弁護士JPニュース 

羽田空港衝突事故は「起こるべくして起きた?類似衝突防止策生かされなかった背景

島崎敢 2024年02月02日 10:02

繰り返されてきた類似インシデントとその原因

事故直後、各方面から「ありえない事故」だという声があがった。もちろん事故は滅多に起きないし、複数のエラーがたまたま重なるのは稀なので、現場目線では「ありえない」という感覚は間違ってはいないのかもしれない。しかし、運輸安全委員会のホームページで「滑走路誤進入」というキーワードで検索すると、2004年からの約20年間で37件の報告書がヒットする。

今回の事故と同様に、着陸許可が出ている滑走路に離陸待ちの別の航空機が侵入した事例も数多く起きている。いずれも衝突などの致命的事態になる前に回避できた「インシデント」ではあるが、今回のように不運が重なれば、事故に至る可能性も十分にあった。

つまり、羽田空港で起きたことは「ありえない事故」ではなく、起きるべくして起きたことだったのだ。

「滑走路誤進入」の原因の大部分は管制官の指示がパイロットにうまく伝わらなかった「コミュニケーションエラー」である。

では、コミュニケーションエラーはなぜ起きたのだろうか。

今回の事故についてはまだ調査中なので言及を控えるが、過去の事例では、無線ノイズ、二重送信、チャンネルの切り替え、不適切な用語の使用、不十分な復唱、思い込みなどが指摘されており、いずれも管制官とパイロットらの無線を通じた会話の過程で生じている。

生かされなかった過去の教訓

過去の報告書では再発防止のために何をするべきだと言っているのだろうか。

たとえば福岡空港で2010年12月に発生した滑走路誤進入インシデントの報告書には、気象条件にかかわらず“ストップバーシステム”を使用することが「滑走路誤進入」防止に効果的であるとの記載がある(ただし、ここではなぜか同システムの使用を「おすすめ」するにとどまっている)。

“ストップバーシステム”とは、滑走路への進入許可が出ていない場合、路面上に横一列に並んだ赤いランプを点灯させ、進んではいけないことを視覚的に示す仕組みである。平たく言えば「信号機」のようなもので、情報伝達に無線からの指示という音声だけではなく、視覚情報を併用しようというわけだ。

オーストラリアのブリスベン空港で使用されているストップバー(ブリスベン空港サイト「The low-down on Stop Bars」より)

ところが、今回海保機が通ったC5誘導路の滑走路直前にはストップバーシステムは設置されていなかった。また、ストップバーシステムが設置されていた羽田空港内の他の滑走路でも、事故当時はメンテナンス中で使用できなかったようだ。

この点について国土交通省は、ストップバーシステムは濃霧などで視界が悪い時に点灯するものであり、事故当時の視界では仮に使用できても点灯させていなかったと説明している。しかし、この説明は、福岡空港のインシデントレポートの再発防止策と矛盾する。

なお、国際定期航空操縦士協会連合会などの国際機関もストップバーシステムは気象条件に関係なく24時間使用されなければならないとの方針を示しており、実際に常時運用を義務付けている国も多い。残念ながら羽田空港の運用ルールは過去の教訓にも、国際機関の方針にも従っていなかったようだ。

あべこべだった情報伝達方法

ストップバーシステムが使われなかった背景には、さまざまな事情があるのだとは思うが、無線の音声情報だけに頼って「進め」「止まれ」を伝えるというやり方は、エラー防止の教科書的にも正しくない。

音声情報と視覚情報の特性を踏まえれば、過密空港での情報伝達を音声だけに頼るのは無理があるのだ。

会話を含む“音声情報”は時間的に保持できない。したがって「よく聞き取れなかった」「聞いたけど忘れてしまった」という場合には聞き直す必要がある。

管制官とパイロットの会話でルール化されている「復唱」は、こういったエラーをある程度は防いでくれるだろう。しかし「全く聞こえなかった」とか「言葉は正しく伝わったが内容を勘違いした」という場合には復唱によるエラー防止効果は期待できない。その証拠に今回の事故でも復唱は正しく行われていた。

一方、信号や画面表示のような視覚情報は、表示が切り替わらない限り情報を保持できる。確認したい時にいつでも確認できるし、勘違いが起きにくい。

「進め」「止まれ」などを伝える方法として視覚情報が優れていることは、交差点の信号機が灯火ではなく音声だったらどうなるかを想像してみれば明らかだ。羽田空港のような混雑した空港では、情報伝達は音声だけに頼るのではなく、視覚情報を併用するべきであっただろう。

羽田空港は1分間に1.5本の飛行機が発着している計算で、世界有数の過密状態にあるという(画像:国土交通省「航空管制官」ページより)

