国立国語研究所が編集した「日本語の大疑問2」を読んだ。1をまだ読んでないのに2を読んだのは、2が発売されたばかりで、すぐに図書館から来たからである。同時に来た1はいつでも読めるだろうと後回しにした。

 

 章立てを見ると、

 第1章 若者言葉・話し言葉の謎

 第2章 どうにももやっとすることば

 第3章 文字にまつわるミステリー

 第4章 そろそろ決着をつけたい日本語

 第5章 言葉の歴史を探る

 第6章 外国人学習者が戸惑う日本語、である。

 

 

 日本語に関心のあるけんじいにとってそうだったのかとか、初めて知ったというものは多くはなかったので、その多くはなかったものと、そうそうと強く納得したものを中心に書き留める。


(1)東北地方では「山に行く」を「山さ行く」と言うが「いい天気になった」を「いい天気さなった」とは言わない。この場合は「いい天気になった」である。あくまでも空間的な移動の方向を表す場合に使われる。まあこれはなんとなくわかる。きっと「彼に言う」は「彼さ言う」とは言わないだろうと推定できる。どんな格助詞でも「さ」にすればいいというわけではない。


(2)「故障中」という言い方は文法的に間違っているかどうか。よくこの張り紙がしてあるのを見る。著者は不自然に感じないと言っているが、実はけんじいはしっくりこないと思っている。その理由として、「〜中」はは普通人間が主体であり、またいずれ解消される状態を一時的に保つという意味があるので、「婚約中」や「就寝中」はいいが「死亡中」や「結婚中」のような言い方はできない。

 

 

 しかし「故障中」は人間が主体ではない点で違和感があるが、いずれ解消される状態が一時的に保たれるという意味では、典型的な用法との共通性があるから違和感を覚えない人も多い。


(3)カッコの種類はいろいろとあるが、1番よく使われるのが【墨付きカッコ】だとは知らなかった。確かにビジネス文書によく出るらしくとても目立つので、注意してもらいたいところやよく読んでほしいところにつけるのだろう。

 

 またカッコがあった場合に最後のマル(読点)をどこにつけるのが一般的かという話もあったが、これはけんじいがいつも使っているスタイルが一般的だった(あくまでも一般的)。←このように

 

 

(4)面白かったのは保育園から小学校に入った子供に「どうして保育園の時は桃組(ぐみ)とか花組(ぐみ)だったのに、小学校に入ったら1組(くみ)2組(くみ)になってしまったのかと聞かれて、日本語学者が答えられなかった話。結局理屈がつけられなかったそうだ。


(5)「ムショ」は刑務所の略ではなく、刑務所ができる以前からあった言葉。江戸時代から監獄のことを盗人仲間の隠語で「虫寄せ場」と言った。その略した形だそうだ。「スイートルーム」も甘い部屋だと思っている人が多い(けんじいもそう)が、そうではなくて、ひと続きのという意味のsuite(発音は全く同じ)である。


(6)「うんともすんとも」や「ピンからキリまで」はポルトガルのカルタから来たという話もあったが、省略する(ポルトガル語で1はウン、最上は(スンム)、同じくピンタは点、クルスは十字架を示すなど怪しい説も多かった)。

 


(7)外国人学習者が戸惑う日本語の話は大いに関心を持って読んだ。「いいです」や「結構です」が、外国人にはどっちの意味なのかイントネーションや表情で見分けがつくまでに時間がかかるというが当然だろう。

 

 また「〜しかねる」のように、否定語「ない」がないのに、意味が否定である言葉がわかりにくいとのことだった。けんじいは授業で「しかねる」および「しかねる」とは逆に「差し支えない」と「ない」がありながら「してよい」という肯定の意味になるこの2つの単語を学生に「間違えるなよ」と強調している。