禍つ神となった父のその後。
私が父の家に足を向けなくなり、数日が過ぎた。
私が行くとパニックを起こすので、妻に父の世話をしてもらうように動いていたある日。
突然我が家に父が押しかけてきた。
「お前なんか、子供じゃない!殺してやりたい!死んでくれ!」
と叫んで首を絞めてきた。
神域症の人は被害妄想から暴力的になることがある。
話が通じないだけならまだしも、こうなるとつらい。
同じ禍つ神であっても、霊体であれば実行力を伴わない。
だから避けて通れば、そんなに恐ろしくない。
だが生きた親がそうなるとどうにもならない。
たまたま私の体力が大幅に父を上回っていたので、逃げおおせることができた。
パニックを起こした原因は大したことではないが、妄執が強くなると少しのことでパニックに陥る。
生きた禍つ神の方が恐ろしいのである。