところを、ぐっと我慢することが大切です。
基本的な技術
事実質問
メタファシリテーションの一番の特徴は、「事実質問」にあります。
質問は次の3種類に分けられます。
・感情質問…「気持ち」を聞く質問
・意見質問…「考え」を聞く質問
・事実質問…「経験」や「記憶」を聞く質問
この中で相手の中にある答えを引き出せるのは、事実質問だけ。
気持ちの整理をするためのカウンセリングでは「感情質問」を中心にしてこんがらがった心を解きほぐしていきます。
しかし行動変容や問題解決を目指すメタファシリテーションでは「事実質問」を中心にして、相手の経験や記憶の中から役立ちそうなものを思い出してもらいます。
気をつけたいのが「意見質問」。最初に書いた「どうだった?」は、事実を聞いているようで、実は相手の考えを聞いています。
「どうだった?」を分解すると、「何があって、その結果についてどう思った?」ということですよね。
相手にとっては考えなければいけないことが多過ぎて、答えるのが面倒になってしまう質問なわけです。
「いつも朝ごはんは何食べる?」も意見質問です。「いつも」というのは「一般化したらどうなるか?」ということですよね。
日々の朝ごはんのメニューを思い出し、多いものを選択して、一般化して答えることになるわけです。
過去形+4W2H
ではどうすれば事実質問を作れるのか。
ポイントは過去形で聞くこと、WhyとHowを使わないことです。
特にWhyを使った質問は、相手に「責められている」と感じさせてしまいます。結果、相手は、質問者におもねった答えを口先だけで言ってしまいます。
「なんでこんなことしたんだ!」「すみません、もうしません。」
こんなやり取り、学校の先生なら一度はしたことがあるのではないでしょうか。
この「もうしません」が本心でないことは、きっとみなさんおわかりでしょう。
先生の「なんで!」という質問(風の叱責)におもねった生徒が「もうしません」と言ってその場を逃れようとしている、というのがこの場面で起こっているコミュニケーションでしょう。
4W2Hとは、いつ、どこで、だれが、何を、いくつ、いくらです。
これらと過去形を組み合わせて、過去に起こった「事実」のみを聞いていきます。
朝ごはんの例で言えば
「今日の朝ごはんは何を食べましたか?」
「直近で朝ごはんにパンを食べたのはいつですか?」
といった質問です。
時系列を遡って聞いていくことで、「いつも」の答えは自ずと見えてくるわけです。
「〇〇してほしい」という気持ちは捨てる
相手と話していると、つい「こうすればいいじゃないか」「私はこうやって解決した!」とアドバイスをしたくなります。
ですが原則は「聞いたことは忘れる、気づいたことは使う」。
質問者が思いついた解決策を教えたところで、忘れられて終わりです。
教えたい気持ちはグッとこらえて、相手の中に答えがあると信じて過去の事実について聞いていくことが大切。
特に過去の成功体験について聞くと、相手は気付きに至りやすいそうです。
結論を言わせることは重要ではない
質問者に手応えがなくても、相手は答えに気づいているかもしれません。
無理に結論を言わせようとすると、相手は「こう言ってほしいんでしょ」と質問者におもねって、口先だけの結論を言ってしまいます。これでは本来の「気づき」とは言えません。
「何時になったら勉強始めるの!?」「んーあと5分…」
この人、5分後に本当に勉強を始めるでしょうか?多分始めませんね。
「前にテストでいい点取ったときは、何時に勉強始めてたんだっけ?」
と聞いたら、「あ、そういえばもう勉強してる時間だったな、そろそろ始めないとな」と自分で気づけるかもしれません。
結論を言わせたからと言って、相手が本当にそのとおりに行動するとは限らないということです。
未来はアクションプラン質問で
メタファシリテーションは、過去についての事実質問を基本とします。そのため、未来については聞きづらい。
未来について聞くとどれも意見質問になってしまいますし、結論を言わせる質問になってしまうからです。
それでも未来について聞きたいときは、「アクションプラン」を聞くという方法を使います。
「これからどうしますか?」と未来についての意見を聞くのではなく、「これからの計画は立てましたか?」と過去の行動について聞くということです。
気づき
質問風の叱責に反省
日本の学校現場で、生徒に「口先だけの答え」を言わせるだけの質問(風の叱責)をたくさんしてしまったなぁ…と反省しました。
「1日1時間以上勉強します」とか「もうしません」とか、宣言させるとこちらは満足します。
でも生徒が実際に行動に移さないと、教育としては意味がない。ただの自己満足です。
「言ったことくらいやれよ」と叱ることも多かった気がしますが、もしかするとこれは「やりました」という嘘を誘発するだけの叱責だったかもしれない。
でも今回、このことに自分で「気づけた」ので、帰国後にはきっと同じ失敗は繰り返さないでしょう。
カウンセリングは感情質問
メタファシリテーションは、これだけで全てのコミュニケーションが上手くいく、という万能な方法ではないと思います。
心を整理するカウンセリングには「感情質問」が必要ですし、気持ちを吐き出してモヤモヤを解きほぐすのはとても重要なことだと思います。
気持ちがモヤモヤしてそれどころじゃないから勉強や仕事が手につかない、ということも多いのではないでしょうか。
メタファシリテーションにこだわりすぎず、3つの質問を意識的に使い分けることも大切だと思いました。
「教えが必要」と気づかせる
いくら過去を辿っても解決方法が見つからないということもあるでしょう。そういうときには教えることもまた重要だと思います。
ただ、いきなり教えるのか、
「今の自分には教えてくれる人が必要だ。誰かの意見を聞いてみたい」
と相手が気づいてから教えるのかで、伝わり方は変わってくるでしょう。
「教えが必要だ」と相手に気づかせるようなファシリテーションをする。そのあとティーチングに移る。
こうした流れを踏めれば、効果的な指導ができるのかな、と思いました。
まとめ
国際協力にも学校教育にも、そして日常生活日も役立ちそうなメタファシリテーション。
英語でやるのは難しいですが、意識して使っていきたいと思います。
ここに書いたのはメタファシリテーションのほんの一部です。もっと詳しく知りたい人は、次の本を読んでみてください。
書 名:対話型ファシリテーションの手ほどき
著 者:中田豊一
出版社:認定NPO法人ムラのミライ
出版年:2015
また今回僕が参加した講座への参加もおすすめ。理論についての説明を聞いたあと、参加者同士で事実質問の練習をしていくという流れです。
講座の内容自体も面白いですが、普段関わることのないような人と話せるのもおすすめポイントです!
こちらのホームページをチェックしてみてください。↓↓↓
https://muranomirai.org/
宣伝やアフィリエイトではないので、安心してリンク先を見てみてくださいね笑