平成30年8月22日、ホテルガーデンパレス札幌において第19回石狩リハビリテーション地域連携懇話会を開催しました。
今回は北海道医療大学 リハビリテーション科学部 理学療法学科教授の高橋尚明先生をお招きし、「回復期リハ病棟・訪問リハ・訪問看護における呼吸ケア・リハビリテーション」と題して、呼吸ケア・呼吸リハについてご講演いただきました。
講演会内容を一部ご紹介します。
≪講演会内容≫
①クリニカルリーズニング(臨床推論)の重要性
・臨床場面での「臨床推論」を重要視していますか?
・適切な評価からのクリニカルリーズニング
・臨床推論では、解剖学・生理学が重要!
②COPDに関する課題
・多くのCOPD患者→ 適切な診断を受けていない ?!
・心理的影響への対応が不十分→ 抑うつ症状、家族への対応が必要!
③COPDにおける身体活動量と予後
・治療アウトカムとして身体活動量を重要視!
④呼吸筋力と身体能力
・身体機能の低下 = 呼気筋力低下の可能性
・体幹の筋力を要する抗重力姿勢
→ 残気量増加に伴う換気不全の可能性
⑤栄養指導について
・標準体重(IBW)と標準体重比(%IBW)の算出
・必要なエネルギー量(BEE)の算出(Harris Benedict 日本人版)
・目標エネルギー量とたんぱく質量
⑥訪問リハ・訪問看護のチェックポイント
【フィジカルアセスメント 】
・筋緊張の変化
・座位、立位の姿勢の変化
・換気量、換気パターンの変化
・打診、聴診の確認
【生活状況の確認 】
・日々の活動量や生活状況
→ 毎日の歩行頻度と歩行距離
→ 入浴をはじめとしたADLの状況
・食事のメニューや量、体重の増減
・日々の生活への活動意欲
⑦各治療ステージで大切な事
【回復期リハ病棟で大切な事】
・どの様な診断であっても背後に潜む呼吸器疾患や呼吸困難に目を配る
・必要に応じてフィジカルアセスメントを実施する
・つねに臨床推論を意識する
【訪問リハ・訪問看護で大切な事】
・何かを変化(改善)させる事に傾倒せず対応する
・生活状況、活動状況に変化が無いか確認する
・本人と家族の心理的サポートを意識する
⑧まとめ
・解剖学&生理学からの臨床推論を大切にする
・チームで知識を共有する
・身体機能向上 → 生活の維持と向上
・精神的サポートの重要性
・チームで情報を共有する
今回の懇話会には約140名の方々にお集まりいただくことができました。基礎医学(解剖学・生理学)や臨床推論の重要性、回復期・生活期の呼吸ケア・呼吸ケアなど分かりやすくご講演いただき、皆さん熱心に先生のお話に耳を傾けられていました。講演後の質疑応答や懇親会においても高橋先生を呼吸ケアに関する相談や症例についても質問されており丁寧に答えてくださいました。回復期・生活期における呼吸ケア・呼吸リハビリテーションの今後のあり方について再考することができました。
次回開催にもご期待ください。(お)