「特殊清掃」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
様々な理由で人は死ぬが、孤独な生涯の終末を迎えた場合。
その遺体の発見が遅れて、腐敗が進んでしまう。
腐臭などの異変に周囲が気づき、通報により警察などが来る。
警察は検分のために遺体を持ち去るのだが、その後の家屋の清掃を行うことである。
部屋は嘔吐しそうなほどの悪臭が漂い、床はハエの死体で埋め尽くされている。
床には人型の黒いシミがあり、「ここに遺体があった」とはっきりわかる。
その現場に行けば誰だって「孤独死はしたくない」と強く願うだろう。
作業員は合掌したのちに作業に取り掛かる。
生前、その方が大切にしていただろう物を、心を捨ててごみとして処理していく。
溶けて腐敗して脂肪分は、目に染みるような悪臭となる。
窓をあけると近隣の迷惑になるので、真夏でも閉鎖して作業をする。
保護具を頼りに心を無にして、機械のように床を特殊洗剤でひたすら磨く。
孤独死をした人も不幸、その処理をする人も不幸。
孤独死はいいことがない。
誰でも子供時代にはこのような末路が人にあることを想像していない。
それが我が身の上に起こることなど、理解している人は少ない。
現地に行かないと、この恐ろしさは身に染みることがないだろう。
最近ではIoTが進んで、生体情報をWi-Fi経由で見守るシステムもある。
それはそれで必要なことと考える。
だが孤独死の不幸を減らすためには、孤独死の根源を取り除くことに取り組まなければならないと考える。
私は孤独死の根源は憎しみと孤独にあると考える。
このような不幸を世界から取り除くために、次回からこれについて考えていきたい。