防災1 | 一級建築士試験
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①火災
・建物火災による死者は9割が住宅(共同、併用住宅含む)である。

・異種用途区画
用途が異なる部分に設ける区画は発生した火災をそこに留めるために防火区画する。
・当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として大臣が定める温度で、次の①又は②のうち高い方の温度

①加熱面以外の面のうち最も温度が高い部分の温度が200℃

②加熱面以外の面の全体について平均した場合の温度が160℃

・等価可燃物量
可燃物発熱量が等価な木材の重量に換算したもの。

・材料の燃焼速度は水平面上よりも垂直面上のが早い。

・木造家屋の場合、最高温度は規模とはあまり関係ない。

初期火災
最初は酸素がいっぱいあるので煙層の厚さや降下する速度は火源の面積に支配される。これを「燃料支配の火災」という。

→火災初期段階における煙層の降下速さは火源の広がり面積に大きく支配される。

火源面積は出火後の経過時間の2乗に比例するので、煙層は加速度的に厚くなり、避難の妨げになる。 

盛期火災
燃焼の継続は開口部から流入する空気量に支配される。これを「換気支配の火災」という。

→室内の可燃物量が同じ場合、開口部が大きいほど可燃物が早く燃え尽きるので火盛り期の火災継続時間は短くなる。

※火災初期、火災最盛期ともに火源の発熱量の影響は小さい。

・フラッシュオーバー
壁、天井等の内装材を不燃化することでフラッシュオーバーまでの時間を長くすることができる。

→火災の初期段階(初期火災)には、可燃物の上に火炎が生じ、火源から発生した煙は燃焼熱によって上昇気流(火災プルームと呼ぶ)となり、周囲の空気を巻き込んで体積を増していく。初期火災では、一般に、室内の空気に乱れが少ないため、煙が層をなして天井から蓄積し、室内に煙と空気の2層が形成されることが多い。


・火災継続時間に用いる
防火区域内の単位床面積あたりの等価可燃物量を火災荷重という。

・上階への延焼
縦長窓→火災が噴出する力が強くなり外壁から離れやすい。

横長窓→火災が外壁に沿って上昇するので延焼の危険が高い。

上下階の防火区画を構成するにはスパンドレルの高さを900mm以上確保する。とれない場合は500mm以上のバルコニーや庇を設ける。

・防火シャッター
吹抜けに面する通路では手摺の吹抜け側に設ける。

→三層以上にわたる吹抜けには防火防煙シャッターを設ける。

・居室の天井を低くするのは煙がたまりやすいので避難上好ましくない。

誘導灯(20分と60分)
非常時に点灯させるため他の回路から分岐せず幹線からの専用回路とする。誘導灯の電気回路には点滅機を設けない。
(無人である場合や用途によっては自動火災報知器と連動して点灯させれば点滅、減光、消灯が可能)
停電時には20分以上継続点灯できるものとする。(どの用途でも20分)
大規模施設の場合には、避難に時間が掛かるため、60分以上の点灯を継続できる長時間型誘導灯が設置する。

避難口誘導灯
※明るさは、直線距離で30m離れたところから表示面のシンボル及び色彩が容易に識別出来るものでなければなりません。設置の高さについては、避難口の下面から1.5m以上の箇所に付けなければいけません。

※直接外部に通じる扉、階段に通じる扉など、避難口を指し示す誘導灯。屋内から直接地上に通じる出入口、直通階段の出入口、不特定が利用する100m2を超える居室の出入口、特定の人が使用する400m2を超える居室の出入口など、出入口に設置する誘導灯として規定されています。
種類と表記による有効距離の違いは下記の通りです。誘導灯には、避難口を示す表示と、避難方向とともに避難口を示す表示の二種類があります。方向表示が併記されている誘導灯は、有効距離が短く設定されています。C級の誘導灯は避難方向を示す避難口誘導灯がありません。

A級 避難方向を示すシンボルがないもの:60m
A級 避難方向を示すシンボルがあるもの:40m
B級 避難方向を示すシンボルがないもの:30m
B級 避難方向を示すシンボルがあるもの:20m
C級:15m

通路誘導灯→室内、廊下、階段にて避難方向を明示
※通路誘導灯の設置基準
通路にあっては曲がり角などに設置し、避難方向を明示します。
居室と廊下をつなぐ出入口や、廊下等に設けられた防火扉のくぐり戸などでは、避難口誘導灯の有効範囲と、通路誘導灯の有効範囲を合算して有効とすることが可能ですが、屋内から直接地上に通じる出入口、附室の出入口、直通階段の出入口など重要度の高い出入口では、避難口誘導灯の有効範囲内に通路誘導灯を設置する必要があり、有効範囲の合算をすることができません。

