一冊の本が、人と人とのつながりをぐっと深めることがあります。例えば初対面の人と話す時も、好きな本や映画についてお互いにシェアすると、人となりがだいぶつかめ、短時間で相手との距離を縮めることができます。特に、好きな本や映画、もしくはその分野が一緒だったりすると、あっという間に打ち解けて盛り上がることがあります。
私も実際に、同じ作家が好きだという理由で、初対面の人とすごく仲良くなったことが何度もあります。そのことに気づいてからは、自分が好きな作家で、相手も好きそうな作家をあらかじめ何人か頭の中に思い描いて、名前を出すようにしています。同じ作家が好きだということは、それだけで価値観や趣味を共有できるということです。「釣りバカ日誌」の浜ちゃんと社長は、釣りが二人をつないでいますが、同じように本も、仕事や社会的な立場を離れて盛り上がれる絆づくりのきっかけとなるでしょう。
本は、両親に対する理解を深め、自分のルーツを知るきっかけにもなります。父親や母親に、「人生を変えるような本ってあった？」と尋ねてみるのです。両親がどの本にどんな影響を受けてきたのか、その結果、あなたの生き方にどんな影響があったのか。その真実を知ることは、自分らしい生き方を確立していく上で、とても有効なアプローチになるでしょう。
本田健