ところで、今回の事故では、音声情報と視覚情報の使い分けが教科書的には“あべこべ”になっていたところがもう1つある。

管制塔には「滑走路占有監視支援機能」と呼ばれるシステムがあり、事故当時、画面上には滑走路誤進入の警告が表示されていたが、管制官はこれに気づかなかったとされている。

人間の目は前にしかついていないので、後ろに表示された視覚情報には気づかないし、何かに注意が集中していれば、視界に入っていても注意を向けていない対象に気づくのは容易ではない。

一方、“音声情報”は時間的に保持できないが、360度どこから音がしても気づくことができる。これは視覚情報にはない長所である。だから、「即座に、確実に気づいてもらう必要がある情報」は視覚情報ではなく音声で提示するべきだったのだ。

こちらも何らかの事情があるのかもしれないが、「滑走路占有監視支援機能」が警告“音”を出す設計になっていれば、今回の事故は防げた可能性が高いだろう。

「気をつけること」に頼らない再発防止策を

先ほどストップバーシステムの使用を推奨している福岡空港のインシデント報告書に触れたが、過去の報告書の中で、再発防止策としてこのようなシステム対策をあげている報告書は実はあまり多くない。

大部分の報告書では、注意喚起、会話ルールの徹底、啓発、教育など「人間が気をつけること」を再発防止策としている。しかし、航空機の運航に関わる人たちはすでに十分「気をつけている」はずである。

それでもエラーをしてしまうのが人間の変えられない特性なので、「気をつけましょう」では効果は期待できない。

世界では航空機は年間7000万回も飛んでいるという。本気で事故をなくそうと思ったら、これまでのやり方を変えるような大胆なシステム対策が必要だろう。これには、コスト増や変化を嫌う人たちからの批判は避けられないかもしれない。しかし、今回の犠牲を無駄にすることのないように、本当に効果がある再発防止策が考案され、実施されていくことを期待したい。

 

 

 

 

弁護士JPニュース 

羽田で5人死亡の航空機事故、国交労組「人手不足で安全保てない」...遠因の指摘も

小林英介 2024年01月18日 10:34

24年1月2日という新年早々に起きた羽田空港での日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機との衝突・炎上事故。事故を受けて同日、国土交通省の運輸安全委員会は航空事故調査官を羽田空港へ派遣し、調査にあたっている。

JAL機炎上も全員助かる、海保機では6人中5人死亡

衝突したのは北海道・新千歳空港を16時に出発し、17時前後に羽田に着陸する予定だったJAL516便(エアバスA350‐900)と、海上保安庁のMA722(ボンバルディアDHC-8-Q300)。516便の乗員乗客は全員脱出して助かったが、海上保安庁の航空機に乗っていた6人のうち5人が死亡した。この事故の影響で日本航空や全日空(ANA)の羽田を発着する便に欠航が相次ぎ、年末年始の帰省客らに影響を及ぼした。

事故が起きたからには、何が原因だったのかを突き止めることが重要だ。どうしたら今回のような事故を防げるのかを慎重に調査する必要がある。

運輸安全委員会は3日昼に海保機のボイスレコーダーを回収したと明らかにし、6日には日本航空機のボイスレコーダーを回収。聞き取り調査も同日から始まった。調査によれば、海保機の機長は「滑走路に侵入する許可を得ていたとの認識だった」と話したという。また6日付配信の産経新聞は、管制官が516便の次に着陸予定だった航空機に指示をしている最中、海保機が滑走路へ侵入することを見過ごしたとみられると報じている。

「安全体制強化には人員が必要」も、人員抑制方針の政府

もし管制官の見落としも関係しているのであれば、その背景には何があるのだろうか。全運輸労働組合等で組織される「国土交通労働組合(国交労組)」の担当者は、「政府の合理化政策等によって管制官として携わる人手が不足している」と訴える。

担当者によると、管制業務に従事する全国の職員はここ数年、1900~2000人の間で推移。航空管制官と関連の仕事を担当する職員数は、2005年の4985人をピークとして減り続けており、23年には4134人まで減少しているという。

この背景には、14年に政府が閣議決定した「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」が関係している。担当者はいう。「方針が言いたいのは、総人件費を削減するために既存機構の廃止や再編等を行い、工夫して人数を減らせということだ」と。

「特に私たちが注目しているのは、方針の中の『新規増員は(中略)自律的な組織内の再配置によることを原則とし、新規増員は厳に抑制する』という部分だ。これは裏を返すと、政府が各省庁に対してむやみに多い人員の要求をしないように予防線を張っていると見ることもできる」(国土交通労組の担当者)

