廊下を挟んだ向かいの部屋から、中3の息子の乾いた咳が聞こえる。
彼は今日、コロナと診断された。
昨夜は何でもなかったのに、今朝はいつになく激しい咳をしていて、カミさんが心配していた。
自分は午前中は定期通院で、病院から戻って来ると、マスクをした息子がリビングに座っていた。
熱が出始めたよ、とカミさんが言った。
これは普通の風邪とは違う。インフルかコロナかも。
少し離れた机でカミさんが用意してくれたチャーハンを食べつつ、だとしたら自分はもうかかってるな。と冷静に考えていた。
それから会社に行った。
総務の女性達がいつもの様に笑い合っている。
大丈夫ですか?
自分が病院に行ったと言う事だけが伝わっていたらしい。
大丈夫だよ。と答えた。
心なしか、頭が痛い。
明日は東京出張があった。
明朝の体調を見て、行くか止めるか決めよう。
そう思っていたら、総務のTさんが、
「頼まれていたお土産です。」
と菓子箱を2つ持って来た。
行かないと、JRチケットばかりでなく手土産も無駄になっちゃうのか。
あれこれ心配したせいか、頭痛が酷くなってきた気がした。
同僚の所に行き、申し訳ないけど、明日の出張を代わってもらえないか、とお願いした。
怪訝な顔はされたけど、何とか受けてくれた。
息子は案の定コロナだった。
が〜ん、という感じのLINEが病院に同行したカミさんから届いた。
受験前なのに。
この4年間、我が家全員、よく一度もかからずに耐えたと思う。ワクチンを最後に打ったのは自分で、5回目を一年半前に。息子とカミさんは2回目でやめている。
会議を一つすっぽかして早退した。
やはり頭が痛い。
帰ってからカミさんにそう言うと、それは気のせいだ、と言い切った。
熱を測ると平熱だった。
昨日、耐え難く酷い出来事があって、昨夜はかなり酒を呑んだ。
単に遅い二日酔いだったのかもしれない。
明日は出張を代わって貰った手間、何となく会社には行きずらい。
とは言え呼吸器が弱いので、やっぱり、かかりたくはない。
とりあえず部屋で酒でも飲もう。