通路誘導灯における、種類と表記による有効距離の違いは下記の通りです。

A級:20m
B級:15m
B級:10m

※階段若しくは傾斜路に設ける場合、その中心線の照度が1ルクス以上必要です。床面に埋め込む場合は、器具の角に225グラムの鋼球を2mの高さから落下させ、ひび、割れ等を生じない強度が求められます。同様に9,800Nの静加重を与えた場合も、機能上支障のある異常を生じてはならない。通路誘導灯には点滅機能や音声誘導機能は付けることは出来ません

・客席誘導灯
足元に常時わずかな照度を確保するため。避難のために使用する椅子と椅子の間の通路で、0.2ルクス以上を確保出来なければならないことになっています。

・その他
→キセノンラップによる点滅と音声誘導機能は基本的には任意設置ですが視力又は聴力が弱い方が出入りする防火対象物や百貨店、旅館、病院、地下街、その他不特定多数の物が出入りする防火対象物等の用途の対象物の最終避難口に設置するよう指定されています。自動火災報知設備との連動で起動しますが、避難階段入り口に設置されているものは、階段内の煙感知器の発報により、点滅及び音声機能が停止するものでなければなりません。さらに非常用放送設備(音声警報)と併設する場合は、音圧レベルは1m離れた位置で、70dbに調整されていることが必要です。館内の非常放送との干渉を避けるためです。

細い廊下であれば、誘導灯は左右どちらかの壁側に寄せて片面型器具を設置します。細い廊下の中央に誘導灯を付けても、フチしか見えないので矢印方向がわかりません。

点滅型誘導灯
百貨店やホテルなど不特定多数が出入りする建築物で、雑踏やサインなどによって誘導灯の視認性が悪くなる恐れがある場合や、病院などで視力や聴力が悪い人が出入りする建築物では、点滅付の誘導灯を検討します。各階の避難階段に設置する場合は、階段室内の煙感知器と連動させ、階段内が危険状態になっている場合は点滅を停止させるようにします。

誘導灯の免除
小規模の建築物で、居室の各部分から避難口が容易に見渡せ識別できるような場合は、誘導灯の設置を免除することができます。この場合、消防法の防火対象物における「無窓階」「地階」ではないことを前提条件とし、各部分から下記の距離以内であれば、誘導灯を免除できるとされています。
避難口誘導灯 避難階:歩行距離20m
避難口誘導灯 避難階以外:歩行距離10m
通路誘導灯 避難階:歩行距離40m
通路誘導灯 避難階以外:歩行距離30m


③避難経路の計画
→日常使用する動線を使って逃げようとするため出来るだけエレベーターロビーを通らず避難階段に到達できる方がよい。

→明るい方向や開けた方向へ向かうため避難階段や廊下は窓を開けて明るくしたほうが良い。


→外開きの扉は機械排気の場合、負圧で開きにくくなることがある。避難経絡となる場合は避難する方向に開く外開きとする。

・避難経路
光庭などボイド空間を取り囲む開放廊下を避難経路とする場合には煙の拡散を防ぐため下層部分からボイド空間へ給気を行う。

・避難階段
廊下からの出入り口幅は階段幅と同じかやや狭く計画することが望ましい。

→階段室への出入り口幅は流動係数を考慮し階段の有効幅よりも狭くする

→避難通路となる廊下に直接面するより前室を設けた方が良い

→特別避難階段の附室の出入り口はできるだけ離して配置する。

→特別避難階段の附室は機械排煙だけでなく自然排煙も認められている。


→避難経路の端部は避難階段などの安全域につながるようにする。

→屋外避難階段は開口から2m以上離す。

→階段が連続していると転倒者が出た場合、踊場を設けても最下部の避難者に影響がでる。

※附室の役割は避難者の一時保護と階段室への煙侵入防止である。そのため天井は高い方がよい。



・水平避難方式
一つの階を複数のゾーンに区画し火災の発生していないゾーンに水平移動し安全を確保する。高齢者や幼児の利用する施設に有効で病院など自力での階段避難が困難な場合。

・二方向避難方式
集合住宅などでは玄関からの経路の他にバルコニーなどを用いる。