コロナも下火になり、留学生の入国が再開されそうな雰囲気になってきた。これが実現すれば、けんじいの勤務する日本語学校も、来年の4月に極端に減ると予想されていた学生数が徐々に元に戻るかもしれない。

 

 さて最近、上級クラスのスピーチで、「自分が進学後専攻しようとしている分野の人物を5分で紹介する」という課題を与えて発表させている。これがなかなか面白い。

 

 

 最初の二人は、いずれも社会学が専攻で、偶然なのか、学問の中心はやはりアメリカなのか、二人ともシカゴ大学の学者を紹介した。

 

 一人目は、アーネスト・バージェスという都市社会学者(上)で、同心円モデルを発表した話だった。同心円モデルとは、都市の構成が中心(業務地区)から外側に向けて、卸売・軽工業地区、低級住宅地区、中級住宅地区、高級住宅地区の順で広がっていくというもの。

 

 

 内容的にはすでに古い話だと思うし、今の東京は都心回帰ともいうべき現象が主流だと思うが、発表ぶりが非常に上手だった。

 

 

 二人目は、ジョージ・ハーバート・ミドという社会心理学者(上)。「「me」とは,人間の経験に含まれた社会的状況(他者たちの構えの構造的過程)であり, 「I」とは,その状況(「me」)に対する行動であり,「me」を(再)組織化するものなのである。」と小難しい話だったが、要は心理学と社会学を融合させた学者のようである。

 

 

 続いて話したのは、女性のファッションブランドMoschino(モスキーノ)の創始者(同名)。社会学者の二人が19世紀生まれと古いのに対し、こちらは1983年にブームを作ったデザイナー。

 

 

 発表者によると、「イタリア生まれだが、フランス風でエレガント、単色を使った、いたずらっぽい、クマをよく使うなど遊び心を持った大胆なデザイン」なのだそうだ。また「環境に優しい素材と染色を使うなど、環境に配慮し、環境団体にもたくさん寄付している尊敬すべきデザイナー」でもあるのだそうだ。

 

 そして最後に付け加えた一言にけんじいはびっくりした。「実はこの方は、私が留学したミラノの学校の先輩でもあるのです。」と。

 

 

 いやはや、この中国人留学生はすでにミラノでもデザインを学んだ国際人。世の中はものすごい勢いで変わっている。

 

 ついでにこの日の授業で「日本は治安がいいです」という例文を読んだ中国人学生は、こう言った。「先生、上海の方が東京より治安はいいです。地下鉄の入り口で全部手荷物検査します。」と、暗に先日の京王線の事件のことを指しつつ。