さよなら箱根登山鉄道の旧型電車モハ2形109号【2021春☆引退列車②】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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(前回記事の続き)




★前回記事↓↓↓↓↓





2021.3.21箱根登山鉄道の旧型車モハ2形109号ラストラン
2021年(令和3年)年3月21日(日)のラストランをもって、1955年(昭和30年)から活躍してきた旧型車両モハ2形109号が引退。
同車は、1927年(昭和2年)に製造した木造車両チキ2形の走行系機器と新製車体を組み合わせて製造された、箱根登山鉄道に残存する数少ない旧型電車であった。

〈箱根登山鉄道HPより〉




小田原駅(海抜14m)から箱根湯本駅へ。
箱根登山鉄道・箱根湯本駅に、強羅発の列車が到着。
前面窓を開け、方向板(行先板)を「強羅」行きにセット。運転台は中央にある。

残り少なくなった旧型車両3両編成の折返し強羅行き

強羅寄り先頭車が、今回引退するモハ2形109号

車体は、1935〜1940年頃の緑色復刻塗装

箱根登山鉄道の旧型車は非冷房。運転室の前面窓も開閉できる。


引退を記念し、ラストラン方向板を掲出


重厚でレトロなフォルム


車内へ。109号の車内は、旧型車では数少ないセミクロスシート

乗務員室後部。車内両端はロングシート。


車内は、化粧板張替えや座席取替えなどのリニューアルが施され、明るい雰囲気。


荷物棚や温度計は昔のまま。

前面窓も開閉できる。

後ろに連結されている旧型車

乗務員室内部はリニューアルされず、ペンキ塗りのまま。



手動ブレーキハンドル


ドアや窓もリニューアル。ドアには段差がある。

車内には、109号車ラストランのポスター

引退を記念し、車内では写真展示を実施





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始発の箱根湯本(はこねゆもと)駅(海抜96m)を16時51分発車。
駅を出ると、いきなり80パーミル(‰)の日本一の急勾配が始まる。箱根湯本の街がみるみる眼下に。

登山電車は、箱根連山の内輪山と外輪山の間を流れる早川に沿って高度を上げていく。

下段窓の開く旧型電車。109号のボックスシート窓側には小さなテーブルが備わる。


ゆっくり急勾配を登る。


塔ノ沢(とうのさわ)駅(海抜153m)
駅から延びる山道を下ると塔ノ沢温泉街がある。

早川の渓谷を渡る。箱根登山鉄道を代表する撮影地の一つ。


早川橋梁(通称︰出山の鉄橋)。現存する日本最古の鉄橋。国の登録有形文化財、近代化産業遺産。

高さが低いトラス橋のため、電車はパンタグラフを折り曲げた状態に近い形で通過する。


出山信号場(でやましんごうじょう)(海抜222m)

眼下には先ほど通った緑色の早川橋梁が小さく見える。


スイッチバックの出山信号場で、上下列車交換をし、進行方向を変えて、箱根の山をさらに登っていく。ちなみに、箱根山は一つの山の名称ではなく、箱根連山のたくさんの山々の総称。

80パーミルの急勾配。アプト式でない通常の粘着式鉄道では日本一の勾配。



行き止まりのスイッチバックの大平台(おおひらだい)駅(海抜337m)


進行方向を変えてさらに登っていく。


鄙びた大平台の温泉街を望む。箱根湯本の街は遥か下に(右奥)。


スイッチバックの上大平台信号場(かみおおひらだいしんごうじょう)(海抜346m)

運転士と車掌が、信号所ホームを歩き入れ替る。

大平台の温泉街も眼下に。



3つのスイッチバックはここで終了。これから先は急カーブが続く区間となる。



モーターを唸らせながらトンネルを通過


下を通る国道1号線も、つづら折りの山道

国道には、箱根登山鉄道(小田急系)と伊豆箱根鉄道(西武系)の2社の路線バスが走り本数も多い。


仙人台信号場(せんにんだいしんごうじょう)(海抜398m)


眼下を走る国道もかなりの山道。その上を登山鉄道が通る。

半径30mの急カーブが連続する。

このような急カーブをいくつも通過するため、車両間の行き来は出来ない。


宮ノ下(みやのした)駅(海抜436m)

宮ノ下温泉は、箱根を代表する老舗クラッシックホテル「富士屋ホテル」など名高い宿が多い。



ちなみに、宮ノ下温泉から下った早川の谷底には堂ヶ島温泉があり、宿専用のゴンドラ(ロープウェイ)で行く晴遊閣大和屋ホテルや、宿専用渓谷電車(ケーブルカー、後にスロープカーにリニューアル)で行く対星館・花かじかがあったが、2つとも営業を終了してしまった。
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〈かつての大和屋ホテル「夢のゴンドラ」〉

