ある時は枕枕流流 -7ページ目

ある時は枕枕流流

ある時は自転車。ある時はテニス。ある時はバスケ。ある時はスノボ。ある時はビリヤード。ある時はダーツ。ある時はBBQ。ある時はMac。ある時はiPhone。ある時は映画。ある時は読書。ある時は音楽。ある時は歴史。ある時は恐竜。ある時は酒。ある時はパチンコ。ある時は…。

深夜0時

クライアントの都合で
急に早まった納期に
夜通しの作業を覚悟して
少し仮眠をとっていた

するとケータイが鳴って
古い友人から
Facebookにグリーティングカード

そっか、俺誕生日か

34回目で初めて
自分の誕生日を忘れてた

歳取ると忘れるんだね、本当に

今年は祝ってくれる彼女もいないし
特別感が全くない

来年までには祝ってくれる人作ろ

お礼のコメント返してもう一度寝た


当日は前々から誘われてたBBQ

結局作業が朝までかかり
寝坊して昼過ぎに慌てて向かうと
着くなり
「誕生日おめでとう!」

周りの人の方が覚えててくれる

ありがたいね


しかし、寝不足で体調最悪

少しアルコール入っただけで
身体が重い

申し訳ないと思いながらも
早々に上がらせてもらい
帰って速攻で眠る


起きて時計を見ると
まだ19時

2時間程眠って
すっかり体調万全

暇だ


ケータイ弄りながら
ボソボソと飯食ってたら
飲みのお誘い

一時間後集合の約束をして
30分後に「着いた!おせーよ!」

しょーがねーじゃん!
暇だったんだよ!

またもや会うなり
「誕生日おめでとう」

すげーな

俺は友達の誕生日とか
全く覚えてないし
SNSとかのリマインダーで
通知されても
リアクションしたことない

そもそも家族や彼女以外の誕生日を
祝おうっていう発想が無い

少し反省しながら
ダーツしにスポーツBARへ

出たー‼
店内に突然ハッピーバースデーの
曲が流れて
ローソクの点ったパンケーキが!!

