光の国"ラヒューマ"

 

 

老人が仕切りに何かを訴えてくる。何を言っているのかは分からない。

 

「ラヒューマ」

 

まただ、同じ夢を見る。15歳になった頃だろうか、満月の夜決まって同じ夢を見るようになった。それは父の形見というかなんというか、父が大切にしていた大きな一枚の絵の中に入り込む夢だ。

古ぼけた屋敷が描かれた絵はキャンパスの大きさのせいかとても大きく見える。父はそれを大切にしていたように思っていたが、所々染みがある所から手入れはしていなかったのだろう。夢はいつも突然始まり、僕をその屋敷に誘った。中には老人が一人。老人の話を聞いて、自分が酷く興奮しているのは分かるがどうしてなのかは分からない。ここ何年も同じ夢を見るが、夢の中でそれが夢であると認識出来た事はない。それはいつも新鮮味を帯びていて、とても息苦しくなる。起きた時はドクドクと鼓動が激しく汗びっしょりで、また同じ夢だったと現実に戻ってくる。老人が何を言っていたのかは思い出せない。

ただ一つ、「ラヒューマ」という言葉だけが記憶に残っている。

 

父が家を出てからもうじき10年が経つ。僕は今日でもう18歳だ。

 

朝の空気を吸いに行こうと外へ出た。相変わらずこの村は廃れている。

 

不自然に盛り上がった大きな丘の上に僕の村"ペルドル"はある。ソレイルと呼ばれるお寺を中心に街があり、それを囲む様にして田畑が広がっている。上空から見るときっと角ばったドーナツの様に見えるのだろうかといつも想像してしまう。しかしそれはペルドルだけでなく周りにある他の7つの村も同じ様な創りになっている。

なぜかは分からないが、ペルドルを合わせ8つの村を総称してルミエルドナー"光を贈る者たち"と言われている。8つの村はまるで人が意図して創った様に均等な間隔を保ち一つの円になる様に並んでいる。その中心に"ポートフォレスト(扉の森)"と呼ばれる壮大な森がある。森の木々は一本一本が異常なまでに太く大きくその中心には村一つくらいなら覆えるのではないかと思わせるほどの大木がそびえている。村の人達は皆"開かずの森"と呼んでいる。扉なのに開かないとはどうにも矛盾している様に聞こえるが、とにかく絶対に足を踏み入れてはいけないと言うのが村の掟となっている。

 

ポートフォレストは神聖な森としてルミエルドナーから崇められその村々を豊かにしていると言われているが、それは全く信じられない。

村は枯れている。土が悪いのか、稲が全然育たないのだ。木々は細く、動物は死に絶え、人々は飢えている。村人は生きる気力を失ったように毎日をほとんど何もせず過ごしている。

 

 

村をぐるっと周ってから家に戻った。「エリック」誰かが自分を呼んでいる。それは普段ほとんど喋らない隣の家のおじさんだった。

「エリック、今日は18歳の誕生日だな!お前に話がある。」

「おじさん僕の誕生日を知ってたの?」僕は心底驚いた。

「あぁ、そんなことは村の誰もが知っている。お前の父さんから預かっていたものがある。こっちに来なさい。」