〈かつての対星館の自家用渓谷電車(ケーブルカー時代)〉

〈かつての対星館の自家用渓谷電車(スロープカー時代)〉

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箱根登山鉄道の箱根湯本〜強羅間は、2019年(令和元年)10月の台風19号による大雨土砂崩れ等の被害のため長期間運休していたが、2020年(令和2年)7月23日に復旧・運行再開した。

正月の箱根駅伝で名高い小涌谷駅近くの踏切


小涌谷(こわきだに)駅(海抜523m)


単線の箱根登山鉄道は列車本数が多く、列車交換も頻繁にある。

1000形電車と列車交換


彫刻の森(ちょうこくのもり)駅(海抜539m)

箱根登山鉄道は標準軌だが、小田急車両が乗入れる小田原〜箱根湯本間は狭軌。また入生田検車区〜箱根湯本間は狭軌と標準軌の珍しい3線軌条区間。






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終点・強羅(ごうら)駅(海抜541m)、17時34分到着

「昭和30年 東急車輛」の製造銘板

109号は3両編成中、唯一のセミクロスシート車両

非冷房のため、窓を開け放して走る夏は、山のひんやりした風が心地よい。



菱形パンタグラフ


両運転台・クロスシート車のモハ2形109号(右)。
モハ2形は両運転台のため、2両固定編成のモハ1形の増結車両になることが多い。
この日は運用に入っていなかった僚車のモハ2形108号(金太郎色、1956年(昭和31年)東急車輛製)は、109号引退後は旧型車最後のセミクロスシート車になる。



モハ1形106号(1950年(昭和25年)汽車会社東京支店製)は、ロングシートで車内はペンキ塗り。

モハ1形106号の車体は、1949〜1957年頃の「青塗装」を復刻


片運転台のモハ1形旧型車両(104号+106号)。車両間の車内通り抜けは、急カーブ等での危険防止のため、できない。

モハ1形104号(1950年(昭和25年)汽車会社東京支店製)は、標準塗装であり、かつての小田急ロマンスカーでも採用されていた色。
3両編成の旧型車は、折返し箱根湯本行きとして、17時53分に走り去っていった。



強羅駅の側線には、工事用車両が日中いつも停まっている。

1975年(昭和50年)に登場した保守用無蓋貨物電車「モニ1形」

車体側面には、工事姿のイノシシのイラスト

行き止まりの終着駅

登山電車ホームすぐ隣には、電車ホームとは直角に設置された箱根登山鉄道鋼索線(箱根登山ケーブルカー)ホームがある。


ケーブルカーが早雲山駅から下ってくる。箱根登山ケーブルカーは、強羅駅と早雲山駅の間に4つも中間駅(公園下、公園上、中強羅、上強羅)がある。

山小屋風の強羅駅の駅舎

強羅駅に停車中の早雲山行きケーブルカー




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新型車両3000・3100形「アレグラ号」で、強羅駅から箱根湯本駅へ。(強羅1753→箱根湯本1829)




 

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箱根湯本駅には、小田急電鉄の特急ロマンスカー「はこね28号」新宿行きが停車中

小田急電鉄の新型ロマンスカー70000形GSE。展望室付き。



箱根湯本駅に到着すると、素早く車内清掃をし、座席を自動回転。

ロマンスカーは基本的に30分毎に発着するため、箱根湯本駅でのロマンスカー車両の折返し時間は10分足らずしかない。












小田急ロマンスカー70000形GSE車両の車内


70000形は連接車ではなく、普通のボギー車のため、50000形VSEロマンスカーのように一車両が短くない。



小田急特急ロマンスカー「はこね28号」は、箱根湯本駅18時39分発→新宿駅20時06分着

※2021年(令和3年)春



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在りし日の箱根登山鉄道モハ2形109号(標準塗装時代)

※2017年(平成29年)初夏

箱根湯本駅には、入生田(いりゅうだ)検車区へ回送させる箱根登山鉄道の3両編成のレトロな旧型車両(モハ1形2両+モハ2形1両)が停車中

残り少なくなった旧型車両たち。104号、106号、109号。



1955年(昭和30年)製のモハ2形(109号車両)
駆動方式は平行カルダン式、車内はセミクロスシート


箱根登山鉄道は大変きつい半径30mの急カーブを何度も通るため、車両連結部は間隔が広く通り抜け不可。左が109号

1950年(昭和25年製)のモハ1形(106号車両)。
駆動方式は平行カルダン式、車内はロングシート(ちなみに同じモハ1形の103号・107号は吊り掛け駆動式)

1950年(昭和25年製)のモハ1形(104号車両)。
駆動方式は平行カルダン式、車内はロングシート

一番奥が109号




★動画(箱根登山鉄道モハ2形109号+モハ1形)↓↓↓↓↓↓



(終わり)