鉄筋コンクリート構造 | 一級建築士試験
テーマ:
①梁
→梁のせいを梁のスパンの1/10とする。

→梁の引張鉄筋量(最小引張鉄筋比)は0.004d以上とする。0.4%以上。

→梁のせん断補強筋量(あばら筋比Pw)は0.2%以上とする。

→柱梁接合部内のせん断補強筋(帯筋)は
・直径9mm以上の丸鋼またはD10以上の異形鉄筋を用いる。
・せん断補強筋比は0.2%以上とする。
・間隔は150mm以下とし、隣接する柱の帯筋間隔の1.5倍以下とする。

※柱梁接合部の帯筋は柱の帯筋と異なりせん断強度を上昇させる効果はほとんどなくコンクリートのみに依存した評価となっている。

→梁の終局せん断強度は、引張り鉄筋比、コンクリートの基準強度、梁のシアスパン、梁の有効せい、せん断補強筋比、補強筋の材料強度、梁の幅、応力中心間距離によって得られる。
せん断補強筋比が大きくなると(あばら筋が増える)せん断耐力は大きくなる。

※剪断スパン比(M/Qd)=シアスパン

→梁の地震時応力は材端部で大きくなるので、貫通孔を設ける場合、材端より材中央に設けるほうが梁の靭性の低下は少ない。

※孔径は梁せいの1/3以下としせいの中央が補強筋を入れやすいので望ましい。

→曲げ降伏する梁は両端が曲げ降伏する場合におけるせん断力に対する梁のせん断強度の比が大きいほうが、せん断破壊が生じにくいので靭性が高い。

※せん断余裕率(せん断耐力/曲げ強度)

→曲げに対する算定において、梁引張鉄筋比Ptがつり合い鉄筋比Ptb以下の時はつねに引張鉄筋が圧縮側コンクリートより先に許容応力度に達する。

※この場合梁が負担できる許容曲げモーメントは引張鉄筋の断面積に比例する。

M=at×ft×j
許容曲げモーメント=引張鉄筋断面積×鉄筋の許容引張応力度×応力中心距離

柱及び梁の許容曲げモーメントの算出においてコンクリートのほか、主筋も圧縮力を負担するものとする。

※長方形梁の許容曲げモーメントは圧縮縁が許容圧縮応力度に達した時、あるいは引張鉄筋が許容引張応力度に達した時の小さい値とする。

柱及び梁の許容せん断力の算出において主筋はせん断力を負担しないものとする。

→圧縮側の鉄筋量を増やすとクリープによるたわみを小さくできる。また短期に対する靭性確保になる。

→腰壁と柱の間に完全スリットを設けた場合でも梁剛性の算定では腰壁を考慮する。

→ラーメン構造の大梁断面算定には地震荷重時の応力として柱面位置での曲げモーメントを用いることができる。

→せいの大きな梁のあばら筋で断面内に打次を設ける場合、上下に分割し打継面よりも上でそれぞれ定着をとる。

→副あばら筋においてT形、L形の梁部材でスラブと同時に打ち込む場合一端を90°フックとしてよい。


②耐力壁 
厚さは120mm以上、かつ内法高さの1/30以上とする。

→耐力壁のせん断補強筋比が一定以上あればせん断ひび割れが壁面の全面に分散発生し応力集中を防止できる。

※壁筋は9mm以上とする。
※間隔は300mm以下とし千鳥では450mm以下とする。
※開口補強は12mm以上、壁筋と同径以上とする。ダブル配筋の場合は壁筋の内側配置とする。

→耐力壁のせん断補強筋比は直行する各方向にそれぞれ0.25%以上とする。

→耐力壁の梁型拘束域のせん断補強比は0.2%以上とする。

→開口のある耐力壁とみなせる条件は開口周比r0の値が0.4以下の場合である。
r0=h0・l0/h・l

→せん断剛性の低減率
γ1=1-1.25γ0
→せん断耐力の低減率
γ2=1-max{γ0、l0/l、h0/h}

→耐力壁の終局せん断強度は、等価引張鉄筋比、曲げ補強筋の断面積、耐力壁の厚さ、コンクリートの基準強度、耐力壁の全長、せん断補強筋比、補強筋の材料強度などによって得られる。

