右派自民党と左派自民党

　けんじいがこどもの頃、かすかに記憶があるのが右派社会党と左派社会党というおかしな名前の政党があったことだ。どちらも社会党を名乗っていたので、仕方なく右派、左派をかぶせて区別したらしい。1955年に自由党と民主党が合併して自由民主党ができたのに先駆けて、元の鞘に納まって日本社会党が一本化されたことから、これ以降の政治体制を長らく55年体制と呼んだのだ。

　なんでこんなことを思い出したのかと言えば、最近の民主党の動きが、まるで自民党と瓜二つであるからだ。自民党の悪いところをそのまままねしていて、いわば左派自民党である。資産家で巨額の脱税が疑われたお坊っちゃまも、兄弟でそれぞれ右派と左派におられる。

　なるほど小沢さんの主張は、日本に二大政党による政権交代を実現することにあったので、そのためには手段は選ばずということらしい。しかし政権交代を実現することが最終目的とは思われない。国民に、どっちも同じなら、交代によるゴタゴタよりも、中国のように一党独裁の方が効率的ではないかなどと思われてしまうようでは、本末転倒だからだ。

　せっかく中堅、若手の民主党議員が長年温めてきた国民のための政策を実現しようという段になって、これでは政治そのものが捨てられる。まさかとは思うが、戦前のような右翼テロ、軍隊による決起など悪夢の再来が恐ろしい。たとえ未遂でもそんなことが起きたら、先進国日本の国際的信用は奈落の底だ。関係者はさっさと身を引き、部下を含め無罪が明らかになってから堂々と復帰してもらいたい。

　ある企業の経営者の一員だった頃、非常に強力な労働組合の幹部から「政府・自民党につながるあなた方経営者は・・・」という言葉で始まる罵りを聞かされていた日々を思い出す。一度も自民党などに投票したことがない俺が、「なんで自民党につながっちゃうんだろう」と、彼らが指差す自分の胸を見て思ったものだが、このままだと確かに「左派自民党につながってしまう」。