最近、医師確保を目的として、医学生に高額の奨学金を支給し、一定期間、特定の医療機関に勤務したら、返済を免除するという制度が流行っている。
通常、奨学金は、学資として支給される限りにおいて、たとえ返済義務を課さなくても税金は免除されるのであるが、この場合の学資には、生活費までは含まれず、学校等へ直接支払われる費用に限定されるようである。
つまり、入学金や毎月・毎年の授業料相当額が非課税の限度ということであり、年間数百万円もの奨学金となると、名目は「奨学金」であつても、雑所得なり給与所得なりとの認定を受けて、課税されるようである。
この辺りは、ケースバイケースなので、一概には言えないのであるが、奨学金と称しさえすれば、何でも非課税、税金を納めなくて良いというものではないことだけは間違いない。
また、一定期間の返済猶予の後に、返済免除となった場合には、免除となった年に一括して課税される。
例えば、毎年200万円、6年間で総額1,200万円の「奨学金」を受けていた医学生が卒後9年間のお礼奉公を終えて、晴れて返済免除となったとすると、卒後10年目の年に、1200万円の収入(所得)があったものとして、課税されてしまうということである。
6年間の学費等を必要経費として控除することは可能なので、私立ならば、差引0になるかも知れないが、国公立だと、6年間の学費は350万円ぐらいなので、差引800万円は所得となり、課税対象となってしまう。
さらに、卒後10年目の医師ともなれば、年収が1000万円を超えていることも多いので、税率は最高水準(40%)が適用されることになる。
実際に収入があった訳でもないのに、300万円余りも税金を支払えと言われたら・・・、当人は驚き慌てふためくであろうが、こんなことは、最初から、分かっていたことであって、その時になって慌てるというのは、愚かでしかない。
奨学金などという目先の餌に惑わされるようでは、医師として、いささか心もとない限りである。