細かく砕いたクルミの上に
たっぷり掛けられた
シナモンとハチミツが
メルヘンチックな芳香を放っている

熱い上に載せて食うらしく
傍には冷たいアイスが添えられている

他に客居なかったけど
良い歳したオッサンとしては
猛烈に照れ臭い

だが人様の好意を無駄にはできん‼
開き直って
「バースデーソング歌えっ‼」
とリクエストして
カメラ向けられながら
ローソク吹き消す‼

photo:01



なぜか俺の宝箱から逆に
マイダーツだフライトだチップだと
いろいろ持ってかれた

貴様の誕生日が楽しみだ

何を奪ってくれよう
















iPhoneからの投稿
夕暮れ時の人妻
    ~T子の場合~




そんなつもりは無かった…

後ろに立つ彼に気付くまでは…






元々その寝室は
夫婦だけのものである筈だった

いつの頃からかT子はその部屋で
Iと二人だけの甘い時間を
過ごすようになっていた

夫の不在の間に…


Iはその部屋で遠慮する素振りも無く
平然とT子と寝るが彼女も別段
その事を不快に思った事はない


都心にほど近い今はあまり
見かけなくなったタイプの素朴な
コンクリート造りのマンション

南西に向かって開いた
ベランダの窓から射す
夕方の長い日を顔に感じて
T子は目を覚ました

先刻の余韻の残る体を
やっとの思いで起こす

それほど眠ったわけではない

疲れが完全に取れる筈もなかった

隣ではさっきまで彼女の体を
散々に翻弄し続けたIが
平和そうな寝息をたてている

頭まで被っているタオルケットを
少しだけずらして
そこに覗いた彼の顔を睨んでみたが
自然と微笑みが浮かんでしまう

T子は彼を起こさぬよう
そっと布団を出てキッチンへ行き
しばらくの間ぼんやりと立っていた

夕食までは少し時間もあるし
Iは起きるといつも決まって
お腹を空かせた

そろそろ目を覚ますだろう

今のうちに何か軽く
作っておいてもいい

冷蔵庫を開けて
ゆっくりとマーガリンを取り出し
トースターの上に置いたカゴから
食パンの袋をつまみ上げた







マンションのどこかの一室で
女が声を上げ始めた

時に甲高く
時に太く喉を鳴らす様な女の声

生活感を隠せないその声は
おそらくマンション中に
響き渡っているだろう

さっきまで自分もあんな声を
出していたのだろうか

そう考えるとT子は恥ずかしさで
体が熱くなった

T子が住むマンションは
都内の出版社に勤める夫と
二人で決めたもので
普段はそれほど
音に気を遣う必要は無い

それでも高ぶった女の声は
筒抜けになってしまう

昨日もT子が買い物から帰宅した時
玄関の前で出会したお隣の主婦は
含みのある笑みを浮かべながら
声音を潜めるでもなく話しかけてきた

『今日も凄かったみたいね』

『すみません』

もちろん咎めた訳ではないと
分かっていた

『いいのよう
 お互い様なんだから
 …で、どんなだったの?
 さすがにあんな声だもの
 よっぽどだったんでしょ?』

たまに外で顔を合わせると
女達は互いのその話で持ち切りだった

どこにでも見られる普通の光景



当分止みそうにない隣人の声を
聞くでもなく聞きながら
バターナイフでマーガリンを掬った

その瞬間だった

背後から伸びてきたIの手が
椅子に腰掛けていた彼女の尻に触れた

気配に全く気付かなかったT子は
寝室で眠っているものと
思い込んでいた彼に
出し抜けに触れられて
驚いて振り返る

彼はずいぶん前から
そこに居たに違いない

今起きたにしては
見下ろした彼の笑顔に
起き抜けの気怠さが無い

T子も笑顔を返そうしたその時
彼の目の奥の光に気付いた

T子が食事の支度をする姿を
背後から眺めているうちに
Iはさっきまであれほど
激しく彼女を乱れさせて
ようやく鎮めた欲求を
早くも再び昂らせていた

言わなくても彼の考えている事は
T子へすぐに伝わる

『だめよ』

すぐに夫が帰宅する時刻ではないが
何かと慌ただしくなるこの時間帯
彼の求めに応じる気分ではなかった

だが彼を刺激しない様に努めた
穏やかな口調のT子の言葉は
甘えた声になった

彼の手は譲らなかった

裂かんばかりに
彼女の服を引っ張るIの
思いがけず強い手の力に
T子は彼を思いとどまらせるのは
不可能だと悟る

(やらせるしかないわね)

最初からT子も分かっていた

そういう時のIに彼女は抗えない

抗うつもりも無いのかもしれない

大げさに溜め息をついてみせると
T子はバターナイフを置いた

彼の体を引き寄せながら頭の片隅で
夕食が遅くなってしまうなと思った


(Iったら今度はいったい
 どんな事ををさせろと
 言い出すのかしら)

