誤りを上手に正すには作法がある。

その作法を知らないで、「誤りを直せ!」とうるさく騒ぐ人は嫌われる。

 

誤りを正す言葉は人を傷つける刃である。

そのような鋭い言葉を吐きながら、相手に好かれるようでなければならない。

正しい作法で正しいタイミングで誤りを正せば、相手は必ず感謝する。

すでにやってしまったことは恥ずかしいが、大恥をかかずに済むからだ。

 

そのような立派な人になるにはどうしたらいいのだろうか。

それは常に己の誤りを正すことにある。

 

自分の行いが正しいのか。

人に不快感を与えていないか。

神経質なまでに我が身を省みる。

そのような気弱と捉えられる考えのようでありながら、己の正しさを示す刃を振るう。

それはつまり常に己の誤りを、己の心の刃で断ち続けることである。

 

己の心の誤りを断ち続けると、一本の鋭い刀のような研ぎ澄まされた心になる。

これを鞘におさめ、柔らかい雰囲気を纏って生きる者が賢者である。