健康食品が下火になったわけ | 日々此れShow人

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地元の同級生が、今日会社を尋ねてきました。

 

彼は現在、親の後を継いで製造業の会社を経営しているのですが、あるちょっと変わった物を入れたお茶を考案したと言うのです。

 

味と香りが売りではあるものの、成分分析もして健康面へのPRもしたいと言います。

 

彼の熱心な説明を聞きながら、そういえば似た様な話を何度も聴いてきたなぁ..とぼんやり考えていました。

 

かつては、近郊の製造業の会社など、猫も杓子も健康食品に手を出した時代がありました。

 

大量に捨てられる野菜の皮の類から健康に良い成分を抽出してタブレットにしたとか、

何とか言う木の皮から取れる有効成分とか、

草やら花やら、まぁ色々と。

 

そして、いつしかそうしたものは、全て下火になって行きました。

 

国内の事例で、痩せる、とうたう健康食品を飲んで肝炎を起こしたとか、そういった健康被害の事件が相次いだ事があったのです。

 

天然物だから安全などという理屈はありません。

 

例えば、おせちに入っている、ゆり根、には毒があります。

銀杏も同じく毒があります。何れも食べ過ぎるとお腹を壊します。

ビタミンAも、妊婦が取り過ぎると奇形児が生まれるリスクが高まります。

 

過ぎたるは及ばざるがごとし。

何でも抽出して濃くしてしまったり、大量に食べれば毒になり得るのです。

 

さて、そうした事例を受けて、国立医薬品食品衛生研究所が世の中で売られている健康食品をシラミ潰しに調査しました。

端から試験をやって、毒性があると販売禁止にしました。

 

そして薬事法が厳しくなり、一切の効能が言えなくなりました。

 

効能をうたうには、特定保健用食品(トクホ)を取るしかありません。

でもトクホを取るのは簡単ではありません。

有効性、安全性、様々な試験を求められ、1億円以上のお金がかかります。

 

長く日本人に食品として親しまれてきた物は、安全性の懸念が少ない事から、比較的楽に認可を通ると聞いています。

 

例えば、茶ポリフェノールは、本来からお茶に入っている成分。

オリゴ糖、大豆タンパク質、腸内にいる乳酸菌類など、

目下、トクホに認可されている成分の殆どは、古くから食されているものばかりです。

 

一方で、外国由来の物や、食べられていないもの、例えば特殊な海藻、動物や昆虫、木、キノコなどから新たに発見した成分とか、そういう物でトクホを取るのはほぼ不可能と思われます。

 

実際に外国の植物の抽出物でトクホを取ろうとした会社のケースでは、厚生省に何度相談しても安全性情報が足りないと言われ続け、毒性試験をいくつもやって、開発費が2億円に達した時点で音を上げて、トクホを取る事を諦めてしまいました。

 

曰く、そうやって諦めさせるのが行政の手だ、との事をその会社の方は言っていました。

 

認めなければ何か起きた時に責任を取る必要もないわけで、

あぁ行政らしいな、と思います。

 

実際、消費者庁が公開しているトクホのリストを見ると、古くから親しんできた食品に入っている無難な物質ばかりです。

長いトクホの歴史のわりに、認可された物質の種類が異常に少ないのが分かります。

食品会社も、一度認可された物質を、色んな食品に入れて、手を変え品を変え認可を取っているだけなのです。

 

トクホには多額の金がかかる、

トクホを取らないと効能がうたえない、

規制を潜り抜けて、あの手この手でPRするも、薬事法違反での検挙は後を絶たず。

しかも、健康食品は高いわりにキレが悪くて存在意義が薄い。

 

そうこうしているうちに売れずに下火になっていったのでしょう。

 この先、新たな成分がセンセーショナルに登場する事はおそらくありません。

 

さて、冒頭の彼ですが、

そんなこんなで、成分や効能を追求するのは止めときな、という自分の話を理解して帰って行きました。

 

※昨今は、トクホよりも少し基準を緩めた新たな認可が登場した様です。

それについては調査不足で詳しくないです。