日本政府が次期駐中国大使に金杉憲治駐インドネシア大使(64)を起用する方向で最終調整していることが分かった。近く閣議決定する。複数の日中外交筋が明らかにした。中国語研修組「チャイナスクール」出身ではない大使は約7年ぶりとなる。対中「強硬派」で知られる垂(たるみ)秀夫現大使からの交代は、日中関係を改善させたいという政府の思惑があるとみられる。官邸人事の背景を専門家が読み解いた。 中国は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面停止した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる緊張の高まりや、アステラス製薬の日本人幹部社員が反スパイ法違反容疑で逮捕されるなど、日中間には課題が山積している。 金杉氏は東京都出身で、一橋大学卒業後の1983年、垂氏より2年早く外務省に入省した。米国などとの豊富な人脈で知られ、情報収集力に定評がある。2018年6月の史上初の米朝首脳会談ではリエゾン(連絡要員)として派遣された。対中外交も管轄するアジア太平洋局長を務めた経験を持つ。 現大使の垂氏は、8月に開始した処理水放出の際にも中国の抗議に反論し、「核汚染水」という表現の変更まで求めるなど毅然(きぜん)とした態度で注目された。「中国が警戒する男」として、中国高官との会談は時に険悪な雰囲気になることもあった。日中関係の悪化を背景に、昨年は在中国日本大使館員が中国当局に一時拘束される異例の事態も発生していた。 中国との関係立て直しに意欲的とされる岸田文雄首相だが、専門家は今回の交代をどう見るか。 ジャーナリストの歳川隆雄氏は「垂氏はこの四半世紀のチャイナスクールでも傑出した人材で、人民解放軍内に人脈を築き上げた手腕は中国公安当局が強く警戒しているほどだ。ただ、岸田政権が早期の日中首脳会談の実現を望むなか、逆にその存在がネックになっている面もある。一方の金杉氏はバランス感覚に優れたオールラウンドプレーヤータイプだ。米中対立も続くなかで日中関係の改善に困難さは伴うが、急な大使交代は、2人のどちらが現在の国益に沿うかを判断しての官邸人事だろう」と話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

産経新聞2024年2/19(月) 9:30 

垂全中国大使インタビュー③

――北京を離任する直前の昨年11月28日、拘束されている男性と初めて垂氏自身が領事面会した

「それまで大使館の同僚が7回面会していたが、男性は私もよく知っていて、中国日本商会の副会長も務めた人物だ。当初よりこの事案は日中関係に大きなインパクトを与えることになるのが予測された。毎回、領事面会に出向いた同僚に『気を落とすな』『政府としてもがんばるから』とメッセージを託していた」

「ところが、私が面会しないまま、後になって大使が交代したと知ったら、がっくりされるでしょう。『残念だけど帰国することになった』と自ら報告しないといけないし、自分の大使任期中に助けることができなかったことをおわびするのが人の道だと思ったわけです。こうした領事案件については大使館内で『自分の両親、兄弟、子供が巻き込まれたと思って対応しよう』と何度も指示していました。皆、相当ついてきてくれたと思います」

 

 

 

尖閣沖違法監視中巡視艇に体当たり支那漁船長逮捕~誰が釈放した。

 

 

垂全中国大使インタビュー④ 

一人だけ尋常ではなかった

--では、外務省中国・モンゴル課長時代の平成22年9月に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の後、超法規的に中国人船長を釈放させた菅直人政権の対応は日中関係に役立ったか

「あのときは『そんなことをすれば、政権は持ちませんよ』ということを、大きな声で思わず叫んでしまった。一言で言えば忸怩たるものがある。誰のせいで日本政府があんな対応を取ることになったか。それは、はっきりしているでしょう」

--当時の前原誠司外相は産経新聞のインタビューで菅氏が強い口調で「釈放しろ」と言ったと明かしている

「早く解決するようにと執拗(しつよう)に指示していたのは事実だ。前原氏をはじめ外務省は適切に対応していたと思うが、一人だけが尋常でなかったと記憶している」

--前原氏は、菅氏に呼ばれて外務省幹部と首相公邸に行ったと述懐している

「仙谷由人官房長官、前原氏、福山哲郎官房副長官、佐々江賢一郎外務事務次官、齋木昭隆アジア大洋州局長が菅氏の近くに座り、私は隅の方の見えないところでスチール椅子に座っていた。菅氏が仙谷さんにワーワー怒った後、外務省の3人に『外務省、何やっているんだ!』と怒り、『外務省には専門家はいないのか』と言った。すると全員が私の方を振り向いた。前原氏が『中国・モンゴル課長です』と紹介したら、近くの席に座らされた」

「菅氏は『(中国は)何をやろうとしてるんだ』と怒鳴っていたので、『中国は、圧力をかければかけるほど日本の政権は降りる(譲歩する)と思っています。これから中国はどんどん圧力をかけてきます』と説明した。そうしたら『何を言ってるんだー』と怒るので、『いや、現に1年前、天皇陛下との会見は1カ月前までに申請する慣例(30日ルール)があるのに、中国の強い要請で(民主党議員からの)いろいろ働きかけがあり、皆さん、降りられました』と言い返した。すると彼はほとんど何も言えなくなった」

 

誰がこんなんについてくるか、!身を挺して国を守る防人に会って人の道を話せるか、