そのうえで、羽田空港の管制官の配置として、A~Dまでの4本の滑走路のうち3本を使用。それぞれの滑走路を各1人の管制官(飛行場管制席)が担当し、さらに滑走路以外の地上走行を指示する管制官(地上管制席)も飛行場管制席とペアになる形で、各1人必要になるという。

さらに、羽田空港への侵入許可を出して管制塔に伝達したり、到着ゲート変更等の調整を行う「調整席」という役割や、管制官から飛行機に対して伝達を行う「管制承認伝達席」が、羽田空港の場合2人配置されている。このほか、全体の調整と統括する「フロアコーディネーター」らが配置され、1チーム約14~15人の管制官が勤務している。

担当者は「安全体制を強化するためのシフト制勤務により、本当はこのチームが6つ必要。新しく人員を配置してほしいときは、3人の管制官を6チーム確保しなければならず、組合では18人必要だと訴えている」と強調する。

「ところが、政府方針の通り新規要員を減に抑制することになっている。そのため、とりあえず国交省は18人に対して6人を要求するから後は現場の工夫で何とかしてくれと数を削られる。その後、国交省は21年度に政府に対して6人を要求したが、政府の答えは3人だった」(国土交通労組の担当者)

このような状態では、安全を確保する最低限の人数は確保しているものの、余裕は全くないはず。ひっきりなしに離着陸を行う飛行機を見続けなければならない管制官にかかる負荷が大きくなっている現状もあるのだ。

取材の最後、前出の担当者は「(今回の事故を受けて)報道等で飛行機がいたことを見落とした等と表現される。でも管制官は多忙の中で常に仕事をしており、そのような表現をされると全国の管制官のメンタルは非常に傷つく。あれを過失と言われるならどうやって自分の身を守ればいいのか。管制官は常にこのような状況に置かれていると知ってほしい」と訴えていた。

航空安全推進連絡会議が声明「事故原因の調査を優先せよ」

事故の翌日、民間航空の労働環境等の改善等を求める活動を行う「JFAS(航空安全推進連絡会議)」が緊急声明を発表した。

声明では「日本国内で航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的として捜査することが通例になっていますが、これは国際民間航空条約(ICAO)が求める事故調査ではありません。これまで日本において発生した航空機事故を警察が調査したことにより、事故の原因究明に大きな支障をきたしたという事例はいくつもありました。警察による調査はあくまでも犯罪捜査であり、事故原因を究明するための調査ではない」

「また、日本では、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判証拠に利用されています。これらの行為は、明らかな犯罪の証拠がある場合を除き、調査結果を利用することを禁止する国際民間航空条約(ICAO)の規定から逸脱した行為であり容認できるものではありません。今般の航空機事故において最も優先されるべきは事故調査であり、決して刑事捜査が優先されるものではないこと、またその調査結果が、再発防止以外に利用されるべきではない」と表明した。

前出の担当者は、「日本の刑事捜査は黙秘権が認められている。すなわち自分に不利になることは隠すことができる。でも本来、航空機事故や大規模な事故ではその原因を追及して正確な原因分析に基づいて有効的な再発防止策を打ち出さないと逆にそれがリスクになり得る。だからそれを防ぐ必要があるということを私たちは強く訴えている」と強調した。

かみ砕いて説明すると、刑事的制裁を気にして真実を明らかにしないと、将来の大きなリスクになり得る可能性があるというわけであり、真相は闇に葬られてしまう。そのため、当事者は刑事罰を気にせずに「何が起きていたのか」を説明する必要があると声明で触れている。

「航空機事故等のヒューマンエラーの事故は、業務上過失致死等、過失を問われる。批判されることもあるが、私たちはそこを免責にしてもらうことをこれまでも訴えてきた。今後もさらに訴えていく」(前出の担当者)。

ペットの持ち込みではなく、ミスを防ぐかが大事だ

今回の事故に関する報道を見ていて、少し疑問に思った。飛行機事故がなぜか「機内にペットを持ち込ませるか否か」という議論になってしまっている。そうではなく、重要なのはどうしたら今回のようなミスを防ぐことができるのか、今回の事故を起こさずに済んだのかということである。

事故によりわが国をこれからも守ってくれるはずだった5人の命が失われたのだ。この死を無駄にしないため、そして空の安全を守るためにも、慎重に原因究明を進めてほしい。

 

 

 