覚悟を決めた途端
甘い期待が湧き上がってくる

じっと彼を見つめる

童顔でそのスベスベの頬には
うっすらと透明な産毛が光っている

愛おしさが込み上げてきて
自分も彼に見つめられようと
T子はIの顔を両手で挟む


しかし彼女を通り越して
テーブルの上に向かう彼の視線が
何に注がれているのかに気付いた時
T子は激しく戸惑った


最近のIはT子が許すのをいい事に
無茶な要求を平気でぶつけてくる

彼女もまたそんな彼の要求を拒まない

拒めばIは不機嫌な声を出したし
何より彼が望む事には
全て応えたかった

Iが無邪気に喜ぶ顔を思うと
嫌とは言えないT子だが
実は彼女自身も心の奥底で
彼のそういう要求を
待ち望んでいることに気付いていた

Iの行為は急激に
エスカレートしていった


今、彼はマーガリンを見ている

さすがにT子も慌てた

『そ…それは…ちょっとまだ…』

Iは構わずテーブルに近づいていく

T子の脳裏には
マーガリンでヌラヌラ光る
彼の手に触れられて
顔を歪めて声を上げている自分の姿が
鮮明に映し出されていた

自然と体の奥が沸き立つ

『だめよ…ね…お願いだから…I…
 他の事なら何してもいいから
 …だから…ね…ね…』

無駄である事は分かっていた

Iも分かっているようだった
T子はこの程度の事は許してしまう
彼が押せば押し切れると

『ほらあなた耳好きだったわよね
 今日は気の済むまで
 好きなだけ…ね…ほら…』

なんとかIの気を逸らそうと
T子は真っ白な柔肌の中で際立つ
ほんのり色付いた形のいい耳を
彼の口元に押し付ける

だがいつもは喜んで咥える耳に
今日は全く興味を見せない

縋り付く彼女の手を振りほどくと
Iはギラギラした目で
マーガリンの容器に手を伸ばした

Iはマーガリンの載った
バターナイフを掴む

T子を振り返った彼の
熱のこもった目を見た時
彼女はもう観念していた

『ああっ』

T子は熱い溜め息を漏らした

Iと付き合ううちに
いつしか彼女は理解していた

次々に彼女の想像を超えて
傍若無人に振る舞うIに
その都度無駄な抵抗を試みるより
いっそ彼の欲望の赴くまま
流れに身を任せる方が良いのだと

時に彼女の体の負担は
大変なものだったが
次第に応えられるようになっていた

彼を満足させた後の
何とも言えない体の痺れも
T子にとってある種の快感だった

(塗らせるのもいいかな…)

T子は先走る自分の想像に目眩がした

体中マーガリン塗れになりながら
Iは我を忘れて夢中になる

彼はきっと上手に塗ってくれるだろう

けれど、そうなれば彼女も
我慢できる気がしなかった

きっと声を上げてしまう

驚きと戸惑いと懇願とそして
歓喜とが複雑に入り交じった声を


T子は時々不思議に思う


彼女は夫との時には夫に全てを委ね
決して自分から声を上げたりしない

それほど機会は多くないのだ

夫はたまの機会には
全てを任せて欲しそうだったし
T子もまたそれを望んだ

そんな彼女の事を夫は
穏やかな人だと言う

かつてはT子自身もそう思っていた

だとすれば一体どこから来るのか

Iと二人だけの時に
彼女の内に止めどなく湧き上がる
峻烈とも言えるほどの情熱は



Iに強引に押し切られ
抵抗する気力の失せてしまったT子は
彼の物言わず訴える眼差しに射抜かれ
じわじわと期待に支配されゆく


だがT子の頭の片隅で現実的な思考が
辛うじて最後の抵抗をする

それは身勝手だが甘いひらめきだった

(どうせ着ていても汚されてしまう
 ならば先に裸にさせたい)

二人きりの行為の最中
T子は出来るだけ裸にさせたかった

彼の激しい行為は
しばしば彼女のお気に入りの服を
台無しにしたがIにはそんな事を
気にして欲しくもなかった

それにすぐに風呂に入れる

T子は彼と風呂に入るのも好きだった

彼の美しい肌を流しながら

湯気の立つ温かな湯に浸かりながら

その時にはまだ柔らかく可愛い息子を
弄ったり時に口に含んだりしていると
二人の時間がいっそう
濃密になるような気がした

(Iはすぐに
 終わらせてくれるかしら)

T子は夫の帰る時間が気になった

疲れて仕事から帰った夫は
石鹸の香りを漂わせて出迎える彼女を
どう思うだろうか

一瞬後ろめたさが脳裏をかすめる

だが即座にそれを振り払う

夫が責める筈は無いと

むしろ疲れて帰宅した後の
気の進まない夜の務めが軽くなったと
ほっとした顔をするかもしれない



いつだったかT子は
帰宅して着替える夫に
入れて欲しいと頼んだ事があった

少ない口数から
夫が疲れているのは分かったが
彼女も色々と溜まっていた事もあって
その夜だけはどうしても
夫に入れて欲しかった

『すまないけど今日は疲れてるんだ
 自分でしてくれないか』

夫の答えは素っ気なかった

だが夫は優しい

休日は必ず入れてくれる

夫は彼女が喜ぶと知ってから
入れてから長いこと中で遊んでくれる

男にしか埋められないものもある

今嫌がる時に無理を言って
入れるのが苦痛になられては
困ると思った

疲れの滲んだ背中を見ながら
無理強いはすまいと決めた

それ以来自分でする様になった


Iは私でも嬉々として
入ってきてくれる



既に椅子の上に立ち
テーブルにがっちりと押し付けて
今まさに塗ろうとしているIを
慌てて押し戻すとT子は
彼のTシャツを脱がしに掛かる

本来は常に主導権を握っていたい

だが始まってしまえばいつでも
Iのペースに翻弄されてしまう

しかし、ここは譲らなかった

(少しの間だけ大人しくして!)

