こんにちは、薬剤科です
皆さんは病院で軟膏やクリーム剤、ゲル剤、ローション剤などの
塗り薬(以下、軟膏類)を処方され、薬局で受け取るまでに
長時間待たされた経験はありますか
処方の内容によっては飲み薬の受け取りよりも
時間がかかる場合もあると思います。
では、なぜ時間がかかってしまうのでしょうか
軟膏類の調剤について簡単に説明しながら理由を紐解いていきましょう
まず、軟膏類の販売単位は以下の通りです。
1.チューブやプラボトル単位に個包装となっているもの
(例:アンテベートR軟膏0.05% 5g/本)
2.個包装ではなくプラボトルに詰まっているもの
(例:亜鉛華(10%)単軟膏 500g)
3.2種類以上の軟膏類を混ぜて調製するもの
(例:アンテベートR軟膏0.05% + ヒルドイドRソフト軟膏0.3%)
上記の中で、2番目と3番目は特に軟膏類を取り分けたり、
混合する必要があるため時間がかかってしまいます
これらの軟膏類の調剤の工程を簡潔にまとめてみました
①処方鑑査:処方の内容に間違えがないかを確認します。
→治療経過や副作用歴・アレルギー歴などを参照し、
軟膏類を塗布する場所や混合の割合が適切かどうか、
軟膏類の混合の可否(配合変化など)を確認します。
②取り揃え:調剤に必要な医薬品を取り揃えます。
→個包装の軟膏類は取り揃えで終了です。
③使用する道具や充填する軟膏つぼの準備・消毒:充填・混合に
使用する軟膏ヘラや軟膏板、軟膏つぼの準備と消毒をします。
→細菌等の繁殖を防ぐために調剤に必要な物品を消毒します。
④秤量:軟膏類を必要な分だけ秤量して取り分けます。
→小分けにする処方の場合は軟膏つぼに充填して終了です。
⑤混合:取り揃えた軟膏類を軟膏板の上で均一になるまで混合します。
→ムラができないよう混合します。
ムラがあると薬効に影響がでる可能性があります。
⑥充填:秤量したら軟膏類や混合した軟膏類を軟膏つぼに充填します。
→空気が入らないように、隙間なく軟膏つぼへ充填していきます。
⑦表記:軟膏つぼに充填した軟膏類の内容と日付を表記します。
→軟膏つぼの内容と日付を表記し、中身と調剤日を明確にします。
⑧鑑査:調剤した薬剤師と異なる薬剤師が鑑査します。
→処方箋の内容と調剤した薬が相違ないかを確認します。
払い出し:薬を、患者様に薬の説明と共にお渡しします。
このように、個包装ではない軟膏類や混合する必要のある
軟膏類の処方を調剤するには、飲み薬を調剤するより
多くの工程を必要とします。皮膚科の病院やクリニックの
門前薬局などでは、混合の過程を自動軟膏混合機で
行っているところもあるようです
ですが、自動軟膏混合機のような調剤に関する機械は
とても高価なのでどこの薬局でもあるものではありません
待ち時間が長くなりそうであれば、待ち時間を薬局で過ごすよりは
時間を有効活用されることをお勧めします
薬局に処方箋を渡す際に「後で取りに来ても良いか?」や
「後日取りに来ます」など声をかけていただければ
薬局内で待つ必要はありません。ただし、新しく処方された薬や
医師よりすぐに使うように指示された薬は例外です
前回の薬の内容が変わらなく、余りが多少ある場合は
上記の方法をお勧めします
(薬剤科)