デフレからの脱却 | けんじいのイージー趣味三昧

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 リーマンショックによる世界経済の落込みの話が一段落して、今は「どうして日本だけがいつまでもデフレから脱却できないのか」という問題が取り上げられることが多くなった。
 
 先日ある経済学者の講演を聞いたところ、デフレ対策として消費税率の段階的引き上げを提言していた。例えば向こう5年間にわたって毎年消費税率を2%ずつ上げていくと宣言すれば、住宅建設を始めとして支出の前倒し効果が出てくるから、一挙に景気がよくなるというのである。もちろん初めて聞く話ではないし、たぶんその効果はあるのだろう。

 しかし何だか餌に釣られてというか、罰ゲーム回避のためにというか、必死に走り抜けようとする哀れな自分の姿が思い浮かび、哀しい気持ちになる。たぶんその5年間が終わったときには、多くの国民は駅伝の選手が走り終えたときのようにぶっ倒れるだろう。

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 次に、学者はデフレ阻止の最後の手段としてゲゼル税(百年ほど前のドイツの学者のアイデアだそうだ)を紹介した。これは、政府が元本の一部でも保証しているような金融資産の残高に対して課税しようというもので、具体的には国債、地方債、預金などが対象となる。現金にも新札との交換の際に手数料を取る(お札への一種の印紙税貼付)ことで課税するのだそうだ。

 そうすると何が起きるか。政府保証のない株式、社債、不動産、耐久消費財への資金シフトが起きインフレマインドが高まる。企業は預金を持っていると課税されるから、売掛金を早く回収するのはむしろマイナスで、企業間信用が拡大する。外貨預金は政府保証がないから課税されないので、外貨運用が増加し結果円安になり、輸入価格の上昇を通じてインフレマインドが高まる。かくてデフレが脱却できるというものだ。
 
 前回の不況の局面で預金金利がほぼゼロになったとき、これ以上貸出金利を引き下げるには、預金金利をマイナスにして預金預かり手数料をもらわなくては合わないという議論があった。あの時は銀行の収入確保の話だったが、今回は税金として取る話で、ゲゼル税という言葉も初耳だった。

 デフレが進んでいるのだから、デフレ率と同じ税率なら税金を取られても正味資産は変わらないし、デフレ脱却までの一時的措置と言うが、悪代官に苦しめられる庶民の気分になるのはけんじいだけだろうか。
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 じゃあどうしたら、と原点に立ち返って考えると、結局死ぬまで安心して暮らせる生活設計が立てられるなら、皆が安心して消費を増やすということではないか。健康保険さえも国民皆保険にできないアメリカを横目に、早く年金改革を進めて国民を安心させることが究極のデフレ対策ではないかと思う。
 
 それには民主党だけでなく野党も含めて合意して改革しないと、政権が変わるたびに制度が変わる不安定なものになってしまい安心効果はない。日本年金機構などという中途半端なヌエ法人は短期間で廃止、税金と一元的に徴収する歳入庁構想を実現し、しっかりと国営で安心できる制度を一刻も早く確立することこそが、今最も必要なことではないか。首相の施政方針演説にそれがなかったことを不思議に思う。