前回は推譲を繰り返すことで、魂の濁りが取れることを述べた。
では魂の濁りが取れるとどうなるのか。
言い換えれば、どうして魂を清めなければならないのか。
前回はその効果を神通力という言葉を用いて表した。
その神通力の正体とは何であろうか。
答えは問題解決に対する閃き、インスピレーションが得られることである。
そもそも多くの人が現状に慣れすぎて、自分の危機的状況すら見えていない場合が多い。
「今までが大丈夫だったのだから、これからもこの生き方で大丈夫だ。」
多くの人がこのように考えて、新しいことに挑戦することを放棄している。
その同じ環境下で賢者は「今のままではだめだ」と気づく。
そしてその解法を探り、その解決策に気づく。
その解決策を効率良く行う方法に気づく。
この気付き、言い換えればインスピレーションが得られることが、魂を清める結果である。
自分は何も変えられない、何も出来ない。愚かで無力だ。
長い人生の中で、そう思うこともあるだろう。
どれほど愚かで無力な人でも、気づきさえあれば人生を変えていける。
ブッダの10大弟子の一人、周利槃特(しゅりはんどく、ちゅーらぱんたか)は初めは愚鈍極まる弟子だったが、「塵を払い、垢を除かん」と一心に何年も精舎を清めた結果、最高位の阿羅漢になったとされる。
そこへ至る過程においても、気付きが彼の人生を変えている。
推譲と無心の清掃は、人生を変える最強の手段である。