国分寺といえば聖武天皇を思い出す。その国分寺市が東京にありながら国分寺の遺構を訪ねたことがなかった。「東京ハイキング案内」というガイドブックのトップに「国分寺崖線」があったので、いつも小田急沿線でランチしている友人とちょっと遠出と出かけた。

 

(殿ケ谷戸庭園に咲いていたフクジュソウ)

 

 ガイドブックの案内に従って武蔵小金井駅に降り立つ。この本によると、「崖線とは河川や波の浸食によってできた崖地の連なりのこと」であり、「東京には立川から世田谷に続く国分寺崖線と赤羽から上野までの日暮里崖線がある」。崖線には多くの湧水があり、国分寺崖線で言えば、野川はその湧水を集めて流れている川であり、河岸段丘の下には多摩川が流れている。

 

 

 野川については、けんじいは2020年3月にコロナで日本語学校が休校になって暇だったので、水源地の国分寺日立中央研究所前から多摩川に合流する二子玉川まで3回に分けて歩いた。今回は野川は近いが立ち寄らない。武蔵小金井駅から南に5分で「六地蔵のめぐみ黄金の水」が湧出する場所に立つ六地蔵(1707年宝永4年建立、上)を見る。

 

 

 連雀通りを西に向かうと、滄浪泉園の林が見えてくる。衆議院議員などを歴任した波多野承五郎の別荘の一部だったとかだが、名前の通りここも崖線から湧き出る水が見られ、当然のように池がある。小金井市立で入園料は60歳以上50円。

 

 

 次は貫井神社(上)だ。地名の元になっているので名前だけは知っていたが、これも崖線をバックにした立派な神社。隣は東京経済大学でその南側を回り込み、次の目的地殿ケ谷戸庭園を探す。国分寺駅との位置関係を間違えて少し手間取った。

 

 

 こちらは面積も広く都立で入園料60歳以上70円。三菱合資会社の江口定條が構えた別荘を同じ三菱合資会社の取締役だった岩崎彦弥太が買い取ったもの。池も含めてかなり広いし崖線らしく登り下りがあって山登りの気分。季節がよければ人出も多いだろうが、この時期ほんの数人しか見ない。

 

 

 ここは国分寺駅のほぼ南に当たる。正午をかなり回ったので駅前の豚カツ屋でランチしてから最後の目的地、国分寺跡に向かう。「お鷹の道」と名付けられたルートを巡ると、国分寺跡、国分寺楼門、国分寺薬師堂などが現れる。

 

 

 国分寺自身は残っていない(上の七重の塔は模型)し、万葉植物園といっても咲いている花はほとんどないが、奈良時代の雰囲気は味わえた。更に南に国分尼寺があった場所もある。聖武天皇、あの時代に国分寺とともに女性のための国分尼寺も作らせたとは大したもんだ。きっと当時のジェンダー先進国だったんだろうなあ。

 

(現在の国分寺は真言宗豊山派の寺、1725年に本堂が再建されている)