2020年の特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺)の被害額は278億円だそうです。
1日あたり7580万円の被害が出ている計算になります。
これだけ注意を呼びかけているにもかかわらずです。
アメリカに、ジョン・ブリンクリーという詐欺師がいました。
彼は男性の精力増進のために、ヤギの精巣を人間に移植するという、
恐ろしくインチキな手術で巨万の富を得ました。
しかも彼は医者の学位を買っただけの、偽医者だったのです。
なぜ、ブリンクリーは巨万の富を得ることができたのか。
彼は天才的なマーケティングセンスを持ち合わせていたのでした。
●粗悪品を売る方法
あなたは、今朝から頭痛で悩んでいます。
A 頭痛薬
B 何にでも効く薬
どちらが飲みたいですか?
胃の調子が悪い時
A 胃薬
B 何にでも効く薬
どちらが飲みたいですか?
何にでも効く薬は、特定の病気の時は選択肢から外れますよね。
でも、頭痛薬、胃薬、何にでも効く薬の成分が全て同じだとしたら、
どう思いますか?
ブリンクリーは、何にでも効くと売っていた薬を、頭痛薬、胃薬・・・と
種類を分けて売ることで大きな成功を納めました。
・専門性が高まり、より効果があるように見えた
・細かく分けることで、一人当たりの購入数が増えた
これらが理由だと考えられます。
オールインワンを売るより、賢い売り方ですよね。
●ターゲットを絞り、感情を煽る
彼はある患者から精力が弱い男性の治療ができるかどうかを尋ねられた時、
ヤギの精巣移植を思いつきました。
高額を払ってでも強いニーズがあると知ったブリンクリーは、
患者の感情を煽って売りまくりました。
『コンプレックスビジネスは儲かる』を実践してみせたのです。
●成功事例を大々的にアピール
ブリンクリーの手術を受けて男性機能が回復し、
子供を授かった事例はあるのでしょうか。
答えはもちろんNOです。
しかし、ビリーという農場を経営している患者が手術を受けた後に、
子供が生まれました(ただの偶然で、何の根拠もありません)。
農場の跡取りができたビリーは喜びましたが、
それ以上にブリンクリーが喜びました。
ブリンクリーはビリー夫妻に徹底的にスポットライトを当て、
手術の成功事例としてドラマティックな演出をしました。
結果として、ブリンクリーの手術を受けたい人が殺到しました。
人の気持ちを動かすのは、データやロジックではなく、感情です。
ドラマティックなストーリーは、感情を刺激します。
オレオレ詐欺の実行者たちは、老人の感情を巧妙に刺激していますよね。
真っ当なビジネスで感情の揺さぶりを利用するのは良いのですが、
詐欺の巧妙な手口には要注意ですね。
※ブリンクリーの参考文献