→耐力壁周囲の柱及び梁は耐力壁を拘束する効果があるので一般に周囲に柱及び梁を設けたほうが靭性が増大する。

→鉄筋コンクリート造で壁の多いものは水平剛性、水平耐力を大きくできるが脆性的な壁のせん断破壊を生じやすい。

→層間変位の算定時において、耐力壁脚部における地盤の鉛直方向の変形が大きい場合は基礎の浮き上がりが生じ変位が大きくなるため脚部に鉛直バネを設けて変位の検討を行うことは適切。

→連層耐力壁は大きな転倒モーメントがしょうじるため剛性の高い梁で外周の柱とつなぐことは基礎の浮き上がりを防止し負担できる水平力を高めることができる。

→曲げ降伏する耐力壁の靭性を高めるため断面内の圧縮部分に当たる側柱のせん断補強筋を増やす。

③柱
→小径は主要支点間距離の比で求める。普通コンクリートでは1/15以上、軽量コンクリートでは1/10以上とする。

※7mスパンなら470mm角でいける。

→大きな軸圧縮力を受ける柱は靭性が低下する。ある程度以上増加すると今度は減少する。※曲げ、せん断耐力は増加する

→柱の内法長さが短いほどせん断耐力は大きくなるが靭性が低下する。

→柱の靭性を高めるには、柱の軸圧縮耐力に対する軸圧縮力の比が小さくなるように設計する。

→柱の剛性評価では鉄筋の断面をそのヤング係数比のn倍のコンクリートに置き換えた等価置換断面積Ae、等価置換断面二次モーメントIeによる。そのため鉄筋断面を大きくすると曲げ剛性も大きくなる

柱は、主筋を増すと曲げ耐力は増大するが、靭性が低下しせん断、割裂破壊の危険性が増加する。靭性を高めるには帯筋を密に配筋することが有効である。


→柱の帯筋はせん断補強の他に、内部コンクリートの拘束、主筋の座屈防止に役立つ。帯筋端部で十分な定着強度の確保が必要となる。

※コンクリートは周囲から拘束を受けると、強度・靭性ともに増大する。


→柱の主筋の仕様規定は本数を4本以上とし、断面積の和がコンクリ断面積の0.8%以上とする。

→柱の帯筋の仕様規定は径を6mm以上としその間隔は150mmかつ最も細い主筋の径の15倍以下とする。また帯筋比は0.2%以上とする。

※柱の小径の二倍以内に入る部分は100mm以下の間隔とする。

→柱の付着割裂破壊を防止するには断面の隅角部に太径の鉄筋を用いない配筋とした。

→柱に定着する梁の引張り鉄筋の定着長さにおいて同一径で強度の高い鉄筋に変更し場合は定着長さを長くする。

※強度が大きいほど鉄筋に大きな引き抜き力が生じるため。

→独立柱のせん断補強筋は閉鎖形とし、端部は135°以上に曲げて定着するか相互に溶接する。

※圧縮が増大する柱に副帯筋を使用するなど靭性を確保する。

→柱と一体的に挙動するそで壁についてはそで壁の厚さを150mm以上、壁筋を複配筋、せん断補強筋比を0.4%以上としたものは地震に対して有効となる。

→軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける柱においてはコンクリートの圧縮、圧縮鉄筋、引張鉄筋が許容応力度に到達した曲げモーメントのうち最小の値を許容曲げモーメントとする。

→地震時に曲げモーメントが増大するおそれのある柱では短期軸方向力を柱の全断面積で除した値はコンクリートの設計基準強度の1/3以下とすることが望ましい。

→柱梁接合部に折り曲げ定着する下端筋は上向きに折り曲げ定着し上下主筋の水平長さは柱せいの0.75倍以上とする。

→剛節架構の柱梁接合部内に通し筋とする大梁において地震時に曲げヒンジを想定する梁部材の主筋強度が高い場合は定着性能を確保するため柱せいが大きくなる。

→柱の長期許容せん断力の計算においては帯筋による効果は加算しない

→柱に対して梁が偏心して取り付く場合、偏心によるねじりモーメントを考慮して柱梁接合部の設計を行った。

→帯筋は閉鎖形とし末端は135°フック余長6d以上とする。機械式継手やフレア溶接、アップセット溶接、フラッシュ溶接とする閉鎖形でもよい。※あばら筋も同じ

※せん断補強筋の溶接継手としては、アプセットバやフラッシュ等の突合せ抵抗溶接継手が開発されており、溶接閉鎖型せん断補強筋と呼ばれ、阪神大震災後多くの現場で採用されています。せん断補強筋としての性能が高く、寸法精度も高いため先組鉄筋の精度向上になる。