質問日:2017年 6月 7日 第193国会 国土交通委員会

日本共産党の本村伸子議員は7日の衆院国土交通委員会で、航空管制官の業務が増加する一方、人員不足で空の安全が脅かされているとして管制官の増員を求めました。

 本村氏は、航空管制官の航空機の取り扱いが1998年時に比べて259万機増加する一方、管制にかかわる職員が全体で668人減少し、管制官は09年のピーク時から77人も減っていると指摘。管制官削減により安全面へのリスクが増えたとする中部国際空港(愛知県)の実態を紹介し、休むことなく管制業務を続ける場合もあり現場から悲鳴が上がっていると訴えました。

 石井啓一国交相は「勤務実態の把握に努め、必要な体制を確保していきたい」と答えました。

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。
 空の安全を支える管制官の問題について伺いたいと思います。
 管制官は、空港の管制塔とレーダー室での仕事だけではなく、日本全体の航空交通の監視、洋上の航空機を取り扱う航空交通管理センター、そして、日本の上空を四つに分けてそれぞれ担当している航空交通管制部、これは札幌、東京、福岡、那覇にあるわけですけれども、主に高高度を飛行する航空機をレーダーを用いて管制しております。管制官は、英語もレベル4ということで資格取得が義務づけられております。
 このほかにも、管制を支える仕事として、航空管制運航情報官、航空管制技術官、航空灯火・電気技術官がいらっしゃいます。こういう方々が、離陸から着陸まで、空の安全を支えてくださっております。
 こういう認識を国交省も共有しているというふうに思いますけれども、管制官や情報官、技術官、こういう方々の役割の重要性についてどう認識されているか、お示しいただきたいと思います。

○坂野政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の航空管制官等、すなわち航空管制官、航空管制運航情報官、航空管制技術官及び航空灯火・電気技術官でございますが、これらの職員は、航空機に対して安全な運航に必要な指示等を行い、航空機の運航に必要な情報提供等を行い、あるいは航空管制等に使用する航空保安無線施設等の整備及び維持管理を行うことなど、さまざまな業務を行っておりまして、これらによりまして、我が国の安全かつ効率的な航空交通を確保する上で必要な業務を担っておるわけでございまして、その役割は重要であると考えております。

○本村(伸)委員 その重要な管制にかかわる皆さんの実態がどうなっているかということですけれども、航空管制延べ取扱機数について、一九九八年から二〇一六年、どのくらいふえているかという点、そして、それに比べて航空管制官等定員は、一九九八年から二〇一七年、ピークと比べて減っているんですけれども、どのくらいに減っているか、管制官の定員、一九九八年から二〇一七年、ピークと比べて今どうなっているか、お示しいただきたいと思います。

○坂野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、航空管制の延べ取扱機数については、平成十年から現在までに増加しております。具体的には、全国の航空管制延べ取扱機数は、平成十年は約三百九十三万機、平成二十八年は約六百五十二万機でありまして、この間、約二百五十九万機増加しております。
 また、航空管制官等の予算定員でございますが、本年四月一日現在で三千九百九十八名となっており、この定員数はピーク時の平成十四年度に比較して減少しております。
 このうち、航空管制官の予算定員については、本年四月一日現在で千九百十九名となっておりまして、この定員数は、ピーク時の平成二十一年度に比較して若干減少しております。

○本村(伸)委員 今お答えをいただきましたけれども、航空管制の延べ取扱機数というのは、離陸をしないで、例えば中国―アメリカ便といったような国際線のように日本の上空を通過する航空機も含んだものだそうですけれども、この航空管制延べ取扱機数というのは、先ほどもお答えがありましたように、一九九八年から直近で二百五十九万機もふえている。一方で、管制官等でいいますと、定員が六百六十八名も減っているという、乖離が激しくなっている異常な事態だというふうに思います。管制官についても、ピーク時が二〇〇九年ですから、二〇一七年と比べますと、七十七名も減っております。
 取扱機数はふえているのに管制官が減っているという現状の中で、航空管制の現場では大変ひどい実態になっているということをお示ししていきたいというふうに思うんです。
 これまでは、複数の管制官で、お互いにダブルチェック、トリプルチェックを行うことで、リスクを最小限に抑えて、繁忙期ですとか緊急時においても航空の安全、空の安全を確保してきたわけですけれども、管制官が削減されることに伴い、管制官一人当たりの負担業務がふえてしまって、安全に対するリスクが増加して、ヒヤリ・ハットの事例が現場感覚でふえているということを現場の皆さんがおっしゃっているわけです。
 悪天候のときなどには、管制処理能力を超えるということで、航空機の遅延が発生して、国民、利用者の皆さんに不利益になっている。削減された現場の管制官の皆さんは、休憩時間を削るなどして対応しているそうですけれども、それも限界に来ているというお話でございました。
 今、国を挙げて、国交省も外国人観光客を誘致するということでやっておられますけれども、インバウンドの増加に伴い、航空機の離発着数ですとか取扱機数がふえております。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、今、この資料にあるように、取扱機数はふえているのに、管制官等の定数、管制官の数は減っているということで、やはり空の安全のためにもこういうことは放置できないと思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 航空管制官等の予算定員の見直しに関しましては、航空管制等に使用する航空保安無線施設の性能向上等に伴う維持管理業務の効率化、通信回線の高速、高品質化に伴う空港の対空援助業務の集約化、空港において航空機の位置を正確に把握するための機器であるマルチラテレーション等の新たな管制システムの導入や、衛星を利用した航法であるRNAV等の新たな航法の導入と普及による航空管制官の業務負担の軽減、現在、航空交通管制部で使用しております航空路管制卓システムの導入による管制卓の操作性の向上等、技術の進歩を活用して業務環境の改善を図るとともに、航空交通量が大きく減少する深夜時間帯の要員配置の最適化による勤務体制の見直し等の措置を講じた上で、必要な体制は確保しておりまして、航空交通の安全確保に支障は来していないと考えております。

