8月30日、北海道稚内市で2009年型インフルエンザH1N1に感染した40代の女性が死亡した。
9月9日には、大阪府四條畷市で、同じく2009年型インフルエンザH1N1に感染した40代の男性が死亡した。
どちらも虚血性心疾患による死亡とされている。
北海道の女性も大阪の男性も、インフルエンザの症状は特に激しくなく、インフルエンザによる死亡としては、非典型的な症例である。
両名とも、医師からタミフルが処方されているので、タミフルの副作用による死亡の可能性も否定はできないが、北海道の女性は処方されたタミフルを服用していなかったとも伝えられている。服用しなかった理由は不明である。あるいは、本当は服用していたのかも知れない。本人が死亡しているので、詳細は不明である。
インフルエンザによって、死に至る経過としては、①インフルエンザウイルスが直接または間接に中枢神経系に作用して、急性脳症を起こし、意識不明となって死に至るパターン、②インフルエンザウイルスが直接または間接に呼吸器系、特に肺に作用して、急性呼吸不全(ARDS)を起こし、呼吸困難となって死に至るパターン、③インフルエンザウイルスとは別の病原菌、肺炎球菌やインフルエンザ菌を原因とする肺炎(続発性)を起こし、死に至るパターン、④インフルエンザによる高熱等が持続し、もともとの基礎疾患が急激に悪化して死に至るパターン、⑤インフルエンザによる高熱等により、脱水症状を起こしたり、食事を摂れなくて、栄養失調を起こしたりして、心停止を起こして、死に至るパターンなどが考えられる。
今回の北海道の女性と大阪の男性は、これらのパターンには該当せず、従来の医学的な知見に基づく限り、インフルエンザとの因果関係は否定であり、インフルエンザとは無関係の死亡と考えがちである。
しかし、人体にしろ、ウイルスにしろ、未だ明らかにされていないことは余りにも多い。いささか荒唐無稽に思えるかも知れないが、インフルエンザによる心疾患発生のリスクについても、謙虚に検討してみるべきではないかと思う。
そのためにも、インフルエンザに感染した人が死亡した場合には、理由の如何を問わず、診断した医師に届出を義務付け、インフルエンザと各種原因による死亡との関連を調べることも必要ではないかと思う。
こんなことを考えるのは、米国で、健康な人たちに天然痘ワクチンを接種したところ、心疾患の発生が増えて、同ワクチンの接種を中止したという事件があったからである。
天然痘ワクチン接種者から拡張型心筋症2例、米AHAも警戒声明
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/256966.html
「Update:Cardiac and Other Adverse Events Following Civilian Smallpox Vaccination -- United States, 2003」
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5227a4.htm
一般市民における天然痘ワクチン接種による心臓系およびその他の副作用-アメリカ,2003年
http://www.imic.or.jp/mmwr/backnum/5227.html#M5227-4VOLNO
このニュースを聞いた当初は、天然痘ワクチンがいくら生ワクチンだからといって、天然痘ワクチンの副作用として、心疾患が起こるはずがないと思ったのであるが、今では、あるかも知れないと思っている。
インフルエンザで心疾患、一見、馬鹿なと思うようなことではあるが、案外、毎年の季節性インフルエンザにおいても、起こっていることかも知れない。