日刊ゲンダイにて毎週火曜日夕刊で掲載されています
酒向院長の記事をブログでも毎週お知らせいたします。
第107回
~「認知症と共存する暮らし」とはどのようなものなのか~
認知症リスクを高める10因子は、
①11~12歳で教育終了
②運動不足
③社会的孤立
④糖尿病
⑤LDLコレステロール高値
⑥高血圧
⑦肥満
⑧聴力低下
⑨喫煙
⑩抑うつ
──です。
読者のみなさんはこのリスク因子を知って、どう思われますでしょうか。
そうなのです、
認知症を予防するには、明確な“道筋”があるのです。
その道筋とは「筋肉革命95」による、
グループで運動不足を解消する筋肉増強のパーソナルトレーニングになります。
グループで筋肉増強の方法を学び、継続することで、
糖尿病、肥満、高血圧、LDLコレステロール高値、社会的孤立、教育終了、抑うつを予防し、
さらに治療もできるわけです。
認知症は楽して予防はできませんが、予防の道筋はあるのです。
認知症は、正常域、MCI(境界域=軽度認知障害)、軽症、中等症、重症と進みます。
認知症になる前に脳組織は20年間かけて変性していくのをご存じでしょうか。
その期間の対策が重要になるのです。
つまり、70~90歳で発症する人は50~70歳から脳組織が変性を始めます。
ですから、50歳から筋肉増強で認知症予防を開始して、
80歳で就労や家事を緩く継続することが最も有効な認知症予防なのです。
しかし、筋肉増強による効果は認知症の軽症期までです。
認知症が中等症以上になると、認知症自体を改善することは難しくなります。
物忘れだけだったのが、日々の暮らしに手伝いが必要になり、
言語がうまく使えなくなり、尿便失禁、そして、歩けなくなり、嚥下障害が生じます。
すると、肺炎で亡くなってしまうのです。
この流れを「アルツハイマージャーニー」と言います。
発症後、10年くらいかけて進みます。
このため、とにかく予防が大切なのです。
そして、その道筋はあるのです。
では、中等症や重症になったら、どうすればいいのでしょうか。
認知症患者さんは自分ではどうすることもできず、ただ現状維持を希望されます。
その結果、自宅が“ゴミ屋敷”になってしまいます。
■「徘徊が散歩になる」安全で安心な生活環境
これを避けるいい方法があります。
全国にある「地域包括支援センター」に相談するのです。
本人やご家族が暮らしたい場所で暮らせるように、
医療介護の専門職が認知症による生活の障害を支えてくれることになっています。
もちろん、専門職の能力差はあるので、相性のいい担当者にお願いすることが大切です。
簡単に言うと、要介護申請して、生活を続けるための介護保険サービスなどを利用して、
「かかわり方」と「生活環境」を調整してもらうのです。
専門家がこの2つを整えることで、認知症患者さんの精神状態と生活リズムが整います。
しかし、あまりに精神症状が強く、他人への迷惑行為が多い時は、医師による薬剤治療が必要です。
「かわいい認知症」になるように薬剤を調整してもらうのです。
すると、介護者の負担が軽減し、介護を継続できるようになります。
この内服調整が認知症専門医の真の腕なのです。
「かわいい認知症」に治療してもらえない時は、
担当の認知症専門医を変更するのがいいでしょう。
そうでないと、介護生活が継続できません。
私たちが全国的に進めている健康医療福祉都市構想は、
社会参加と社会貢献の機会を増やすことにより認知症を予防する大規模な街づくりですが、
愛媛大学医学部の空手部の後輩である山内勇人先生は、
大分県佐伯市で生活に困る精神障害や認知症の方が健やかに暮らせる在宅支援の地域体制をごちゃまぜの環境で構築しています。
どこの地域でもまねができるために、ごちゃまぜにしたのです。
この山内先生の佐伯市での取り組みは、
2024年にNHKの第8回「認知症とともに生きるまち大賞」を受賞しました。
大切なのは、患者さんをしっかり診て、知り、信頼関係を構築すること、
そして認知症をカミングアウトでき、
見守りの中で「徘徊が散歩になる」安全で安心な生活環境体制をつくることです。
この取り組みは全国どこでも実現できます。
認知症とともに生きる在宅支援の地域体制を構築したいと考える医師がひとりいれば、
その医師をリーダーにして、地域の認知症関係者たちがつながればいいのです。
症状の管理が難しい場合は、
超強化型老健や認知症専門施設、一時的に精神科病院なども利用できます。
認知症と共存する暮らしは、日本全国どこにも必要です。
認知症をカミングアウトできるシニア社会にしていくのです。

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掲載元:
日刊ゲンダイDIGITAL