○本村(伸)委員 今の話を聞いておられたんでしょうか。ヒヤリ・ハット事例がふえている、現場の声をぜひ聞いていただきたいというふうに思うんです。
 インバウンドの増加によって国際線の離発着がふえて、LCCの新規参入もふえている状況のもとで、日本の空域、管制方式にふなれなパイロットや英語がなかなか通じないパイロットがふえているそうで、一機当たりの交信する回数がふえているという点も指摘されておりますけれども、この点、国交省、つかんでおられますでしょうか。

○坂野政府参考人 お答えいたします。
 国際民間航空条約において、各締約国は、自国の許可を受けた航空運送事業者の操縦士が、利用する空域、経路、空港について十分な知識を持つよう担保することが求められております。また、各締約国は、国際標準に基づき、国際航行を行う操縦士に対し英語能力を証明することを義務づけられております。
 国土交通省としても、外国航空会社が我が国に乗り入れる際、各締約国が当該会社に運航認可をしていることをもって、各社が国際標準を満足していることを確認しております。したがって、我が国に乗り入れる操縦士についても、必要な知識及び英語能力を有しているものと考えております。

○本村(伸)委員 現場の職員の方がおっしゃっていたことと今部長がおっしゃっていることが違うんですけれども、一機当たり交信する回数がふえているということは現場感覚としてあるわけです。その実態を部長がつかんでいないということだというふうに思います。
 訪日外国人の方々の多くは航空機を利用します。外国人観光客の皆さんをふやすのであれば、管制官も大幅にふやすのが当然だというふうに思います。
 二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人、こういうインバウンドの過大な目標は、安全が大前提でなければならないというふうに思います。二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人になりますと、管制延べ取扱機数はどのくらいふえるというふうに予測しているのか、それに見合う管制官等の定員増、養成、採用はどのような計画になっていくのか、端的にお示しいただきたいと思います。

○坂野政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御指摘があった観光ビジョンでは、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年で六千万人に増加させるとの目標を掲げておりますが、この旅行者の九割以上が航空機を利用する実態にある中、この目標の実現のためには航空交通量の処理能力の拡大が重要な課題でございまして、このため、私どもとしては、国内の管制空域の抜本的再編、いわゆる上下分離を段階的に実施しまして、管制取扱機数を現状より約二十万機増加させることとしております。
 ただし、これらの個々の航空機が実際に飛行する具体的な経路、空域等を予測することは困難でございまして、御質問にございました管制延べ取扱機数、これは航空交通管制部及び空港事務所等の管制機関が取り扱うこととなる機数でございますが、この機数及びこれに対応した航空管制官の必要な要員数について、現時点ではお示しすることはできません。