→標準フックは90°が余長8d、135°が6d、180°が4d以上とする。

→副帯筋は135°フック、180°フックとする。余長部が帯筋で囲まれたコンクリートに挿入する場合90°フックとすることができる。


④床版
厚さは80mm以上、かつ短辺方向の有効長さの1/40以上とする。

※80mmで短辺3200までいける。
※180mmで短辺7200までいける。

※振動、変形による使用上の支障が起こらないことを確かめる場合は(厚さ/短辺方向長さ)を1/30以上とする。

→はね出しの場合の厚さは短辺方向の有効長さの1/10以上とする。

※振動、変形による使用上の支障が起こらないことを確かめる場合は(厚さ/短辺方向長さ)を1/10以上とする。

→床の鉛直方向の弾性たわみを小さくすることは、床振動による障害を抑制する。床スラブのたわみや割れ、振動は床スラブの剛性不足が多い。

→スラブ厚さの3乗に反比例してたわみは小さくなる。

→引張鉄筋はD10以上で短辺方向200mm以下、長辺方向300mm以下、かつスラブ厚さの三倍以下。

※軽量コンクリートの場合は長辺だけ250mmに変更。

→床スラブは常時の自重・積載荷重の鉛直荷重を支えるとともに、地震時に発生する水平力を伝達し架構の一体性を確保するので面内剛性と耐力の検討が必要。

⑤鉄筋
→鉄筋の重ね継手は、部材応力、鉄筋存在応力度の小さい箇所に設ける。同一断面で全引張鉄筋の継手(全数継手)としないこと。

→鉄筋の定着長さは、鉄筋の種類、コンクリート強度、部位、フックの有無などで異なる。

→D35以上には重ね継手を用いない。


※コンクリート24N/mm2(SD345)35d又は25dフック付き
※コンクリート36N/mm2(SD345)30d又は20dフック付き


→必要定着長さは鉄筋の短期許容応力度に比例する。

→主筋のかぶり厚さが鉄筋径に対して小さいと、主筋に大きな応力が作用した場合に主筋に沿って付着割裂ひび割れが生じる。

※かぶり厚さに対して付着の検定を行い
その数値以上とする。

※200mm及び鉄筋径の20倍を下回る継手長さとしてはならない。

→鉄筋の継手については、継手位置の存在応力によらず母材の強度を伝達できる継手とした。

→90度折り曲げた鉄筋部分も横補強筋で拘束された領域に定着する場合定着性能は が向上する。(係数1.0とできる。通常1.25)

→必要定着長さの修正係数として直線定着かフックにより定着長さが変わってくるが
折り曲げ角度を考慮はしていない。

※90度も135度もフックも一緒となる。
※直線定着1.25、標準フック0.7



⑥構造設計
→耐震性能は強度と靭性により評価される。

→水平力は床スラブを通じて柱や壁に伝わるが細長い形状で耐力壁の間隔が長い時は
中央部に大きな変位が起こり中央の柱の負担せん断力が増し、端にある耐力壁の変位が小さく負担が減ることになる。

