これはまだ私が二十歳頃の話になる。


私は当時から様々なことに興味があった。

その興味は「なるべく人が体験出来ないことをしたい」というものだった。


その一つに清掃業のアルバイトがあった。

きつい、汚い、危険の3つが揃った、若者が忌避する仕事だった。


私な就業先は、特に汚い仕事を多く請け負っていた。

駅の汚物処理槽のメンテナンスや、ごみ処理場のメンテナンス。


トイレから流れてきた汚物を貯めた貯留槽にザバザバと入り、肩や顔の一部まで汚物に浸けて、ポンプに詰まった異物を手で除去する人たちをそこで見た。

(アルバイトは見ているだけ。硫化水素中毒の恐れもあり、手元働きと酸欠メータを見ていた。)


ごみ処理場のメンテナンスは、破砕機の筒の中に入って詰まった異物を除去した。

ホコリだらけで、特殊マスクなしでは息もできなかった。

(破砕機が動き出したら、中にいる人は死ぬ。)


そこで働く人には、その職場で働き始める前に、それぞれの物語があった。