○本村(伸)委員 現場の声を、ぜひ部長にも、そして大臣にも聞いていただきたいんです。
 管制官の養成には時間がかかるわけです。訪日外国人はどんどんふえていくということですから、それに見合った管制官の養成を計画的に進めていただきたいというふうに思うんです。
 管制官をふやしたいというふうに思っても、ネックとなりますのが、総定員法に基づく機械的に公務員の数を減らす計画があるわけですけれども、取扱機数は大幅にふえているわけで、これからもふえていくわけで、にもかかわらず、それに対して定員は減っていくということになれば、空の安全自体が守れないということになるんです。
 現場が疲弊しているからこそ、私はこういう質問をさせていただいているんです。空の安全についても、正確な運航のためにも、定員削減の計画は即時中止して、空の安全のために頑張っている管制官の定員を大幅にふやすことが当たり前だというふうに思います。
 地域によるアンバランスもあるということも指摘をさせていただきたいと思います。
 中部国際空港で働く方にもお話をお伺いしました。中部国際空港では、管制官の人数が減らされて、労働強化になっているというお話をお伺いいたしました。
 管制官は、ミスが許されない、緊張度が高い勤務ですし、年々業務は複雑化して繁忙度が高くなっているという声もございます。そして、二十四時間稼働している官署ですと、夜勤もある、毎日違う出勤時間だ、心身に与えるストレス度というのは相当高いというふうに思います。
 私がこの質問をしようというふうに思ったのは、現場の方からお話を聞いて、本当に過労死してしまうのではないかというふうに思ったからこそ、この質問をしているんです。そういうことを受けとめていただきたいというふうに思うんです。
 中部国際空港や関西国際空港については、時間がありませんので、次の、資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは関空と中部国際空港の資料を出させていただいております。
 中部でいいますと、二〇一二年の十五万一千機から、二〇一六年は十七万一千機と、二万機ふえております。関空でいいますと、二〇一二年の三十四万七千機から、二〇一六年は四十一万九千機と、七万二千機ふえております。にもかかわらず、中部でいうと、管制官は八十二名から七十五名と七名減らされております。関空でいうと百四十九名から百三十五名と十四名減らされております。
 資料の三を見ていただきますと、詳しく各空港を見ていただきますと、羽田とか那覇とか、こういうところは管制官がふえております。こういうところは離発着もかなりふえておりますので、そこのふえたところでも大変だというふうに聞いておりますので、ここの一層の人員増も必要だというふうに思います。
 そのことを前提にしてなんですけれども、取扱機数がふえている中部、関空で管制官をなぜ減らすんですか。大臣、これはおかしいというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 今委員御指摘のとおり、中部空港や関西空港においては、平成二十四年から航空管制取扱機数が増加している一方、航空管制官の予算定員は減少しております。
 これは、両空港におきまして勤務体制の見直しですとか新しい管制システム導入等による業務負荷の軽減を行ったことに加えまして、両空港が海上に整備された比較的新しい空港であって、駐機場が十分に確保されており、地上走行する航空機がふくそうする度合いが低いこと、滑走路と旅客ターミナルの位置関係から、航空機による滑走路の横断がないこと、空港周辺に十分な空域が確保されているといった特徴を有しておりまして、他の主要空港と比較して、航空管制業務の困難さに影響を与える要因が異なることによるものでございます。

○本村(伸)委員 空の安全のために、そして働く皆さんの健康や命のために、管制官を減らすのではなくふやすことが、インバウンド、インバウンドと言うのであれば、ふやすことが肝要だ。これは空の安全のために申し上げているんです。
 人手不足を補うために、先ほどお話がいろいろありましたけれども、昼間の人員を厚くして夜薄くすることをやっているということですけれども、例えば中部国際空港でいいますと、少ない人員の体制の時間帯、夜間に業務量が増加したり、あるいは早朝の時間帯に航空機の離発着の訓練が設定されるなど、負担も重くなっている。夜間や早朝に突発的な事案が発生した場合に十分対応できないという不安のお声をお伺いしております。
 また、一九九七年、ネイチャーという雑誌に学術論文が出たんですけれども、夜勤というのは酒気帯びと同じような心身状態になるということが掲載されております。現場からは、前と比べてより心身への悪影響を与える状況になっているというお声をお伺いいたします。
 また、取扱機数だけでは数字にあらわれない管制業務についても考慮に入れるべきだというふうに思うんです。先日も小型機が墜落する事故がございました。こういう不測の事態にも対応することを考慮しながら、管制官は日々業務をやっているというふうに思います。
 そして、中部国際空港でいえば、小牧基地なんかもありまして、自衛隊機が空港付近に来たり、あるいは小型ヘリも来て、定期便と比べて不規則な動きをする航空機が多いわけです。そういうことも、やはり管制官にとっては大変な業務になっております。
 そして、パイロットの養成も、今、ふやすということで、中部国際空港で訓練飛行も行っているということで、タッチ・アンド・ゴーなんかの訓練もしている。こういうことに新人管制官も当たらなければいけない。そういう中で、管制官が減らされて、現場から悲鳴が上がっているわけです。
 大臣には、こういうきめ細かいところまでしっかりと見て、中部国際空港や関空などの管制官を減らしているところを、しっかりとふやしていただきたいというふうに思います。今の余裕のない状況のもとでさらに取扱機数がふえれば、本当に人が回らない、空の安全が確保できない。だからこそ現場の声が上がっているんです。現場の声に、大臣、応えてください。