※通常はスラブの水平変位は柱や耐力壁に比べて小さいため無視している。いわゆる剛床仮定。つまり正方形だったり耐力壁の間隔が適切であれば問題ない。

→一般的なRC造の事務所の地震力計算用の固定荷重と積載荷重の和は1㎡あたり10~~15kN程度である。

→RC造において保有水平耐力を大きくするために耐力壁を多く配置すると、必要保有水平耐力も大きくなる場合がある。

→許容応力度計算においてコンクリのひび割れに伴う部材の剛性低下を考慮する。

→高さ20mを超える建築物にて外壁から2mを超えて突出する屋外階段はその部分の鉛直震度を1.0*Zとする。

※片持ち階段、バルコニーは2m超えれば問答無用で鉛直震度が1.0*Zとなる。

→耐力壁等の保有水平耐力は境界梁や直行梁の影響が非常に大きく無視した場合は耐力面では安全側だが靭性を評価する際に崩壊メカニズムが正しく評価できない。

→連層耐力壁が全体曲げ降伏する場合、曲げ降伏する耐力壁が脆性破壊せずに靭性能を確保できるようにメカニズム時に負担しているせん断力を割増す。

→ルート1では耐力壁の設計用せん断力は一次設計用地震力により生じるせん断力の2倍以上とする。

⑦その他
・壁式鉄筋コンクリート造
→耐震強度は大きいが、優れた靭性は期待できない。

→層間変形角の確認及び保有水平耐力計算により安全性が確かめられた場合、階高は規定値の3.5mを超えて計画できる。壁量の仕様規定も除外する。

※層間変形角1/2000以内

→壁式鉄筋コンクリート造の耐力壁の縦筋、横筋の鉄筋比であるせん断補強筋比は平屋、二階建ての最上階で0.15%。二階建ての一階、三~~五階建ての最上階、最上階から数えて二つ目の階で0.2%。その他は0.25%とする。

→耐力壁に使用するコンクリートの設計基準強度が18N/mm2を超える場合壁量の数値から50mm/㎡を減じた数値を限度に低減できる。

→プレキャストコンクリート柱・梁部材は、国土交通大臣が定めた構造方法による場合、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを3cm未満とすることができる。



⑧耐震診断
→第一次診断ではISOの値が0.8以上となった建築物は安全とされる。

→第一次診断において、建築年数のほか、建築物の変形やひび割れ、火災経験を考慮し経年指標Tを決定した。

→第一次診断において、一階がピロティだったので形状指標SDを低減した。

→構造耐力上主要な部分が昭和56年6月1日における建築基準法に適合していたので耐震診断の必要性は低いと判断した。

※適合しない場合は改修を行う。法第86条の7第1項により既存不適格建築物こ増改築等について規制の緩和を受ける。

→炭素繊維巻き付け補強は炭素繊維シートをエポキシ樹脂を用いて柱に巻き付けせん断耐力を向上させ、変形能力を高める。

⑨ルート2
高さ31mのRC造の場合ルート2以上の計算となる。偏心率の規定値0.15を超えた場合はルート3となる。

※剛性率0.6、塔状比は4.0以下とし超えた場合はルート3となる。



⑩保有水平耐力(ルート3)
→許容応力度計算(一次設計)、層間変形角の計算をする場合は標準せん断力係数C0は0.2以上として地震力を求める。

※水平耐力を確認するときは標準せん断力係数を1.0以上とするので二段階の検討を行う。

→構造特性係数DSを算定する際に必要な梁部材をFAとするためには設計基準強度FCに対する平均せん断応力度の割合(τu/FC)は0.15以下とする。

→壁式構造以外耐力壁種別をWAとするためには設計基準強度FCに対する平均せん断応力度の割合(τu/FC)は0.20以下とする。

壁式構造耐力壁種別をWAとするためには設計基準強度FCに対する平均せん断応力度の割合(τu/FC)は0.10以下とする。

※せん断破壊や急激な耐力低下のおそれがある場合はWDとする。

→保有水平耐力計算において炭素鋼の構造用鋼材、丸鋼及び異形鉄筋のうち日本工業規格(JIS)に適合するものについては材料強度を基準強度の1.1倍以下とできる。

→保有水平耐力の計算を行う場合における部材は次の式によりせん断破壊を生じないことを確かめる。

Qw=1.25QM
耐力壁のせん断耐力=部材の地震力によるせん断力の1.25倍

→崩壊メカニズムが全体崩壊形となる場合、建物全体が不安定になるのに十分な塑性ヒンジが生じているため、この時の応力で部材種別判定、構造特性係数の判定を行う。

→脆性破壊する柱を有する建築物は構造特性係数、保有水平耐力を原則、部材が破壊する変形レベルを想定して設計する。

※崩壊メカニズムが部分破壊、局部破壊の場合

→塔状比が4を超える場合は標準せん断力係数を0.3以上として計算、または保有水平耐力に相当するせん断力のいずれかが作用する基礎杭の耐力、極限支持力の数値をそれぞれ超えないことを確かめる。

→付着割裂破壊する柱の部材種別はFD材として構造特性係数Dsを算定する。