脱いでしまえば後はむしろ
とことん好きにできると理解したのか
Iもすんなり彼女に従った

Tシャツを剥ぎ取ったT子は
今度は椅子に向かって手を突かせ
ゆっくりとパンツを降ろす

が、どこに引っ掛かるのか
上手く脱がせられない

気が付かないうちに
息子が大きくなっていた

T子はその大きさに思わず息を飲んだ

手の止まったT子を待ちきれず
自分でパンツを脱いだIは
瞳を潤ませる彼女を余所に
バターナイフを手に再び
椅子の上に仁王立ちになった

そしてマーガリンをたっぷりと掬い
今度もまた力強く
テーブルに押し付けると
その真っ白で柔らかな表面に
無造作に塗り付けた

『っっ!?
 ま、待ってっ!
 も、もっと優しくしてーっ!』

我に返ったT子は
グリグリと塗込むIの手を止めようと
必死に叫ぶ

が、既に目を爛々と輝かせ
額に汗を浮かべながら
行為に没頭していく彼には届かない

隅々まで優しく
丁寧に塗って欲しかった

一心不乱に塗るIの手元に
T子は反射的に手を伸ばしたりしたが
その手も無造作に追い払われてしまう

T子は手を強く握りしめ
口元で噛みしめる様にして堪えた

だが容赦のない彼の動きに
声が出るのを押さえられない

『お…お願いだから…
 そ…ん…そんなに強くしたら
 め、捲れちゃうーっ!!!!!!』

T子の悲痛な叫びをかき消す様に
Iは恍惚の表情で奇声を上げ続ける

『…そっと…あっ…
 やっ!引っ張ったら!!!!
 穴がっ!穴がっ!穴がーっ!!!!』

めまぐるしく動きを変える
Iの乱暴な動きに衝動を
抑えきれなくなったT子はついに
我慢しきれず彼の腕にしがみついた

言葉とも言えない言葉を叫びながら…







どのくらい経ったのだろう

T子は責め立てるような彼の動きが
少し緩くなった事に気が付いた

まだ終わってはいなかったが
彼はどうやら飽き始めているようだ

『…潮時ね……』

耳を舐めているIの髪の先に
マーガリンが付いているのに気付く

それを摘もうと手を伸ばしたが
T子の手も既にヌルヌルで
辛うじて乾いた小指で彼の頭に触れる

汗に濡れて奥の方が熱かった

茶色く透き通った彼の柔らかい髪を
優しく指で梳かしながら
T子はIの耳元でささやく

『もういいよ…ありがとう…
 …一緒にお風呂…入ろ…』

手を引いて促すとIは素直に従った




Iを風呂場に待たせて
T子は脱衣場で裸になった自分を
鏡に映すと顔を近づける

T子はまだ十分に若かったが
Iとのこんな関係がそう長くは
続かない事も分かっていた

いつかIは自分から離れていく

T子はそれに寂しさも感じていたが
その思いがあればこそ今のこの時が
いっそう濃密になるのだと
自分を納得させていた

風呂場では焦れたIが
曇りガラスを叩いて催促している

T子の髪は乱れて毛先が遊んでいた

知らずにIに汚されたかもしれない

洗ってしまおうと決め
風呂場の戸を開けた







横から手を伸ばしてくる
Iに気を取られて
手間取ってしまった

彼の手を追い払いながら
ようやく髪を流し終わり
蛇口を締めた瞬間
ガチャリと鍵の開く音が聞こえた

夫の帰宅

いつもよりずっと早い

(ごめんなさい…あなた…)

T子は後ろめたさから
心の中で呟いた

帰宅する夫をいつも通り
夕食で迎えてあげたかった

その気持ちがあったからこそ
やりたがるIを一度は拒んだのだ

その上今日のIは思いのほか長かった

風呂に向かう時には既に
窓の外が暗い事に気付いて
T子は半ば諦めながらも急いだ


だが夫が早い帰宅にも拘らず
連絡をしなかったことで
むしろ彼女は開き直った

夫は全て承知の上で
そうしたに違いなかった

それにIを止める事を諦めた時
こうなってしまう事もまた
心のどこかで覚悟していたのだ

キッチンはそのままだった

そこで何が行われていたのか
夫は間違いなく気付く

言い訳は不要だった


一度キッチンまで行った夫の足音が
二人の所在に気付いて近づいてくる

ガラス戸の向こうが動き
夫が勢いよく開けて怒鳴る様に言った

『ただいまーっ!!!!
 おーっ!イ◯ラ!
 良い子だな!ママのお手伝い
 してくれたのか?
 今日は早かったからパパが
 入れてやろうと思ってたけど
 ちょっと遅かったかァ』

夫はそう言うと台所で見つけた
不器用に塗られたマーガリンで
ぼろぼろに穴の空いた食パンを
嬉しそうに齧った