○石井国務大臣 全国の航空管制官等を対象といたします職員満足度調査や、幹部職員が一般職員から直接職場環境等の実情を聴取するダイレクトトークを行っておりまして、国土交通省としましては、航空管制官等の現場の実情把握に努めてきたところでございます。
 ちなみに、この満足度調査におきまして、中部空港事務所の満足度は全国の平均を若干上回っている状況であるということは御紹介しておきたいと思います。
 今後も引き続き、航空交通の実態や航空管制官の勤務実態の把握に努め、必要な体制をしっかり確保していきたいと考えております。

○本村(伸)委員 空の安全を支えるそうした方々の声にしっかりと応えていただきたいということを強く申し述べて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

 

 

 

現代ビジネス 2024年1/25(木) 7:03

特攻作戦採用の第一の責任者である中澤佑少将(終戦後、中将に進級)は、昭和20年2月、台湾の台湾海軍航空隊司令官、次いで高雄警備府参謀長となり、台湾から沖縄方面へ出撃する特攻作戦を指揮した。そして終戦直後、大西の自刃が報じられたさい、中澤も責任を感じて自決するのではと、それとなく様子をうかがう幕僚たちを前に、  「俺は死ぬ係じゃないから」  と言い放った

 

 

Youtube 高橋洋一チャネル 霞が関キャリア官僚関心事は出世と天下り

地方公務員 300万人

国家公務員   20万人 (ノンキャリア 19万人キャリア1万人)

 

 

安冨歩京大授業こぼれ話 キャリア官僚退職者の数だけ天下り先受け皿を作って行く

 

 

 

しんぶん赤旗2023年5月21日(日)

人事介入問題は「朝日」(3月30日付)が報じました。国交省元次官の本田勝氏(東京メトロ会長)が昨年12月、羽田空港などのビルを運営する「空港施設」の首脳に、山口勝弘副社長(国交省元東京航空局長)を社長にするよう求めました。

 

 

日刊ゲンダイ 2009年10月12日10時00分

航空行政に詳しい経済ジャーナリストの藤森正敏氏がこう言う。

「航空事業は官・民の二人三脚体制でやってきた。国際線の路線権は外国との航空交渉が不可欠で、官が路線を航空会社に配分してきた。国内では官が空港を造る。官は、『自分たちが関係している仕事なのだから、人を送り込むのは当たり前』と思っているのです」

下記表は、旧運輸省出身者(局部長以上)で航空関係の財団や企業に天下っている89人のリストだ(昨年10月時点)。これはほんの一部にすぎないし、ノンキャリ官僚まで含めればさらに人数や天下り先も広がる。

「例えば、表で6人が天下っている『空港環境整備協会』は、空港周辺の騒音対策などを主な業務としてきましたが、今では羽田や伊丹(大阪)など全国19の空港で駐車場を運営しています。空港内の駐車場ですから競争相手はいない。ボロい商売です」(航空関係者)

航空官僚は、全国に無用な赤字空港を造り、航空会社にムリヤリ就航させ、一方で自分たちのためにオイシイ天下り先を確保し、独占的にヌクヌク過ごしてきたのだ。こういった連中や財団を食わせるために、航空会社はバカ高い空港使用料を支払わされている。

