※「噓を吐く」の読みは「うそをつく」です。

 

この世には呼吸をするように嘘を吐く人がいる。

例えば自分のことを誇張する人。

他人の功績を自分の功績のように語る人。

自分の間違った行いを知りながらやっていないと言う人。

このような人は幸福だろうか。

 

嘘を一つも言わない人はこの世界には少ない。

それでも嘘は吐かないほうがいい。

正直に生きたほうがいい。


ではなぜ嘘を吐かないほうが幸せなのだろうか。

なるべく嘘を少なく生きたほうが幸福だからである。

 

自分をよく見せる言葉と、自分の誤りを認めない言葉。

これらはその場だけは人の評価を上げるだろう。

だがそれは本当は恐ろしいことである。

 

何の実績もないのに、嘘を吐いて得た高い評価。

または誤りを認めないで下げなかった自己評価。

事実とは違う姿に変わっている。

その見せかけを変えるエネルギーをどこからか「借りて」来ている。

借りたものはいずれ返さなければならず、用意がないならまた嘘を重ねる必要がある。

多重債務者が借金を繰り返すのと同じように、嘘を繰り返さなければならなくなる。

このようにして嘘を繰り返すうちに、呼吸をするように嘘を吐く人になる。

 

この呼吸をするように嘘を吐く人は本当に不幸である。

すでに本当の己の姿がわからなくなってしまっている。

顔の左右は非対称になり、口は「ひょっとこ」のように曲がる。

 

嘘を吐くことの最大の弊害は、生きる意味を見失うことである。

「たった一度の人生を何のために生きるのか」

これらのような「己の魂の声」が聞こえなくなる。

そうしてたった一度しかない人生を棒に振るのである。

 

「一つも嘘を吐くな」とは言わない。

だが上記のことを心得て、嘘は少なく生きたほうが良い。