【航空関連団体へ天下った高級官僚】

◇天下り先/官僚時代の最終ポスト

◆(株)日本航空副社長/国土交通審議官

◆(株)JALグランドサービス会長/海上保安庁次長

◆(株)ジャルキャピタル監査役/(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構代表理事

◆(財)日航財団副理事長/大臣官房付

◆全日空(株)特別顧問/運輸審議官

◆全日空(株)常務/国土交通審議官

◆全日空(株)運航本部運航サポート室/航空局首席安全・危機管理監察官

◆全日空(株)調査室参与/衆院国土交通調査室首席調査員

◆全日空(株)調査室参与/自動車検査(独)理事

◆北海道国際航空(株)社長/関東運輸局長

◆日本貨物航空(株)顧問/東京航空交通管制部長

◆日本貨物航空(株)専務/海事局船員部長

◆朝日航洋(株)顧問/電子航法研究所長

◆朝日航洋(株)常務/航空局技術部長

◆成田国際空港(株)特別顧問/運輸事務次官

◆成田国際空港(株)常務運用本部長/大阪航空局長

◆成田国際空港(株)常勤監査役/関東運輸局長

◆成田高速鉄道アクセス(株)社長/大臣官房技術審議官

◆成田高速鉄道アクセス(株)顧問/船員中央労働委員会事務局長

◆(株)NAAリテイリング社長/総務審議官

◆(株)成田エアポートテクノ社長/海上保安庁次長

◆成田空港高速鉄道(株)社長/船員中央労働委員会事務局長

◆関西国際空港(株)副社長/海上保安庁次長

◆関西国際空港情報通信ネットワーク(株)社長/気象庁次長

◆関西国際空港用地造成(株)専務/第2港湾建設局長

◆中部国際空港(株)特別顧問/自動車交通局長

◆中部国際空港(株)副社長/土地・水資源局長

◆中部国際空港(株)常務執行役員/大阪航空局長

◆大阪国際空港ターミナル(株)常務/海上保安庁灯台部長

◆日本空港ビルデング(株)顧問/海上保安庁長官

◆日本空港ビルデング(株)顧問/海上保安庁長官

◆日本空港ビルデング(株)顧問/大阪航空局長

◆日本空港ビルデング(株)顧問/東京航空局長

◆日本空港ビルデング(株)副社長/運輸審議官

◆(財)空港環境整備協会名誉顧問/海上保安庁長官

◆(財)空港環境整備協会会長/東京航空局長

◆(財)空港環境整備協会理事長/東京航空局長

◆(財)空港環境整備協会専務理事/航空大学校長

◆(財)空港環境整備協会松山事務所長/札幌航空交通管制部長

◆(財)空港環境整備協会航空環境研究センター主任研究員/札幌航空交通管制部長

◆空港施設(株)相談役/海上保安庁長官

◆空港施設(株)会長/海上保安庁長官

◆空港施設(株)社長/自動車交通局長

◆空港施設(株)専務/大阪航空局長

◆空港施設(株)上席執行役員総務部長/国土交通政策研究所長

◆AFC商事(株)社長/海上保安庁灯台部長

◆下地島空港施設(株)社長/航空局首席安全監察官

◆(独)空港周辺整備機構理事長/東京航空局長

◆福岡空港ビルディング(株)監査役/那覇航空交通管制部長

◆福岡空港ビルディング(株)副社長/国土庁官房審議官

◆東京空港交通(株)社長/船員中央労働委員会事務局長

◆定期航空協会理事長/航空・鉄道事故調査委員会事務局長

◆日本定航保全(株)社長/総務審議官

◆(財)日本航空協会常務理事/大阪航空局長

◆(財)航空振興財団顧問/官房長

◆(財)航空振興財団会長/海上保安庁長官

◆(財)航空振興財団理事長/航空・鉄道事故調査委員会事務局長

◆(財)航空科学振興財団理事長/国際運輸観光局観光部長

◆東京国際エアカーゴターミナル(株)専務/大臣官房審議官

◆(社)航空貨物運送協会理事長/東京航空局長

◆(財)航空保安研究センター理事長/大阪航空局長

◆(財)航空保安研究センター情報サービス部長/大臣官房参事官

◆(財)航空保安協会特別顧問/海上保安庁次長

◆(財)航空保安協会顧問/関東運輸局長

◆(財)航空保安協会理事長/気象庁次長

◆(財)航空保安無線システム協会顧問/国土交通事務次官

◆(財)航空保安無線システム協会理事長/大阪航空局長

◆(財)航空機安全運航支援センター専務理事/東京航空交通管制部長

◆(社)航空機操縦士養成振興協会顧問/大阪航空局長

◆(社)航空機操縦士養成振興協会専務理事/電子航法研究所長

◆(財)航空交通管制協会顧問/東京航空交通管制部長

◆(財)航空交通管制協会調査役/福岡航空交通管制部長

◆(財)航空交通管制協会担当部長/札幌航空交通管制部長

◆(財)航空交通管制協会担当部長/福岡航空交通管制部長

◆(財)航空交通管制協会担当部長/東京航空交通管制部長

◆(財)航空輸送技術研究センター専務理事/航空局技術部長

◆(独)電子航法研究所理事長/航空局技術部長

◆(株)航空システムサービス理事/那覇航空交通管制部長

◆(財)航空医学研究センター理事長/地域交通局次長

◆(財)港湾空港建設技術サービスセンター理事長/大臣官房技術総括審議官

◆(財)港湾空港建設技術サービスセンター常務理事/北海道開発局港湾空港部長

◆(財)港湾空港建設技術サービスセンター常務理事/近畿地方整備局副局長

◆(財)港湾空港建設技術サービスセンター理事/九州運輸局次長

◆(独)港湾空港技術研究所理事長/大臣官房技術総括審議官

◆(株)日本空港コンサルタンツ会長/大阪航空局長

◆(社)全国空港給油事業協会顧問/東京航空局長

◆関西国際空港給油(株)副社長/気象庁次長

◆福岡給油施設(株)顧問/福岡航空交通管制部長

(日刊ゲンダイ2009年10月9日掲載)